「わたし生活保護を受けられますか」第8回記事 令和7年1月12日

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生活保護「不正受給」は“ごくわずか”なのか? 受給者・行政双方の「誤解」が招いた“悲劇”とは【行政書士解説】 | 弁護士JPニュース

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生活保護「不正受給」は“ごくわずか”なのか? 受給者・行政双方の「誤解」が招いた“悲劇”とは【行政書士解説】(弁護士JPニュース) – Yahoo!ニュース

弁護士JPでの生活保護連載も、ついに最終回です。
信頼できる資料をもとに生活保護の「不正受給」がどのようなものなのか、行政書士が実際に経験した「70代の夫婦とその娘」の事例も挙げながら紹介。

厚生労働省は毎年、全国厚生労働関係部局長会議の資料(社会援護局詳細資料2)において、年度ごとの不正受給の件数と金額を公表しています。

令和5年度の不正受給の金額は約106億円で、これは割合で見れば、同年度の「保護費負担金」2兆7929億円の0.4%に満たない額です。

とはいえ、私は、このような「割合」の話をすること自体にあまり意味はないと考えています。

なぜなら、実際のところ、不正受給として全国集計されたこの内容についても、行政書士として疑問に思う点が、多々あるからです。

たとえば、生活保護行政を担う自治体が、本来行うべき資産状況調査を生活保護申請時に行っていなかったために、結果として不正受給となったケースもあります。

「ホームレスで通帳もカードも何もない」という申請に対し、行政側が業務多忙などの理由から資産調査を怠った事例もあります。

また上記の厚生労働省資料によると、不正受給の内訳では「稼働収入の申告漏れ」と「過小申告」が全体の60%近くを占めています。ただし、私は、生活保護の受給や申請のサポートをしている者の現場の感覚として、そもそも収入申告のルールを理解する能力に乏しい人も多々見てきました。

以上によれば、故意・悪意のある不正受給は、実際にはごくわずかということになります。

なお、SNSやニュースサイトのコメント欄では日々、「私の知人は…」などと、様々な真偽不明の「生活保護の不正受給」に関する情報が氾濫しています。しかし、それらの情報は、裏付けがない点からも、私の実務上の経験からも、信頼性に乏しいものと断じざるを得ません。

「生活保護と借金」についての誤解が引き起こした悲劇の例を一つ、紹介します。

70代のヨシムラさん夫妻(仮名)は、生活保護を申請するまでの間に、生活苦から借金を重ねていました。

ヨシムラさん夫妻には生活保護を受けていない別居の娘のアカリさん(仮名)がいました。しかし、アカリさんにはヨシムラさん夫妻を支援する経済的余裕がなく、ヨシムラさん夫妻は生活保護を受けていました。

それでもアカリさんは「借りたものは返さなければいけない」という使命感から、ヨシムラさん夫妻の代わりに借金を返済していました。

これを、ケースワーカーが把握しておらず、本人たちも悪意なく「借りていたものを返さなければいけない」「生活保護費から借金返済をしてはいけない」という思い込みから、アカリさんに無理を言って頼んで返済してもらっていたことを、役所に何年も伝えていなかったのです。

ヨシムラさん夫妻の生活は生活保護費の範囲内でつつましく、またアカリさんも両親の面倒を見ることができない代わりに、せめてヨシムラさん夫妻が生活保護を受ける前に作ってしまった借金は返済しなければいけないと思い、無理をして毎月数万の支払いをしてきたのです。

法的にはこの月数万円分を、ヨシムラさん夫妻が「不正受給」していたことになります。すなわち、アカリさんが肩代わりして貸金業者に支払っていた月数万円分について、ヨシムラさん夫妻が経済的利益を受けていたことになるのです。

そして、その事実が役所に発覚した後、生活保護法63条に基づく「返還金」として、毎月ヨシムラさん夫妻の生活保護費から数万円が天引き徴収されていたのです。

生活保護法63条は以下の通り定めています。

被保護者が、急迫の場合等において資力があるにもかかわらず、保護を受けたときは、保護に要する費用を支弁した都道府県または市町村に対して、すみやかに、その受けた保護金品に相当する金額の範囲内において保護の実施機関の定める額を返還しなければならない

