誹謗中傷による名誉棄損~身近で起こり得る犯罪被害と告訴

特定行政書士の三木ひとみです。英語での会社設立や入管実務に関するブログが続きましたが、今回は誰にでも起こり得る、身近なテーマです。


こちらは、行政書士の三木ひとみ(私、手前)と補助者の瀧下和弘さんのお知り合いで現役の看護師さん兼、趣味の和装髪飾りなどの制作販売を手掛けている多彩な素敵な女性のお客様。この日はその自営業に関するご相談でしたが、あまりにお着物がお似合いなのでブログ掲載の許可を頂きました。

本題の前に、長かった米大統領選で史上最多の投票数を得たとされる、民主党のジョー・バイデン氏の勝利宣言(victory speech)の中から私が気になったフレーズを紹介させてください。

It’s time to put away the harsh rhetoric.
To lower the temperature.
To see each other again.
To make progress, we must stop treating our opponents as our enemy.

以下は、私の意訳です。

過激な誹謗中傷をやめる時が来たのだ。
熱を冷まし、お互いの目を見る時が来たのだ。
前進するために、意見の異なる相手を敵とすることを、もうやめるのだ。

日本経済新聞はharsh rhetoricを「暴言」、毎日新聞は「辛辣な言葉」と訳していますが、rhetoricは日本語でもレトリックとカタカタ語として使われ、美辞麗句、誇張などとも訳されますが、ことスピーチや書面においては行き過ぎた大袈裟な表現(the undue use of exaggeration)として使われることが多いです。harshは口語でもよく使われる、「ひどい、好ましくない、意地悪な」といった意味です。分断したアメリカ社会で、いかに相手を傷つける悪口雑言が飛び交っていたかが窺い知れます。

英語の授業のように解説してしまうと、英文の2行目以降のto+不定詞は、1文目のIt’s time to~(~するときが来たのだ)が省略された、形容詞的用法。
It’s time to eat./食事の時間ですよ。
It’s time to sleep./寝る時間です。
このスピーチの4文はすべて、~する(ための)時間です、という意味合いです。

こんな具合で、学生の頃から英語の家庭教師や塾講師もやっていました。英検1級を保持し、通訳翻訳の実務経験もあるため、弁護士や司法書士、同業の行政書士の先生方から英語の契約書の翻訳などを頼まれることもあります。経済的事情から英語を習いたくても塾や予備校に通えず独学している苦学生のために(かつての私もそうでした)、何らか私個人としてできないかを模索しているものの、なにぶん業務が非常に多忙でお客様をお待たせするわけにはいきませんので、ブログで役立つ情報を今後も発信したいと思っています。

本題に入ります。


こちらの画像は、ツイッターで先日、全国区で有名な女性司法書士のかようまりの先生と、行政書士の三木ひとみとのやり取りです。

国際政治も今はSNSが標準ツール、各国の首脳もこぞってバイデン氏の大統領選挙勝利に「おめでとう」ツイートを発信しました。

真偽不明の情報や、それこそ辛辣な人を傷つける言葉harsh rhetoricが飛び交うツイッターには及び腰でしたが、今年の10月に遅ればせながらツイッターアカウントを開設しました。

私がSNSを利用する目的は主に、コロナにより経済的なダメージを受けた方々、申請さえすれば正当に受けられる行政支援があることをまだ知らない方、オンライン申請は難しいと諦めてしまっている方(特に多いのが家賃支援給付金)、行政書士に頼むとその費用で手元にお金が残らないのではないか思っている(行政書士以外の悪徳業者のような高額手数料ではないことは勿論、国家資格者である行政書士の費用は公的機関が補助金を出してくれる場合もあり、行政書士法人ひとみ綜合法務事務所の本店所在地の大阪府松原市も期間限定で行政書士費用の半額を市が負担してくれます。)情報が届いていない方々に、官と民の架け橋的存在である行政書士を知ってもらいたいという点に尽きます。

そんな始めたばかりで更新もそれほどしていないツイッターですが、たまたま、同じ女性士業で法律業界では名の知れた先生がネット上の誹謗中傷で悩んでいることを知りました。貴重な時間や精神力を、不法行為の対処に奪われること自体が大きな損失、損害で、許しがたいことです。

私も、本当に同業からの(どちらかというと女性が多いですが、男性からも)いわれなき誹謗中傷に心を疲弊された時期がありました。そのため、素通りできず、思わず他県の面識もない他士業の先生でしたがコメントを残したところ、温かいお返事を頂いた際のやり取りです。


こちらも私のツイッターに公開した画像で、一般の方は目にする機会の少ない、告訴受理のさらに先、起訴処分通知書というものです。

私の父親は長年、神奈川県警察の刑事課強行犯係の刑事でした。そのため、行政書士になるずっと前、子どもの頃から自宅の本棚に並んだ刑法関連の書籍を手に取って、判例集などは読書のような感覚で興味深く読み入ったものです。


警察は刑事事件の第一次的な捜査を行い、検察庁は起訴・不起訴を決定するための捜査を行います。警察官には起訴権限はないため、裁判所に対して起訴する(=処罰を求める)責任がある検察官は、単に警察から送付された捜査記録を確認するだけでなく、真実を見極めるためさらに事件当事者から別に直接事情を聞き、事件の真相解明に努めてくれます。
コロナ下においては、検察庁に出向くのではなく、検察官が告訴人に電話をして事情を聞くケースが多くありました。

