①組織内でのパワハラ、いじめから生活保護~行政書士法人ひとみ綜合法務事務所の相談事例から考えるPTAほか社会問題と日本の教育の課題
大阪の女性行政書士の三木ひとみです。東京オリンピック開催により明日から連休となるため、同じテーマ(パワハラ、いじめ、PTA、教育等々)の連載形式でブログを綴ることにしました。
きっかけは、本日、行政書士の私自身が所属する強制加入団体、大阪府行政書士会という組織内部で長らく蔓延る、もはや犯罪の域といえる嫌がらせ行為について文書配布がされたことにも起因します。
こちらは昨年、行政書士法人ひとみ綜合法務事務所に届いた匿名の怪文書。既に大阪府警察黒山署に原本も提出し、捜査をしてもらっています。ほかにも数十人の行政書士に怪文書が出回り、中には自死を迫るカッターナイフ入りの封書が届いた行政書士もいます。
コロナ禍において特に女性の自殺が増加していますが、行政書士法人ひとみ綜合法務事務所にも追い詰められ自殺未遂に至った女性やご家族様からのご相談が今年に入り顕著に増えています。
直接的な生活困窮によるものだけでなく、外出自粛やコロナ感染リスクへのストレス等もあいまって、いじめや嫌がらせにより追い詰められているケースも少なくありません。
公立小学校PTAにおいて、ふとしたことから知ってしまったPTAの矛盾や問題を追求した母親は、母子ともに徹底的に攻撃の対象となってしまい、ついには離婚、生活保護にまで追い詰められてしまいました。
既得権益を脅かされることに憤りを感じた一部の地元権力者(PTA役員含)たちは、いわゆる大人の集団いじめを堂々と展開したのです。そして、都市圏でありながら、このいじめは皆に黙認され、ついには教員までもが加担するに至ったのです。
詳細は伏せますが、嫌がらせを受けたお母さんは、わが子のことだけでなく、すべての子どもを危険から守りたいと考えたことが行動のきっかけでした。そして、PTA会計不正の追及も、子を持つ親の懐事情を知るが故に黙っていられなかったのです。
しかし、閉鎖的で画一的な社会のひずみによって、母子は窮地に追い込まれていきました。わが子だけでなく、全ての子どものために。そうした純粋な気持ちから起こした行動は、ことごとく裏目に出てしまったのです。ついには追い詰められ、お母さんは自殺未遂を起こし、その現場を発見し110番通報したのは皮肉にもお子さんでした。駆け付けたパトカーのサイレンの音で近所中が何事かと集まってしまい、噂は瞬く間に広がり、夫は離婚し家を出て行きました。
その後、何とか生活を立て直そうとされたお母さんは生活保護を申請し、母子で生活保護を受けることで最低生活は守られ、福祉事務所にも近所中が自殺未遂の事実を噂で知ってしまったことから引越しをしなければあまりにも辛い事情を説明、理解してもらい、今は他県で安全に生活しています。
少々辛辣な表現になりますが、周囲に合わせた無難な行動を取る付和雷同の日本人が多いことによる、社会的犠牲者といえるでしょう。
行政書士法人ひとみ綜合法務事務所には他にも、
『PTAが任意加入団体であることを学校から保護者に周知するよう求めたら、必要な連絡を回してもらえず、あからさまな村八分にされた』
『PTA非加入であることを快く思わない担任で、児童が作文さえ自由に書くことを許されず、教員に叱責された』
このようなPTAでのいじめや仲間外れに関する相談はこれまで、多く寄せられています。
中には、PTA役員らが集団で学校に圧力をかけ、若い教員がその保護者たちの圧力に逆らえず、いじめは全て被害者児童に原因があるとされたケースもありました。保護者側は法務局、教育委員会、児童相談所にもSOSを出しましたが、ことごとく交わされてしまったのです。
「PTAは私的団体なので、行政は介入できない」
ということを理由に。
弁護士会の人権擁護委員会が調査に乗り出してくれ、いじめが実在したことと、学校の対応が不適切であったという結果を学校に通達してくれたことだけが最後の救いでしたが、時すでに遅し。被害にあった母子はすでに引越しをした後でした。
このような事例は、大なり小なりちがいはあれども、日本全国で起きていることなのです。PTAの不正会計や委員などの役割の押しつけ、仕事や育児、介護など個人的な事情で役割をこなせない人を村八分にするといった問題は、もともとのPTAの存在意義に相反することは、言うまでもないでしょう。
では、なぜここまでPTAが入退会自由の任意加入の私的団体であることを周知させるという、ごく当然のことに反発があるのでしょうか。PTA問題に潜む奥深い闇を少し追及していきましょう。
1.議員の支持基盤であるPTA
かつて、札幌市の市議会において某議員が、PTAが本来任意加入の私的団体であることについて触れたところ、あらゆる議員から激しいヤジが飛び、メディアもこれを報道しました。
発言が聞き取れなくなるほどの、狂気じみたヤジだったといいます。北海道文化放送のニュースにおいても、「PTA問題で騒然」と取り上げられました。
