「生活保護だと、子供を大学に通わせられない」

生活保護業務を専門に扱う行政書士として、このように嘆くお客様を多く見てきました。生活保護受給世帯の子どもが大学生になると、家賃分の保護費が減額されるのが現行の仕組みです。

生活保護を受けながら大学に通うことは認められていない

生活保護を受けながら大学に通うことは認められていないので、一つ屋根の下で無職無収入の親と同居していても、別世帯として扱われ本人の生活保護費は支給されなくなります。このため、進学意欲があっても親の経済的負担が大きくなること、自身もまた苦しい学生生活を余儀なくされることから、進学をあきらめるケースが多いのが現状です。全世帯の大学進学率が52%であるのに対し、保護世帯の大学進学率は19%と、平均を大きく下回ります。

生活保護世帯から大学へ進学した子供への救援策が検討される

しかし、厚生労働省がこの度、救済策を打ち出したようです。生活保護受給世帯から大学に進学した子供に対する給付金創設の検討が始まりました。生活保護を受けない貧困層との公平性に配慮し、世帯分離は継続する意向とのことですが、一人暮らしではなく同居継続の場合には住宅扶助の減額は廃止される見込みです。また、大学生自身が新生活を始めるための給付金支給も検討されています。

親から子への貧困の連鎖を招く現行の制度が改善されることは、大変望ましいことです。時折お客様にお話することもありますが、実は私自身がかつて、生活保護の相談に東京の役所を何度も訪れました。当時大学生であったことだけでなく、両親が公務員であることを理由に生活保護は絶対に受けられないと説明され(本当はそのようなことはありません)、知識を得る術も知らなかった私はアルバイトを掛け持ちしながら学生生活を継続しました。それでも、卒業時には数百万円の奨学金という名の有利子負債を抱え、絶望的な気持ちになりました。

生活に行き詰ってお困りのお客様と接する折、ふと思い返すのは過去の自分です。本当に困っている人、生活保護を必要としているのに受けられない方の助けになりたい、この信念の下、元日以外は休まず昼夜この仕事に向き合っています。