②組織内でのパワハラ、いじめから生活保護~行政書士法人ひとみ綜合法務事務所の相談事例から考えるPTAほか社会問題と日本の教育の課題
東京オリンピック開幕を2日後に控えた昨日の連載初回ブログのアクセス数は、顕著なものがありました。連休直前に不穏な内容のメール配信が大阪府行政書士会からあったことで、情報収集されている同業の先生も多いのかもしれません。
会員への注意喚起とするメールには、カッターナイフ刃入り封書が届いた行政書士が複数いるため、開けずに警察へ速やかに通報してくださいといった内容でしたが、本会へ問い合わせたくてもオリンピックに伴う長期連休で週明けまで待たなければならず、せめてメール配信は午前中にすべきだったのではと思います。
匿名の怪文書自体は、私が知る限り昨年も数十件。主に大阪府行政書士会役員の先生方のところへ届いたと、裁判にて証言された行政書士がいます。今回のように会員に周知されることはなく、解決に至らないまま現在に至ること、また怪文書が届いたのは自分だけではないかと悩まれた先生もいるのではないかと危惧しています。
今回も、当初はこのような注意喚起を大阪府行政書士会は発信するつもりはなかったと聞こえてきましたが、正義感の強い先生方の働きかけもあって実現したようです。
左は行政書士法人ひとみ綜合法務事務所代表の榎田啓先生、右は事務スタッフの原優美さん
令和3年春には大阪府行政書士会会長選挙があったため、こうした事実がもっと早く公開されていれば、会員同士の揉め事を内部で解決する仕組みをつくることを公約に掲げられた会長候補者に投票する会員は多かったようにも思います。結局、そちらの先生は落選してしまい、大阪府行政書士会の前政権といいましょうか、実際選挙においても自らそれをアピールされていた先生が当選されました。
また、PTAに関するご意見を行政書士法人ひとみ綜合法務事務所のHP問合せフォームから頂いた保護者の方も複数いらっしゃいました。
白血病と闘う競泳女子の池江璃花子選手は昨年国立競技場での開幕1年前の記念イベントで、
『スポーツは人に勇気や絆をくれるもの。逆境からはい上がっていく時にはどうしても希望の力が必要』
というメッセージを発信しました。
現在組織内で孤立し、窮地にいる方に『自分だけではない』勇気になればという思いもあって、このブログ連載を決めました。
大阪府行政書士会中央支部の先生の事務所移転祝い
1.PTAの法的位置付け
PTAは学校とは全くの別団体で、法的には老人クラブなどと同じ『社会教育関係団体』という位置付けに過ぎません。文部科学省策定の規約においても、いささかも強制があってはならない、とされています。
にもかかわらず、
「全員参加PTA」
「一人一役」
をスローガンに掲げるPTAは存在し、仕事を持つ母親が大半だからと「公平」に、仕事も介護も言い訳にすることは許されないという「ルール」が一部の保護者を苦しめてきました。
以下は、2016年7月に大阪市の小中学生の子どもの保護者全員に配布された「大阪市PTAだより」からの抜粋引用。
「平成28年度大阪市PTA協議会総会が6月17日(金)午後4時から、北区の堂島ホテルで市内各単位PTAから約200人の代議員が参加して開かれた。総会には、吉村洋文市長、木下誠市会議長、山本晋次教育長をはじめ、教育委員会関係、各校園長会代表、市Pの歴代会長ら多くの来賓が出席し、28年度の活動のスタートを祝った。」
ちなみに、こうした総会後は料亭等で食事会が行われることが多く、某小学校のPTA会計においては、校長・教頭・PTA役員等出席者の飲食費は全額がPTA会費から支出されていました。
紙面上には、「総会で祝辞を述べる吉村洋文大阪市長」と、写真と共に掲載されました。
そして、大阪市長や教育長の名前や写真を連ねる同紙面上には、下記の文言。
「全員参加のPTAを目指して―『クラスPTA』の導入
全ての会員による『全員参加のPTA』とするために、活動の拠点を各学級に置き、保護者は子どもが在籍する学級の『クラスPTA』に所属します。担任の先生も加わって全保護者が公平に役割を分担し、学級の子どもたちのために協力し合います。」
「『クラスPTA』が導入されて3年目になりますが、まだまだ期待通りに機能しているとは言えません。これからも試行錯誤を繰り返しながら、全員参加が定着するよう取り組んでいきます。」
しつこいようですが、繰り返しましょう。
PTAは任意加入、入退会自由の私的団体。これは、文部科学省も明確にしていることです。にもかかわらず、学校もPTAもその事実を保護者に発信することなく、保護者の義務である給食費と共に当然のようにPTA会費を徴収している実態が依然として変わらずあるのです。
実際このように大阪市長、教育長をはじめとする行政庁が賛辞を述べる紙面において、あたかも全員参加が当然であるような誤解を与える発信がなされてきたわけです。
2.大阪府行政書士会の法的位置づけ
大阪府行政書士会は、大阪府内に事務所を置くすべての行政書士により構成され、令和3年6月3日時点で3,500人以上の会員を擁する強制加入団体です。
本来、憲法第21条で保障される結社の自由には、団体の結成・加入する自由だけでなく、加入しない自由も含まれます。そのため、この強制加入というのは法的に結社の自由の制約根拠をもつものとして、きわめて限られているのです。
国家資格取得後の会への強制入会制は、憲法第22条1項に規定する職業選択の自由(経済活動の自由)の制約の問題になるのではないかという点については、高度の専門性・公共性をもつ職業の資格認定が職業選択の自由を侵害するものとはならないとされてきたことから、一見問題にはならないようにも見えます。
しかしながら、資格取得後に実際にその仕事をしたくとも、たとえば高額の入会金が必要となるなど大きな負担が課せられていれば、職業選択の自由の違憲的制約と司法が判断する可能性も否定できません。そのため、会への強制加入については、その根拠や合理性について議論されてきたようです。
