不要なものを整理する『断捨離』人気から始まって、団塊世代を中心とする『終活』は巷で一大ブームとなりました。

誰にでも確実に訪れる人生の最期に備えて、元気なうちに遺言書を作っておこう、という気持ちの人は増えた一方で、この遺言書をいとも簡単に考える人が実に多いのです。

私は行政書士になってから、何度も相続の現場に立ち会ってきましたが、自筆証書遺言の内容が中途半端だったために逆にややこしいことになってしまうという残念な状況を目の当たりにしてきました。

自筆証書遺言の問題点

前回のブログで、民法で定められている自筆証書遺言の基本的な要件を紹介しました。全文自筆、日付記載、捺印、このあたりの基本的なことを押さえることは、そう難しいことではありません。

ですが、自筆証書遺言が発見された後に家族がしなければいけないこと(家庭裁判所への検認申立てなど)、財産を託された人の責任や負担を知っておかないと、せっかくの故人の残されたご家族への思いが『ありがた迷惑』になりかねないのです。

残念かつ不本意な遺言・相続とならないよう、このブログを通して、できるだけ法律用語もかみ砕いて、わかりやすくお伝えしていきたいと思います。

公正証書遺言について

前置きが長くなりましたが、予告しました通り連載第二回目は、公正証書遺言(こうせいしょうしょいごん)について。遺言書には、次の2タイプがあります。

①自分で作る自筆証書遺言
②公証役場というところで作成してもらう公正証書遺言

公証役場は、全国に約300か所あります。

守秘義務がある公証人(元裁判官、検察官、弁護士、法務局長など法律に精通している熟練専門家から、法務大臣が任命する公務員です。全国に約500人います。)が、遺言をのこす人の希望を聞いて、遺言書を作成してくれます。

証人2人以上の立ち会いが必要なので、行政書士がこの立会人になることは日常茶飯事です。なぜかというと、遺言の内容を身近な家族や友人知人には知られたくない、証人を頼みたくない、というお客様が多いというのが主な理由に挙げられます。

公正証書遺言は、公証人という専門家が、法的に正しい書式で作ってくれるわけです。

その遺言証書を、公証人が公証役場において、遺言者本人と証人全員の前で、口頭で読み上げます。そのように正確な遺言内容であることをきちんと確認したうえで、遺言者と証人全員が遺言証書に署名捺印します。

遺言者が病気で署名できないときも、大丈夫です。公証人が、遺言者が署名できない理由を付記することで、本人署名は省略できます。

公証役場以外の場所でも遺言書の作成が可能

ここからがちょっとした裏話になりますが、公正証書遺言を選択するメリットとして、法的に有効な遺言証書を作成するために、公証人に病院などへ出張してもらえる点が挙げられます。

公証人は公務員という立場ですが、国から給料が支払われることはなく、依頼者から払われる手数料などが収入となる個人事業者でもあるのです。遺言書を作成するとき、公証役場を離れて遺言者の自宅や入院先の病院、老人ホームなどへ出張も可能なのです。

以前、私が依頼を受けた遺言者の方は病状が進んでいて、既にご自宅のベッドから動けないような状態でした。

そこで、年末にもかかわらず公証人に頼んでお客様の家まで来てもらい、証人には私の知り合いの行政書士の先生になってもらって(私とその先生の2人いれば証人の人数は満たします)、出張して家に来てもらいました。

ご本人様の耳も遠く、言葉もはっきり話せないような状態でしたが、公証人が何度も大きな声で確認してくれたので、署名も省略して無事に公正証書遺言が完成。

その2日後に息を引き取られましたが、公正証書遺言の場合は検認という、家庭裁判所への申立てなどの手続きが不要なので、残されたご家族はすぐに不動産の相続登記など必要な手続きに着手することができました。

公証役場でデータが保存される

自筆証書遺言は、いつでもどこでも手軽に作成できること、手数料もかからず、遺言書の内容だけでなく遺言書を作ったことも秘密にしておくことができるというメリットがあります。

一方で、遺言書を発見した人が悪意を持って隠したり、または発見されずに捨てられてしまうという心配があります。

公正証書遺言は、日本公証人連合会が全国すべての公正証書遺言をコンピューターで登録管理してくれているので、死後、相続人など利害関係者は照会をかけて、謄本を再発行してもらうことができるのです。(※1989年以降に作成された公正証書遺言の場合はスキャナー読み取りで内容がデジタル保存されています。以前は原本保管のみだったのですが、東日本大震災で公証役場ごと津波で流された教訓から、災害などで公証役場の保管原本が紛失・破損しても復元できる仕組みができたのです。)

手数料が必要だがメリットも大きい

公正証書遺言を作成するためには、政令で定められた手数料がかかります。


日本公証人連合会HP ~手数料~ より
http://www.koshonin.gr.jp/business/b10

法律の専門家が作成するため、自筆証書遺言のように法的要素を満たさないという理由で無効になるリスクもほとんどなく、相続手続きにもすぐに入れるメリットを考えると手数料は高いとはいえませんが、再度手数料も手間も発生するため気軽に内容を変えることには躊躇いがあるものです。

ですので、最初は自筆証書遺言を作ってみて、しばらく考えて内容に変更も当面ないようだったら、安全・確実性のある公正証書遺言にするという方法もあります。

☆専門家のアドバイスは重要☆

遺言書の作成や相続、贈与の方法を選ぶ段階で、一度、街の法律家である行政書士に相談して助言を受けることをおすすめします。

民法改正があったとはいえ、遺言書には法律で定められたルールが存在します。要件を満たしていなければ、せっかく作った遺言書が無効になってしまうこともあるのです。

また、実際に遺言書がなくご家族が亡くなり、相続人が複数いる場合は、遺産分割協議書というものが必要になります。行政書士には、この遺産分割協議書や相続関係説明図の作成だけでなく、その元となる相続人調査や相続財産調査から依頼することができます。

行政書士法人ひとみ綜合法務事務所においては、役所での戸籍謄本、金融機関での残高証明取得など、通常手間のかかる作業も複数スタッフのチームによって効率手際よく行っています。

自筆証書遺言、公正証書遺言の内容チェックだけでなく、ご希望を伺い、書類の取り寄せ、原案作成など、オーダーメイドで相続をサポートしています。また、提携弁護士、司法書士、税理士とも連携しているので、複雑な案件にも幅広く対応しています。

平成19年に信託法が改正されたことで、遺言、成年後見よりも柔軟な相続対策が、家族信託という制度によって可能となりました。遺言書作成よりも、より依頼者の方、ご家族様のメリットになる可能性もある家族信託についても、司法書士、税理士と連携して取り扱っています。

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