行政書士の三木です。『神対応』などという流行語を、ドキドキしながら初めて使いました。

こうした若者の誇張表現を自分が使うことは、まずないだろうと思っていました。ところが、先日の生活保護申請中の私たちのお客様に対する役所の対応は、期待を大きく上回る驚くべき、まさに『神対応』だったのです。

お金が無いため病院にも行けない人たち

行政書士法人ひとみ綜合法務事務所には、全国から毎日、生活困窮している方やそのご家族からのSOSの電話・メールが沢山届きます。

母子・父子家庭でお子さんが小さく働けない方、無職無収入の親族の援助はできないけれども心配されているご家族の方、役所や議員に相談しても生活保護は受けられないと言われ苦しんでいる方、ほか、様々なご事情をお持ちの方からの相談が絶えません。

Hospital
Hospital / matsuyuki

中でも多いのが、持病やご病気、障害をお持ちで生活に困っている方です。そうした方々と初めてお話する際、私が必ず尋ねることは、
病院には行けていますか?
という質問です。

自立支援制度や一人親制度で医療費については心配なく通院できる方であればまだいいのですが、たとえばご実家に居させてもらえるけれども本人に収入がない若い人などは医療費まで親に出してもらえないために、健康を維持するために必要な通院が全くできていない方も多いのです。

同居の旦那さんから生活費をもらえないために、妊娠中の定期健診に一度も行けていない臨月の妊婦さんもいらっしゃいました。

生活に困っている方が一日も早く生活保護を受け、憲法で保障された最低限度の文化的な生活ができるように、私たちは昼夜休日問わず全力でサポートしています。

お客様の委任と提供情報を元に、私たち特定行政書士が申請書を作成することで、万が一不当な却下等があった場合に私たちが不服申立ての代理を行うことが法的に可能となります。

その申請書を役所に受理してもらったあと、所定の審査がありますが、その審査期間中にご本人が生活できないほど困窮している場合には、申請と同時に役所にその方の生活の保障、いわゆる救済措置を求めることもあります。

生活保護審査期間中の医療費の救済措置

生活保護が決定すると医療費は薬代も含めて、基本的に自己負担はなくなり、無料になります。

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DSC05598-1 / zunsanzunsan

そしてあまり一般の方には知られていませんが、生活保護審査期間中もご本人がお金の心配なく必要な医療行為を受けられるように、生活保護申請中であることがわかるような書面を発行するといった救済措置を取ってもらうことができます。

他県から行政書士法人ひとみ綜合法務事務所にお電話でご相談をされ、家がない、実家を追い出されたなど、さまざまなご事情により身一つで当事務所を頼って夜行バスなどで来られる方もいらっしゃいます。

Iさんも、その中のお一人でした。

通院して毎日薬を服用しないと命取りになる持病をお持ちのIさん。暖房のきいた当行政書士事務所で一夜を過ごしてもらい、その後私共の提携している士業の先生が好意で初期費用なし身一つで入居させてくれたアパートへ一緒に出向き、その足で役所に生活保護申請に行きました。

生活保護申請中の人を病院が診察してくれない

私共が作成した申請書を週に何度かは受理してもらっている役所の対応は早く、申請当日に1週間分の生活費の貸し付けをしてくれました。そして、病院にもかかれるようにと、生活保護申請中であることがわかる書類も支給してくれました。

しかし、酷いのは病院の対応でした。他県から来た身元のよくわからない人は、生活保護が正式決定してからでないと、10割負担でしか診察しない、というのです。

Iさんの持病からして、平均で2週間かかる正式決定まで通院しないということはできません。医師法において、医師は正当な理由のない限り診療を拒んではならないとされており、そして「お金がなくて診察代を払えない」ことは診療拒否する正当な理由にならないとされています。
医師法 第19条

私はこれまでにも何度か、診療拒否する病院に対し上記説明をし、生活保護申請中のお客様が病院受診できるようお手伝いしたことがあります。Iさんに対しても、私は全力でサポートをするつもりで腕まくりをして構えていました。

Iさん:
「三木先生、役所の担当のSさんが、病院に電話で怒ってくれましたよ。病院は、役所が生活保護決定を保障するのかと聞いてきて、Sさんは立場上本来保障まではできないけれど、Iさんについては保障する!とまで言ってくれた。それでも病院は、生活保護決定してから通院すればいいと言って話にならない・・・。」

三木:
「ひどい話です!本来、病院はお金がないからといって目の前の患者を診ないということはできないんですよ・・・」

生活困窮者への診療を拒否する病院に対する怒りに満ちた私の返答をまあまあ、ととりなしたIさんは、こう続けました。

Iさん:
「でも、明日病院に行けることになったんです。役所の担当のSさんがお金を個人的に貸してくれたんですよ。」

公務員という立場上、このような対応をすればご自分の立ち位置が危うくなるかもしれないのに、役所の担当のSさんは危険をかえりみず目の前のIさんの最低生活を守ってくれたのです。

申請者のことを本当に考えてくれる担当者

全国の役所の生活保護窓口に必ず常備されている、「生活保護手帳」には、生活保護法をはじめ、ケースワーカーなど生活保護業務にあたる公務員が遵守すべき実施要領がすべて記載されています。

この生活保護手帳の中に、役所の担当者のあるべき姿が明記されています。

『生活保護業務に従事される各位におかれては、保護の実施要領等を骨とし、これに肉をつけ、血を通わせ、あたたかい配慮のもとに生きた生活保護行政を行うよう(中略)実施されることを期待するものである。』

生活保護手帳2017「生活保護実施の態度」より抜粋)

全国大小さまざまな役所で数千人以上の担当者を見てきましたが、ポケットマネーで生活保護申請中の市民の通院費を出してくれるような「神対応」は初めてでした。

公務員としてはもしかするとグレーな行為かもしれませんが、まさに血の通ったあたたかな配慮ある生活保護行政を目の当たりにし、感激しました。

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