この条文の「資力があるにもかかわらず、保護を受けた」に該当するとされたのです。

しかし、この条文をヨシムラさん夫妻のケースに適用することは誤りです。なぜなら、ヨシムラさん夫妻は「資力がある」の要件をみたしていないからです。

前述のように、ヨシムラさん夫妻は生活保護費の範囲内でつつましく暮らしており、ギリギリの生活をしていました。決してアカリさんから月数万円の現金の「仕送り」を受けて余裕のある生活をしていたわけではないのです。

アカリさんはアカリさんで、その後もご両親の生活保護受給前の借金の返済を毎月数万円しており、ヨシムラさん夫妻は、生活保護を受けているのに最低生活以下の暮らしを余儀なくされている状態で、私の事務所に相談に来られました。

すぐに、行政書士から福祉事務所に対し実態と改善の申し入れをしました。結果として、ヨシムラさん夫妻が受ける生活保護費から返還金の天引き徴収はなくなり、生活保護受給者のヨシムラさん夫妻が無理なく返していけると納得した金額として、毎月5000円を、自宅に届く振込用紙で毎月返還していくということになりました。これで「不正受給」の状態は解消されることとなりました。

そして、アカリさんが長年肩代わりしていたご両親の借金については、法テラスの制度を利用して、弁護士への手数料等の負担もなく、自己破産手続きができたため、以後の支払いもなくなりました。

生活保護費は国民が納める税を財源とする公費によってまかなわれているため、公平適切に支給されるべきことは当然です。

しかし、生活保護制度に対する国民の理解を得る、信頼性を確保するといった大義名分を盾に、信頼できる資料によれば実際にはごく一部にとどまる「不正受給」をことさらにクローズアップする報道や、その報道に関して、SNS などで過激なコメントがここぞとばかり大量に書きこまれる社会的風潮は、弱者のみならず日本社会全体に負の影響をもたらしています。

ましてや「働かざる者食うべからず」という抽象的な概念をふりかざし、大雑把な認識の下で行われる「生活保護バッシング」は、いざというときのセーフティネットである「生活保護」の利用をためらわせ、社会を窮屈にする危険をはらんでいます。「明日はわが身」なのです。

生活保護に関する正確な知識と理解がより広まっていくこと、実態に即した適正な運用が行われていくことを切に願います。

令和7年1月11日土曜日、大阪府行政書士会の賀詞交歓会が阪急インターナショナルで開催されました。


国会議員の辻元清美さんや、松川るいさんなど、著名な政治家の姿も。


国家議員、地方議員の先生方に、ぜひ読んで頂きたい、生活保護受給者の方からの悲痛な訴えがこちらです。
(ご本人様のご希望により公開するものです。)

三木先生
昨年は、大変お世話になりありがとうございました。
保護費を引き出すのに
歩いて往復1時間かかりました。
昨日再度車の所有の件でケースワーカーさんに電話しましたが
自分の行きたい病院へ行くなら自費で行って下さいと信じられない言葉が返って来ました。
先生に手紙を書いても切手を買いに行くのに
往復1時間かかります。今の私は寒さに耐える為に布団の中に入ってミノムシのように
じっとしているだけの毎日です。
一歩も家から出る事無く1日一食か2食簡単な物食べて過ごしています。何一つ買いに行く事が出来ません。
ご飯と梅干しだけとか
栄養とか考える事など考えられず、お腹に何か入れておかないといけないので食べてるって感じです。炭水化物しか食べてなかったら
味のする物が食べたくなります。
兎に角こんな便利の悪い所で暮らしてると車に乗れないと痛み止め一つも買いに行けません。
こんな思いをしている受給者が居る事を配信して下さい。


日本維新の会の梅村みずほさんのスピーチは、端的でよかったです。参加議員の人数がとても多いため、一言だけでお願いしますと言われても、長々話をする方もいました。


大使館勤務の外国人の方も多数お越しになっていました。


行政書士の三木ひとみは梅村みずほ先生と面識が二度ほどあるため、梅村先生も気付いてお声がけくださいました。


かつての大阪府知事だった太田房江さん。


行政書士会は、女性が少数です。


「わたし生活保護を受けられますか」著書の謝辞にも登場した、大阪府行政書士会の重鎮、国際行政書士として韓国分野では右に出る者はいないであろうご経歴。


議員の先生方には、積極的にご挨拶に回りました。過去には、生活保護行政の切迫した現場対応の問題について、お繋がりのある議員の先生方に直談判して頂いたこともありました。


女性行政書士、古野博子先生と。


行政書士法人ひとみ綜合法務事務所
榎田 啓
三木 ひとみ