第二次世界大戦前の明治憲法下では、医師会、弁護士会、歯科医師会、薬剤師会、弁理士会など多くの公共的専門職能団体の強制加入制がとられていました。このような強制加入制がとられた背景には、職業の公共性、倫理性が強いため、同業者間の自主的規律による職業倫理の維持が必要かつ有効と考えられたことがあるとされます。
戦後、いったんは弁護士会、公証人会、弁理士会を除き強制加入制は廃止されたものの(GHQの1949年の司法書士法改正に対する修正意見として、「強制入会制をとらず、個人の自由意思を尊重し、個人に入会する権利を与える」という項目があったことから、連合軍による民主化政策の一環ともされています。さらに、1951年の税理士法制定時には強制加入制をとることは憲法違反という法制局意見が出され、任意加入制がとられることになりました。)1950年代後半から、各会の強い要求により、司法書士会、土地家屋調査士会、税理士会、行政書士会と相次いで強制加入制になっていったのです。
弁護士は時として国とも対立しての職務遂行する職責を担うため、弁護士の国からの独立性、自律性すなわち弁護士自治の確立は、司法制度の公正性により当然の求めであるといえますが、弁護士会以外の職能団体については強制加入を合憲とする根拠はないという見解も見られます。
強制加入制の組織においては、会員の基本権は当然保障されなければならず、基本権が損なわれる会の運営があれば、それは憲法に反することになります。税理士法改正運動資金として政治団体に寄付する目的で税理士会がした特別会費徴収決議については、1996年の最高裁判決で次のように示されました。
『税理士会は強制加入の団体であり、その会員である税理士に実質的には脱退の自由が保障されていない。したがって、会員の思想・信条の自由との関係で、多数決で決定した意思に基づいてする活動にも、そのために会員に要請される努力義務にも、おのずから限界がある。特に、政党など規正法上の政治団体に対して金員の寄付をするかどうかは、選挙における投票の自由と表裏を成すものとして、会員各人が市民としての個人的な政治的思想、見解、判断等に基づいて自主的に決定すべき事柄であるというべきであり、強制加入制をとる税理士会が、このような事柄を多数決原理によって団体の意思として決定し、構成員にその協力を義務付けることはできず、たとい税理士に係る法令の制定改廃に関する要求を実現するためであっても、法49条2項所定の税理士会の目的の範囲外の行為といわざるを得ない』(最判昭和50.1.28民集29巻10号1698頁参照)
強制加入制がとられ、しかも国民の生活にとって身近で公共性が高い業務を行う行政書士が所属する行政書士会は、国民の権利を守るという観点からも、会員である行政書士の職能倫理を確立し、業務水準を維持向上させるため、重要な役割と責任があるわけです。
行政書士法第15条、第16条の5において、行政書士会が会員に対し、その品位を保持し、業務の改善進歩を図るため指導及び連絡に関する事務を行うことを目的としていることが規定されています。
そして、組織の最高意思決定機関である総会において、会員が質問をする場が確保されていることにより、内部浄化作用が機能し、部分社会の法理も成り立つ一つの所以だと私は考えています。
しかしながら、残念なことに、この総会(大阪府行政書士会定時総会)で質問をするなという有形無形の様々な圧力が、行政書士会員である私にかけられていました。
総会質問を会員同士でけん制しあうことは、強制加入団体の発展を阻害することにもなり、また役員など組織内部において影響力のある行政書士が業歴の浅い役職のない行政書士にそうした圧力をかけることは大いに問題があることでしょう。
総会で質問しないことが、友達になる条件だとメールをしてきた同業者もいました。その先生も業歴は私と同程度でしたから、おそらく誰かにそのようなことを私に連絡するよう頼まれたのかもしれません。
さらには、実際に総会質問として提出した質問につき、事前に役員から個別連絡があり、その質問をしないでくれと頼まれたこともありました。なぜ質問してはいけないのかと問うても明確な回答はなく、結局それはあくまでもお願いレベルだということで、書面として質問状を出すのはやめる代わりに口頭で当日質問するということで合意形成されたにもかかわらず、実際に当日質問しようとすると阻まれ総会が一時騒然となったこともありました。
日本はやはり同調圧力が強い社会だと実感するところです。また、同調圧力に屈しないのが弁護士、同調圧力に呑まれるのが行政書士などと嘆かわしい話も聞いたことがあります。それでも私は、同調圧力に屈しない、法令を遵守して正しい倫理観に基づき、強きものや多数派に忖度や迎合することなく、たとえ孤立しようとも、自らの良心に基づき判断、行動する行政書士でありたいと思うのです。
本日海の日のブログの最後は、行政書士法人ひとみ綜合法務事務所が所属する大阪府行政書士会南大阪支部の本年度総会の一部をYouTube動画で公開しているものをご紹介します。
明日のブログで補足説明をしますが、もともとこの総会の前年である令和2年大阪府行政書士会定時総会において私が質問したところ、『支部のことは支部に聞いてください』という回答に終始されたため、やむなく支部で質問しようとしたところ質問さえ結局許されなかったというものです。
強制加入団体の法律家組織とは思えない総会で残念でした。お願いしたのは質問時間3分だけ。無視され皆が見て見ぬふりだったことに、失望もしました。
それでも私は、女性行政書士の矜持を忘れず頑張ります。だからあなたも負けないで。
「だからあなたも負けないで」
涙出ます。
この短い一言でどれだけの人が勇気付けられるでしょう。
世の中は同調圧力だらけ。理不尽なことだらけです。
よし❗私も負けない❗
三木先生負けないで下さい❗
孤高の人は美しいです。