PTA会長ってえらいの?(1)
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3.PTA会長ってえらいの?(1)
東京から大阪に小2の娘が引っ越してきてから初めて、意気揚々として参画した、PTA活動。
しかし、いざ加わってみると、PTAにはなんとも不可解な、不透明な部分が多いということに気付いていった。
まず、PTA会長の選任についてだ。誰がどういう基準で選ばれるのか、正直全くわからなかった。

昔からこの大阪市天王寺区が地元の、えらい人なんだよ、とお母さん方が口々に噂しているのは聞こえてきた。
何やら地主さんでお金持ちらしいということは、なんとなくわかってきた。
給食の試食会で係を一緒に務めた宮田さんに聞いたところ、「何年もPTAの雑務をこなしているけれど、役員の人選など全然わからない」とのことだった。
朗らかでシャキシャキ動く、働き者の宮田さんは、試食会で余ってしまった給食を、
「皆で完食しましょう!」
と呼びかけた。少子化の影響もあるのか、最近の給食は丁寧に作られているようで、主婦の舌で食しても美味しかった。
ただ、おかずは完食でも、中年以降の女性の集まりではたいがい、白飯が残るのだ。
「調理員さんに失礼になるから、残らないように皆さんで食べましょう」
しかし、体型を気にしてか、それとも人の目を気にしてか、誰もおかわりをしようとしない。
宮田さんが大盛に自分のプレートによそうのを見て、たまらず私もおかわりした。
そうそう、目の前の美味しい食べ物を捨てるなんて、母として教育現場ですべきじゃない。
健康体の私は、もりもり食べよう、ちょっとくらい太ったっていいじゃない(本心は家事子育てで疲れてお腹も空くし、人様が作ってくれたものは美味しいからもっと食べたい!でも最近年のせいか、新陳代謝が悪くなったのか、体重が上昇傾向。
炭水化物をセーブしていたことを解禁するための、単なる口実だったのかもしれない。冷めた白飯を宮田さんと一緒におにぎりにして、そっとカバンにしのばせた)。
クラスPTAの委員になっても「仕事があるから」と一度も出てこない方がいた。そういう人は、保護者間で格好のいじめの標的、井戸端会議のネタだった。
「懇談会で誰もクラスPTAの委員をやりたがらへんから、しゃーなく担任の先生がくじ引きで決めさせたんやって。ほんまに。」
「ほんで、懇談会も仕事で休んでいた人が当たってしもたってわけ。」
「せやけど、委員になったからには出席してもらわなあかんよな。みな、困るで。なあ。結局、その分参加しとる委員の負担になるんやから、不公平やで。」
自分から委員になると立候補した私は少し変わっているということが分かった。
そして、大半の人が嫌々やっているという現実に気付いた。仕事で忙しくて、自分の子どもの参観日に行きたくても行けない親もいる。
それは、私自身の母親がそうだったから、痛いほどわかっていた。
それなのに、突然不在時のくじ引きで、PTAの委員になったから月数回学校に来いだなんて言われたら、それは酷だろうと思った。
20年近く前、フルタイムで公立小学校の教員として働きながら、腎不全と認知症の祖母の介護をしつつ、二人の子育てを片親でしてくれた母のことをふと思い出した。
あのとき、くじ引きでPTAの活動参加を母が強要されていたら?参加など到底できなかっただろう。娘の授業参観だって、ほとんど来れなかったのだから・・・。
新興住宅地では、専業主婦の奥さん方が毎朝庭や公園から降ってくる落ち葉の掃き掃除をしながら、おしゃべりをしていた。
うちの母親は早くに出勤しなければいけないから、私と妹は、そのお母さん方の集団の目線を気にしながら、そそくさと玄関から出て登校したものだ。
うちの玄関にはいつも、落ち葉がたまっていた。
→続く
※この連載は実話を元にしたフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。


