遺言・相続ブログ連載第三回目は、成年後見制度について。成年後見制度とは、認知症や知的障がい、精神障害など何らかの理由で、判断能力が十分ではない人を支援するための国の制度です。

後見制度の実態をある程度わかった上で、遺言・相続について考えた方が悔いのない「終活」ができると女性行政書士の私は考えますので、早いうちに解説をしたいと思ったのです。

後見人に関して近年増えてきたトラブル

さて、ある日突然、あなたと同居している高齢のお母さんの、
「預金通帳、銀行カード、実印、すべて預かって資産管理することになりましたので、渡してください!」
と、主張する他人が現れたら、どうしますか?

知らない人に、お母さんの大事な個人情報や資産を、あっさり渡せませんよね。何かの詐欺にちがいない!弁護士なんて書面に書いてあるけど、これも騙そうとしているんじゃないか!

成年後見制度を知らない一般の人からしたら、突然親の資産すべてを管理することになったという第三者が現れたら、こうして驚き、憤るのも無理のないことです。しかしながら、現実として、介護保険と同じ2000年に始まった成年後見制度において、上記のようなシチュエーションが実際に全国各地で起こっているのです。

日本は2025年には、国民の3分の1が65歳以上という「超高齢化社会」に突入すると試算されています。65歳以上の高齢者のうち、5分の1程度が認知症という推計もあり、認知症高齢者の財産や日常生活を支援するためにできたというのが、そもそもの成年後見制度です。成年後見制度ができたばかりの頃は、身近な家族が年老いた親や障害を持つ子の後見となる、親族後見人が大半を占めていました。


6月に交通事故に遭い、その後も体調不良が重なり入院することになりました。突然何が起こるのがわからないのが人生です。(行政書士 榎田)

成年後見制度の種類

後見人が必要なご本人の病状が重い順に、

①後見
②補佐
③補助

この3種類がありますが、もっとも判断能力の乏しい後見になると、ご本人の権利は大幅に制限されます。スーパーでの食料品の購入など日常的な買い物を除き、自分のお金なのに自由に使うことができなくなってしまいます。

もっと具体的に書くと、お母さんが一生懸命に子のため孫のためと貯めた貯金通帳も、財産管理権を持つ後見人が全部保管、管理することになるのです。

自分が認知症になっても、長年一緒に過ごしてきた、気心の知れた家族が自分の財産を管理してくれるのであれば、安心という方が多いでしょう。


いざ身動きがとれなくなると何も出来ません。何事も元気なうちに手を打っておくのが最善です。

親族以外による職業後見人が増えてきた

ところが近年、親族ではない、弁護士・司法書士・行政書士といった専門職の他人が法定後見人(本人が既に判断能力が十分でなくなってから家庭裁判所が職権でつけるのが法定後見人です。これに対して、大雑把な説明ですが、まだ元気なうちに自分で信頼できる人と契約をしておくことを任意後見といいます。本人の意思に基づくこの任意後見こそ、成年後見制度の基本とされています。この任意後見については、また別にあらためてブログで解説する予定です。)となる割合が逆転して多くなって、冒頭で紹介したような後見トラブルが全国で起きて問題視されるようになったのです。

もともと9割を占めていた親族後見人は3割以下に、弁護士などの職業後見人が逆に7割程度まで増えたといわれています。親族後見人と職業後見人の大きなちがいの一つが、報酬の有無です。親族であればボランティアが殆どですが、職業後見人の場合は月額にして最低2万円~6万円程度の報酬を、ご本人の預貯金などの資産や年金などの収入から得るのです。

後見人はご本人の財産から勝手に報酬額を決めて引き出すということはできず、通常職業後見人は家庭裁判所への定期報告(年に一度後見事務の報告書を提出すること。報酬の有無にかかわらず後見人の義務です。)と併せて報酬付与申立を行って、家裁の審判で報酬額を決定してもらいます。

余談ですが、特定行政書士である私、三木ひとみも成年後見人を職業後見人として担っていますが、現時点で生活保護を受けている方については家庭裁判所に報酬付与申立は行っていません。

後見事務報告書はチェック方式なので、作成に30分程度しかかかりませんし、ご本人の通帳を預かっていますが、私の担当する生活保護受給者で成年被後見人の方々は全員が施設に入所しているので金銭管理も容易です。ほぼ毎月の収入は施設代でなくなり、もともと財産がないので生活保護受給に至っています。

ご本人の判断能力がほぼないに等しい方の、わずかな毎月の生活費で残ったお金から報酬を得ることに私は良心の呵責を覚えますので、私のできるわずかな社会貢献だと割り切って無報酬で後見業務を行っています。

病気や体調不良により、判断力が落ちてから、お金や手続きなどの難しい話を考えなければいけなくなってしまうと、非常に大変です。早め早めの対策が重要。

成年後見人の報酬

同業者で職業後見人を担っている先生方の話を聞くと、毎月平均の報酬額は35,000円程度であることが多いです。

これは法律の専門家としては多い金額とはいえませんが、そもそも家族信託(次回のブログで詳しく説明予定です)などをせずに成年後見制度の利用に至った認知症高齢者や知的障がいを持つ方々は、資産収入があってもそれほど多くない方がほとんどですから、職業後見人への報酬によってご本人の生活費が削られたり、相続でのこせる資産が削られてしまうことは、死活問題になりかねません。

成年後見制度は、判断力が乏しい方の財産を守ることに意義があるはずなのに、職業後見人への報酬支払によって逆に財産が目減りしてしまうのであれば、本末転倒ではないでしょうか。諸外国では、報酬の発生しない親族後見人が主流ですので、日本の現状が異質ともいえるわけです。

では、どうすればいいのか、という問題。これは、次回以降の連載ブログで具体的に解説していきます。次回は、遺言、成年後見よりも柔軟な相続対策となり得る、まだ実質創設されて10年程度であまり知られていない、家族信託・民事信託について可能な限りわかりやすく解説します。

☆専門家のアドバイスは重要☆

遺言書の作成や相続、贈与の方法を選ぶ段階で、一度、街の法律家である行政書士に相談して助言を受けることをおすすめします。

民法改正があったとはいえ、遺言書には法律で定められたルールが存在します。要件を満たしていなければ、せっかく作った遺言書が無効になってしまうこともあるのです。

また、実際に遺言書がなくご家族が亡くなり、相続人が複数いる場合は、遺産分割協議書というものが必要になります。行政書士には、この遺産分割協議書や相続関係説明図の作成だけでなく、その元となる相続人調査や相続財産調査から依頼することができます。

行政書士法人ひとみ綜合法務事務所においては、役所での戸籍謄本、金融機関での残高証明取得など、通常手間のかかる作業も複数スタッフのチームによって効率手際よく行っています。

自筆証書遺言、公正証書遺言の内容チェックだけでなく、ご希望を伺い、書類の取り寄せ、原案作成など、オーダーメイドで相続をサポートしています。また、提携弁護士、司法書士、税理士とも連携しているので、複雑な案件にも幅広く対応しています。

平成19年に信託法が改正されたことで、遺言、成年後見よりも柔軟な相続対策が、家族信託という制度によって可能となりました。遺言書作成よりも、より依頼者の方、ご家族様のメリットになる可能性もある家族信託についても、司法書士、税理士と連携して取り扱っています。

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