日刊SPA!に生活保護の専門家行政書士として掲載頂きました

コロナ貧困者の声「安全な場所にいるお前らに、俺らの気持ちがわかるか!」 | 日刊SPA!

日刊SPA!コロナ貧困者の声『安全な場所にいるお前らに、俺らの気持ちがわかるか!』記事に生活保護の専門家行政書士として掲載いただきました。

貧困や格差はコロナ関係なく以前からあったという声も聞かれますが、コロナ前から生活保護行政に毎日休みなく携わっていた行政書士として、これは確実に言えることです。

新型コロナによって、健康な若年層にまで生活保護申請が広がり、『貧困パンデミック』といえるような状況が日本社会に生み出されました。

厚生労働省によれば、今年令和3年10月8日時点で新型コロナウィルス感染症に起因する解雇等見込み労働者数11万8317人のうち、非正規雇用が占めるのは5万4152人。コロナ失業の半数以上は、正社員だった人たち。

実際、行政書士法人ひとみ綜合法務事務所にも昨年夏頃から続々と、20~40代の健康でこれまで生活保護など考えたこともなかったという方々からの生活保護相談が増えました。

コロナ不況により職を失ってからも働く意欲があり、ただ求人に応募しても狭き門ゆえ通らず、家賃滞納となり不動産会社さんや家主さんから行政書士を相談してもらったというケースも多々ありました。

コロナ前まで生活保護費と同額あるいは実質それ以下の生活水準で朝から晩まで仕事をしてきた人たちが、コロナによって無情にも職と生活の糧を奪われて生活保護制度により救済されました。行政書士の私が今懸念するのは、コロナが明けて雇用情勢が回復したとき、はたして彼らが再び低賃金で過酷な長時間労働の職場で働く意欲を保てるかということです。

多くの企業が緊急事態宣言以降、急速にテレワークを開始し、回線やリソースのセキュリティや品質面の改善もなされてきました。リモート環境で業務をする閉塞感をなくすため、チームや上司部下のコミュニケーションを活性化させるデジタルサービスも様々生まれ、時間、場所にとらわれない働き方の文化が進展する一方で、良好な職場環境構築がなされないままテレワーク環境下で長時間サービス労働を強いられストレスをためている方々も多くいます。

最低賃金法によって、使用者が支払わなければならない賃金の最低限度額が定められていますが、労働者が同意したことを理由にそれより低い賃金で契約している実態もまだ見られます。最低賃金より低い賃金での契約は法律によって無効となり、最低賃金額で契約したものとみなされます。

使用者は1日に労働時間が6時間を超える場合には少なくとも45分、8時間を超える場合には少なくとも60分の休憩を勤務時間の途中で与えないといけませんが(労働基準法第34条)これが守られていないところも、飲食業界などでは多々見られます。
休憩時間は労働者が自由に利用できるものでなければならず、休憩中に電話や来客の対応をするよう指示されていれば、それは休憩時間ではなく労働時間とされます。

職場のパワーハラスメントが原因で、仕事を辞めざるを得ない人、退職後もうつ病を患い社会生活に支障を来している人も多くみられます。健康診断の実施など、職場における労働者の安全と健康を守るための労働安全衛生法の周知促進も必要でしょう。

過去の女性労働者に対する取扱いなどが原因で職場に事実上生じている男女間格差を解消する目的であれば、女性のみを対象としたり、女性を有利に取り扱う措置は違法ではありませんが(男女雇用機会均等法第8条)このポジティブ・アクションも実際にはまだ周知徹底されていないのが現状です。

仕事とプライベートの両立を図りながら、充実した職業生活を皆が送れるように、働く意欲を削がれないように、新政権を担う方々には頑張ってもらいたいです。官民の架け橋行政書士としても、急速に進展するデジタル行政についていけない方々のサポート含め、これまでもこれからも、尽力して参ります。