「弁護士JP生活保護連載」 第22回記事 令和7年6月29日

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3人の子を抱え飢えた「シングルマザー」が“生活保護”を申請せず「餓死」を選んだ理由…「報道」が伝えなかった“国ぐるみ”の「適正化政策」の“弊害”とは?

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3人の子を抱え飢えた「シングルマザー」が“生活保護”を申請せず「餓死」を選んだ理由…「報道」が伝えなかった“国ぐるみ”の「適正化政策」の“弊害”とは?

38年前の事件ですが、今起きている様々な問題と共有しているところも少なくなく、過去の悲劇が教訓として生かされているとは言いにくいのが現状です。

事件後、ドキュメント番組が全国放映され、生活保護行政の問題点を取り上げた作品との評価を受け、いくつもの賞を受賞しました。書籍も多数、出版されています。

事件が起きる前の個人のSOSは看過され、耐えに耐えて、いよいよ命尽きたときに事件として脚光を浴びる皮肉。でも、命が失われても事件ともされず、『なかったことに』されている悲劇も沢山あります。

これは、日本社会の問題の、氷山の一角にすぎません。

札幌弁護士会人権擁護委員会は、福祉事務所がコトミさんの緊急の状況を十分に把握せず、適切な措置を取らなかったと認定。憲法および生活保護法に違反した人権侵害であると断定しました。

しかし、「人権侵害」をひとえに福祉事務所だけの責に帰するのは酷です。

「適正化」を錦の御旗にした、「弱い者いじめ」
福祉事務所が国からの「生活保護適正化」というプレッシャーの中で、個別のケースに対し「機械的」な対応をせざるを得なかった、という側面は現代でも随所で見られます。一概に福祉事務所のみ批判すれば済む話ではないと考えるべきでしょう。

「制度の網の目からこぼれ落ちてしまう人々を、どうすれば救えるのか」

自ら助けを求めることをためらう人がいる背景には、SOSの声を明確に上げても、複雑な状況ゆえ役所の権限外、管轄外と言われ、たらい回しにされ救済されない現実が透けて見え、諦め、孤独に陥る社会の現実があります。

この悲劇を二度と繰り返さないために、私たちはどうすればいいのでしょうか。その重い宿題が、今を生きる私たち一人ひとりに課せられているのではないでしょうか。


憧れ(作:田坂美代子さん)

上村松園(1875年生)
日本における女性芸術家のパイオニア
教科書で初めて見た「序の舞」に
ずっと心惹かれていた

キュリー夫人(1867年生)
パリ大学初の女性教授
エーヴ・キュリーが書いた母の伝記を
小学生の時に読んで 尊敬する人になった

フローレンス・ナイチンゲール(1820年生)
近代看護の母
息子が看護士になって
あらためて その苦闘と功績を知る

「序の舞」が重要文化財だからではない
「ノーベル賞」を二度も受賞したからではない
「クリミアの天使」と呼ばれたからではない
いずれもが 新しい道を切り開いた人
女性ゆえの困難があったに違いない
それに負けることなく
生涯を貫き通した強さと美しさ

小さな自分を知りつつも
彼女たちを仰ぎ見て 憧れて
自分の道を歩き通したい