2023/12/29読売テレビニュースに特定行政書士三木ひとみの大阪の生活保護行政に関するコメントが掲載されました

令和5年夏の終わり、行政書士法人ひとみ綜合法務事務所天王寺支社のチャイムが鳴りました。

インターホン越しにスタッフが応答すると、読売テレビの記者ですと。生活保護行政に詳しい行政書士の三木ひとみに取材をしたいというご要望だったものの、平日日中の行政書士事務所は相談、申請の予約も詰まっており全国のさまざまな役所からの連絡も多く入るため、事前約束なしの訪問への対応は一律お断りしていることをお伝えしました。

何かあれば行政書士法人ひとみ綜合法務事務所ホームページお問い合わせフォームからご連絡をお願いしますとお伝えし、お帰りいただきました。

その日の午後、25歳の古井林太郎記者は弊所お問い合わせフォームからあらためてご連絡を下さいました。そのとき頂いた内容が、こちらです。

メディアの取材対応は時間的、精神的負担も多く、内容によってお断りせざるを得ないことも少なくありません。特に、大手テレビ局という社会に及ぼす影響力が早く、そして大きい媒体については、慎重に検討しました。

古井さんとは、様々な生活保護行政の問題、現状、課題、そしてそれらがあまり報道されないことに関する行政書士の思いなど、数えきれないほどメールや電話でやり取りを数ヶ月にわたりさせていただきました。

今回、日本で圧倒的に読まれるニュースサイト、Yahoo!ニュースでも記事が取り上げられ、大手テレビ局ゆえ様々な背景事情もある中で、行政書士の日頃の思いをそのまま掲載頂けたことは、今後の生活保護行政の一層の改善に繋がるものと期待しています。

預貯金はわずか1114円…北新地放火殺人事件の容疑者を追い詰めた“生活苦” 相談受けた女性の後悔「あの時、生活保護を受けられていたら…」【キシャ目線2023】(読売テレビ) – Yahoo!ニュース

大阪市の2021年度の生活保護申請件数は、約1万5千件。古井さんが直接大阪市に取材したところ、24ある市内の福祉事務所で生活保護の面接相談に対応する職員数は58人(2023年4月時点)だったとのこと。この対応職員数について、記事では下記のようにまとめてくださっています。

『対応する職員の数が圧倒的に不足する一方、生活に困窮する人たちのニーズをくみ取れていない現実が浮かび上がります。  生活保護の申請をする人の支援を行っている行政書士・三木ひとみ氏は「最後のセーフティーネットである生活保護制度は、生活のひっ迫した人たちに素早く対応しなければいけない。そのためには、職員が圧倒的に足りていない。生活保護が助けを求める人に正しく使われるようになり、私たちのような仕事がなくなるのが理想だ」と話していました。  
何の罪もない26人もの命が奪われた放火殺人事件。谷本容疑者の行為は許されるものではありませんが、生活に困窮する弱者が凶悪犯罪に手を染めるのを未然に防ぐためには、生活保護制度のあり方も改めて問われているのかもしれません。』

大阪市内の福祉事務所は24ありますから、58人の面接相談対応職員ということは、1福祉事務所あたり面接相談員2~3人です。
明らかに少ない、足りていません。ただ、大阪市が特別なのではなく、全国的にも、その程度なのです。

行政書士法人ひとみ綜合法務事務所は、北海道から沖縄まで日々相談対応していますが、福祉事務所に申請の連絡をすると、「今日の相談員は3人(2人)なので・・・」と人数を言われることも多いのです。

今日は一人休みなので、相談員が一人しかいないとか、相談員が全員休みという場合も(本来あってはならないことなのでしょうが)実際に何度かありました(その場合は仕方がないので、担当職員不在でも申請は受理、翌日折り返し福祉事務所から行政書士事務所や申請当事者、そのご家族に電話を入れていただく、どうしてもその日食料支援などが必要なときは別の職員に対応してもらうなど)。

明らかに全国の福祉事務所に職員が足りていないと、日々実感しています。
公的機関で親切丁寧に対応してくれる職員数が足りていないために、生活保護受給者の方からも行政書士事務所には多くの相談が入ってきます。

