母校ICUでの皇族のご婚約の話題が嬉しい、行政書士の三木ひとみです。生活に困って行政に助けを求めたのに救ってもらえなかった、そう電話で訴えて当日事務所に駆け込んで来られる方が先月は非常に多かったです。読む時間がなく積み上げていた新聞を広げていたところ、驚く内容が飛び込んできました。

「市民になってすぐに(生活保護を)受けるというのは、『ちょっとどうなの?』って思う」

引っ越し後すぐの生活保護申請

日々生活保護申請に携わっている行政書士として、上記発言が一般市民の方の意見感想ではなく、「現役大阪市長」である吉村洋文氏のツイッター上での発言であることに、何より目を疑いました。

大阪市の新たな生活保護受給者のうち、男性の2割近く、女性の1割以上は大阪市に住民登録をしてから半年以内に生活保護を申請しているという、大阪市立大学が行った調査分析を受けての報道に対する発言のようです。
「生活保護目的で大阪市に転入してきている」
「大阪市は生活保護審査が甘い」
といった一部報道や世論がある一方で、注目すべきは当の調査研究チームが「生活保護目的の転入とまでは言えない」と総括していることです。

裁判所や弁護士会館など、法曹界のビルが立ち並ぶ大阪市北区に拠点を構える私共の行政書士事務所には、住民票は他県に置いたままで大阪市に実際には数ヵ月前から住んでいるというお客様が多く足を運んでこられます。中でも地方出身者の方で、大阪に行けばきっと仕事がある、と前向きな気持ちで大阪市にたどり着いたケースが目立ちます。

法的な見解からしても、大阪市民になってすぐに生活保護申請をすることには、何の問題もありません。憲法で保障された最低限の文化的な生活を守るための生活保護制度には、住民登録後の申請期間に関する定めはありません。そのような規定を設ければ、憲法の遵守が困難となるでしょう。

住民登録と生活保護受給が同時期になることは不自然ではない

先週事務所に来られた30代の男性はこれまで真面目に仕事をしてきましたが、健康を害し職を失いました。大阪の区役所の生活支援課に相談に行くも、
「まだ若いから仕事をしなさい」
と、体よく門前払いをされ、友人知人からの借金は100万円を超えていました。春に生まれたばかりの子どもを残し、自ら人生に終止符を打とうとした矢先、当事務所のホームページをご覧になって、最後の賭けと思って事務所に来られたと泣きながらおっしゃっていました。

その前日には、10人近いお子さんを連れたご両親が事務所を訪れ、お皿に山盛りのお菓子はものの一瞬でなくなりました。お子さんたちの栄養状態が悪いことは、一目瞭然でした。お父さんは毎日仕事をしていますが大勢の子どもの生活費には到底足りない月給で、役所に家族で行くもやはり門前払いをされたと嘆いていらっしゃいました。
上記どちらのケースも、私共が生活保護申請書を作成し福祉事務所に提出した当日中に、貸付金と食料の提供を受けることができました。

住民登録と生活保護受給が同時期になることは、不自然ではありません。他県に住民票を置いたまま生活保護申請をしたのちに行政指導が入り、住民票を大阪市に移すケースも多いからです。大阪市は転入直後の申請に対するチェックの強化を検討し始めたとされますが、本当の課題はそこではないでしょう。大阪の労働市場では男女平等がまだ実現していない職場も多く、女性の自立を阻んでいます。最低賃金で週40時間働いても、生活保護水準をわずかに上回る手取り収入しか得ることができない現状も、改善すべき行政の課題です。