生活保護制度においては、健康で文化的な最低限度の生活を保障するために、必要な各種費用に応じた名目のお金が支給されます。たとえば、アパートなどの家賃である「住宅扶助」、食費や光熱費などの「生活扶助」は、ご存知の方が多いでしょう。

このほかにも、制服や学用品費などは「教育扶助」、介護サービスの費用は「介護扶助」、出産費用は「出産扶助」といった名目で、生活保護を受ける人が生活をする上で必要なお金を申請して受けとることができます。

支給される生活保護費の半分を占めている医療扶助

ここで皆さんに質問です。
年間4兆円といわれる、支給されている生活保護費の約半分を占める名目の生活保護費はなんだと思いますか?

こうお客様にお尋ねすると、
「家賃、住宅扶助ですか?」
「やっぱり生活費でしょう?」
などという答えが返ってくることが多いです。

でも実は、生活保護費の約半分を占めるのは、病院の診察費や薬代といた医療費、医療扶助なのです。そもそも生活保護を受けるようになると病院代が無料になることをご存知ない方も多く、当事務所にご相談に来られた際、
「持病で毎月の薬代が高いから、生活保護になっても生活費が足りなくなりそう」
とご心配されるお客様もいらっしゃいます。

生活保護の方の医療費は直接、医療機関に支払われます。そのため、いったん自己負担で立て替える必要もなく、生活保護を受けている方は病院の診察費や薬代を心配することなく、病気になったらいつでも病院にかかることができます。

生活保護受給者はジェネリックの使用が原則に

生活保護法改正により、こうした生活保護の医療費を抑えるための具体的な政策が盛り込まれることになりそうです。受給者には原則として低価格の後発薬、いわゆるジェネリック医薬品を処方することが法的に義務付けられるようになる見込みです。

受給者、後発薬が原則=生活保護法に明記-厚労省:時事ドットコム

後発薬(ジェネリック医薬品)とは

この是非を論じる前に、そもそも、後発薬とはどのようなものなのでしょうか。新しい薬、新薬の特許権(発明やアイディアを独占的排他的に利用できる権利のこと)が切れた後に、別の製薬会社が同じ成分を使って作る薬が、後発薬と呼ばれています。

一つの新薬の開発には安全性や薬の効果を確かめるために大変な時間とお金がかかりますが、後発薬の場合は新薬の開発時にその試験が済んでいるので、開発期間も短く、また価格も新薬の3~7割と安く抑えることができるというわけです。

薬の効果は同じだから安い方がいい、と考える人もいます。ただ、薬効が同じと言われても、実際にはそうではないと感じる人がいることも事実でしょう。

昔からアトピーに悩まされ、生まれつき皮膚が薄く弱い女性の私は、市販の保湿剤などでは肌がもたないので、定期的に皮膚科に通院しています。

最近なにかと話題のヒルドイドローションは新薬ですが、私は後発薬のビーソフテンローションの方が肌に浸透してかゆみ乾燥を防いでくれると感じますし、実際使用回数も少なく済むので、医師に相談して後発薬を処方してもらっています。

薬効が同じだとしても、新薬と後発薬とでは形状や添加物がちがったり、溶け方や塗り心地が異なるためにどちらかをあえて希望する患者さんは実際に少なくないようです。

生活保護者なら薬に差を付けてもいいという考え方

生活保護受給者であるという理由だけで自動的に後発薬にされれば、差別感を社会に生み出す要因にもなるのではないかというのが、行政書士法人ひとみ綜合法務事務所の危惧するところです。

高齢化に伴う医療費の膨張は日本全体の問題であって、諸外国に比べても日本の後発薬の使用割合が低いことは以前からわかっていることです。生活保護を受けている人だけを差別するのではなく、国全体で後発薬の使用を推進した方が、医療費の抑制効果は高いはずです。

生活保護を受けている人たちを含め社会的に弱い立場にある人は、理不尽なことだと感じても、声を上げにくい実情があります。職場でのパワーハラスメントや、長年横行してきた国をあげての障害者への中絶手術強要などがその例といえます。

私のお客様でも、自分が生活保護を受けていることを誰にも知られたくないと言う方はとても多く、そうした方々が名前を出して意見をすることに躊躇いがあるのは当然といえます。

だからこそ、社会的公平性を守る責務が政府にはあるのではないでしょうか。

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