今年9月29日に行政書士が大阪市の生活保護行政で直面した驚きの内容を、こちらのブログにまとめています。

https://twitter.com/hitomihoumu/status/1708097591861522432

明らかに人数が少ない、人手が足りていない、定時に帰りたい(苦笑)そんな大阪市の生活保護行政の問題が明らかだと思います。

区の福祉事務所のみならず、大阪市の職員にまで金曜閉庁時間を過ぎてから一方的に電話を切られたときは、こうした生活保護行政の問題に長年対峙してきた行政書士でさえ、社会不安に拍車がかかりました。

やむなく土日に行政書士が自宅に様子を見に行き、大阪の議員さん複数とやり取りし、政治家からも大阪市や福祉事務所に月曜連絡を入れてもらうようにお願いしました。
結局は、月曜朝一番にすみやかに本来の行政対応がなされ事なきを得ましたが(金曜付に遡っての申請受理と食糧支援)、きっと金曜は職員が足りてなかったのでしょう。緊急性を訴えているのに、閉庁時間を過ぎた金曜に電話を行政側から切られてしまったことに、本当に驚いたものです。もし、支援をしてくれる人が誰もおらず(ご本人は携帯電話代が払えず携帯電話も止まっていました)、土日も飲まず食わずで過ごすことになっていたら・・・。

このようなことは氷山の一角です。

これを問題と感じるか、感じないか・・・。行政書士の私自身が、かつて貧困当事者でした。

お金がないのです。食べるものがありません。

恥ずかしいことを口にしたのに、冷たい対応をとられ、若い未熟なシングルマザーは再び同じ勇気を出すことはできませんでした。

仕事でかかわりのあった男性からの常軌を逸した暴力で怪我をし、子連れでシェルターに入る際に通勤が認められていないことなどから転職したばかりの仕事も辞めざるを得なくなり、行く当てもお金もなかったのですが、これ以上期限は延長できないと言われ退去することになりました。そのシェルターを退去する日、小さくなって娘にはもう着られなくなった、でもまだ綺麗な白のかわいらしいワンピース。

『どなたか入所されるお子さんで、サイズの合う方がいたら差し上げてください。』
職員さんに手渡したところ、
『こういうものは、もらっても、捨てるしかないんですよ。』
と、言われました。

税金でシェルターにいさせてもらい、寝食助けてもらい、感謝していました。せめて自分にできることをと申し出たつもりが、恥ずかしく赤面し、それなら捨ててくださいと小さな声で答えました。

生活保護の水際作戦。働いて日銭を稼げるときならいいのですが、そうではないことも、沢山あるのです。私も小さな子を抱えていたとき、妊娠中だったとき、子どもの預け先もない、お腹は大きい、でも日に三度の食事を子どもにさせないわけにいかない、行政には助けてもらえないようだ、乏しい知識で一人悩むばかりでした。

でも、生活保護を受けられないと言われてしまった。頼る先もない。若いシングルマザーは一人で考え、子どもを夜置いて即金が入る、違法ではない仕事をしたり、お腹を隠して日払いのアルバイトの面接に行ったり、大切に買って集めた本やアクセサリー、洋服などあらゆる身の回りの物を売ったり、子どもが生まれるのに服を買えないので助けてくださいとネットに書き込んで見知らぬ人から譲り受けたり、まさに綱渡りの生活をした時期がありました。

生活保護を受けられていたら、検診費用も、出産費用も心配なく、子どもと自分の身体のことだけ考えて妊娠、出産時期を過ごせたのに、妊娠中も出産後も頭の中は日々のお金のことばかりでした。
思い出しても辛い過去です。

『私の夢は生活保護を本当に必要とする人が自分で手続きができるようになること。そのために『わたし生活保護を受けられますか』を書きました。』

全国の図書館に広く蔵書頂いているので、無料でお読みいただけます。

行政書士法人ひとみ綜合法務事務所は、年末年始も、相談が来たら対応します。毎年元日も、何らか連絡があります。

生活保護は、国民の命綱。困った人がいつでも連絡をして、無料で相談できる、助けてもらえる公的な体制を充実させてほしいと切に願います。

一民間法人にできることが、国・行政にできないわけは、ないでしょうから。