かつて札幌市のPTAは、「一人一役の原則」を打ち出し、全員加入を前提として、保護者全員が何らかの業務を行うことを呼び掛けていたのです。これは、本来任意加入であるにもかかわらず、おかしいのではないか、という声が一部から上がり、勇気ある議員が議会で発言したわけです。
PTAは、一部の議員の強力な支持基盤でもあります。PTA役員を何年も担ったあと、市議会等に立候補して当選というパターンも少なくないのです。このようなしがらみがあるからこそ、一保護者が地道な会計照会作業によって暴いた、学校と議員とPTA会費との三角関係ともいうべき金の流れが公になることは何としても防ぎたかったのでしょう。
しかし、諸悪の根源は当のPTA関係者だけではないということもまた、忘れてはならない事実です。
「PTAは私的団体なので行政は介入できない」として、貝になってしまう行政機関。これもまた、PTA問題の根深さを伺わせます。
各地域に存在するPTA協議会という組織は、行政職員の天下り先であることが多いのです。PTAに参加する保護者や教員はボランティアでも、これを生業にしている組織があるわけです。
PTA加入が任意であり、PTA会費を支払わず非加入という選択肢があることを一般に広く周知させれば、困るのはこうした既得権益のある組織や議員。PTA会費の収入が減れば、自分たちの仕事が奪われる可能性があるとなれば、必死で阻止します。学校もまた、同じ公務員の天下り先を守りたいがために、PTA組織を守ろうという向きが見られます。そして、彼らを敵に回したくない大勢の者たちもまた、PTAを徹底して保護しようとするケースがあります。
政党の掲げる構想を実現するため、地元選挙で多く票を獲得しなければいけない議員が、PTAという後ろ盾の大きな組織を敵に回すことなどできないというのでしょう。PTAによる既得権益の保護の側面の一つです。
この文書は、行政書士の三木ひとみが本人訴訟にて、インターネット上に名誉棄損となる誹謗中傷の書き込みをした同業者(行政書士)に対して損害賠償を求め決定した和解金を当初の分割から一括払いにて払いましたという、相手方代理人弁護士から届いたものです。他者の権利を脅かす軽はずみな言動(不法行為)は、自分に返ってきます。
先日も、行政書士法人ひとみ綜合法務事務所のホームページ問合せフォームを悪用し業務妨害となる内容を送付してきた人がいるため、天王寺署にて現在IPアドレスを用いて裁判所に令状を求める刑事手続きを進めて頂いています。
2.PTAの法的問題点
本来自由加入であるにもかかわらず、それを知らされなかったのだから、不当利得だと主張して、PTA会費の返還を求める訴訟も近年起こっています。※生活保護受給者の方がこうした訴訟により金銭を勝ち取った場合は、基本的に収入申告の対象となりますが、実際にはいろいろなケースがあります。これはまた、別の機会に書きたいと思います。
保護者にPTA参加をするかしないかの自由があることを知らせず、当然のように給食費と共に口座引き落としをかけている自治体は、この問題を深刻に受け止めるべきでしょう。声なき声ではない、被害者が大きな声をあげていたにもかかわらず、その声はかき消され、なきものとされたケースもあり、行政の責任は重いと考えます。
PTAの違法性については、徐々に弁護士など法律家や専門家も触れるようになってきました。入退会の自由があるにもかかわらず、実質その自由が保障されていないPTAは違法であるという指摘をする法律家も増えています。
教育関係団体を名乗り、公的な場である学校を活動の拠点としながら、子どもに真似をされたら困るようなことを平気で行うPTAが多いのも実情でしょう。そして、その主たる原因は、個々のPTAの問題ではなく、議員の支持基盤の確保や公務員の天下り先確保といった、既得権益による横暴ともいえるのです。強制加入や自動加入によって、当然のようにPTA会費を徴収し、全員平等と言って仕事がある人や事情がある人にも仕事を押し付ける。本来「子どものため」であるはずのPTAに巻き込まれたことによって、今回取り上げた実例のように、子どもが健やかに育つ基盤の家庭が崩壊されることもあるのです。
PTAが本来の活動ができるよう、民主的で公平公正な姿に戻すためには、現在の既得権益化したPTAを解体するしかないのかもしれません。特に問題があるのが、PTAの上部組織。各区には、区PTA連合会、市には市PTA協議会、国には日Pという上部組織が存在します。これらの上部組織はすべて、一保護者が支払うPTA会費の上納金で賄われているのです。多くの税金もまた、投入されています。
こうしたことを踏まえると、
「PTAは私的団体だから、行政は介入できない」
という、多くの行政機関の言い訳は、言い訳にならないはずなのです。
PTA活動を批判すると、あらゆる既得権益つながりの団体や個人からの匿名での批判が殺到するため、新聞やテレビ局といったメディアもPTA問題に切り込みにくいと考えられています。
→続きは次回、『組織内でのパワハラ、いじめから生活保護~行政書士法人ひとみ綜合法務事務所の相談事例から考えるPTAほか社会問題と日本の教育の課題②』にて!
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