長年刑事だった父は、「警察が動かない」というドラマなどでよく聞くセリフが大嫌いだと言っていました。

インターネット上でのトラブルなど、警察に相談や通報をしたのに相手にしてもらえなかったという相談は、行政書士法人ひとみ綜合法務事務所にも寄せられます。もちろん、ネット上の誹謗中傷なども、犯罪行為に該当する場合は警察に刑事告訴をして、警察に捜査を開始してもらうことは可能です。

名誉棄損罪は、相手の社会的評価を下げる可能性のある具体的事実を公然と適示した場合に成立します。その公表された内容が事実か嘘かは関係ありません(公益性のある真実を除きます)。

不特定多数がアクセスできる状態のネット上で、相手の社会的評価を低下させる悪口を書いてしまうと、名誉棄損行為として処罰対象となり得、法定刑は3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金です。

たとえ起訴されて有罪になり、刑罰が科されるところまでいかなくても、捜査の対象となって警察に何度も呼び出されるということは、被告訴人にとっては大きな痛手です。警察の取り調べは通常平日昼間に行われるため、そのために仕事を休むことになったり、警察が自宅に来たり電話をかけてくることで家族に告訴の内容を知られてしまう可能性もあります。

伝統的に、警察の権限の濫用を防止する見地から、警察が私生活に介入すべきではないとされ、警察が告訴受理に消極的姿勢を見せることにも影響していると考えられます。また、判例上警察が告訴受理を拒否できるケースもあり、たとえば告訴状に記載された事実が不明確だったり、事実が特定されていない、犯罪が成立しないことが明白なもの、既に公訴時効が成立しているものが挙げられます。

刑事訴訟法第241条によれば、告訴は口頭でも可能とされていますが、正確性に欠けることから実務上は口頭ではなく書面による告訴が一般的です。


とはいえ、緊急性のあるもので証拠保全のため、過去に口頭で告訴の意思表示をしたケースに立ち会ったこともあります。夜間の来署でしたが、朝方まで調書作成をして頂いた刑事さんには頭が下がる思いでした。

最後に、インターネット上の誹謗中傷について名誉棄損などの犯罪で刑事告訴する場合の注意点です。
犯人を知った日から6ヶ月以内に告訴をしなければ、上記に挙げた警察が告訴を受理しない正当な理由に該当し、犯人の処罰を求めることができなくなりますので、ご注意くださいね。

行政書士法人ひとみ綜合法務事務所も、犯罪被害者のサポートをしています。告訴状の作成・提出の代理代行のみならず、上司や同僚のパワハラなどにより精神的に追い詰められて仕事ができなくなってしまい生活困窮に陥る方も多く、そうした方々の生活保護相談も全国対応、年中無休で対応しています。

誹謗中傷による名誉棄損~身近で起こり得る犯罪被害と告訴”へ3件のコメント

  1. アバター 福岡県 H.S様 より:

    毎日お疲れ様です。
    コロナが全国的に増加してますね。大阪もかなり増えてるので心配です。くれぐれもお気をつけ下さい。
    ブログの内容に関係なくて申し訳ないですが
    私事ながら最近母が施設入所しまして心にぽっかり穴が開くとはこんなことなんだと痛感してます。
    こんなときにうつになるんだろうなと思います。
    季節の変わり目や異常気象などで自律神経が乱れてるのかはたまた更年期か体調不良に悩まされてます。よく依頼者の方のお手紙にもありますが精神障害を患ってる方はこんな辛さなのかなって思います。私は身体障害者なんでわかりやすいですが精神障害の方はなかなか理解してもらえないことも多いんでしょうね。他人の痛みに鈍感な人が多すぎです。だからネットで誹謗中傷することだけが楽しみな人が増えるんでしょうね。コロナが猛威を振るう今、そんなことよりやることがあるだろって思います。

  2. アバター 特定行政書士三木ひとみ より:

    H.S.様、いつもコメントをありがとうございます!お母様は、介護施設に入所されたのですね。国内の新型コロナウィルス感染者は昨日、1日あたりの感染者数が初めて2千人を越え過去最多を大幅に更新してしまいました。このタイミングで施設に入られていることは、何よりお母様の生命の安心に繋がるものと思います。医療体制のひっ迫も懸念されていますから。

    私は今週、やむなく回避してきた他県出張をまとめてしているところで、岡山、姫路、金沢と移動していますが公共交通は使わず全て車移動で極力人との接触は避けて感染予防を徹底しています。私も職業後見人として、被後見人で施設入所されている高齢の方々を訪問することが多いので、公共の場にカバンを置いたらそれを持ち上げて手に取る際に側面、底面を除菌シートでふき取るなど接触感染のルートを断ち切ります。どこに触っても除菌生活なので、今年に入って風邪すら引いていませんが、過信は禁物ですから引き続き気を引き締めて責任を持って職務に当たります。

    H.S.様ご自身もお気を付けくださいね。精神力が弱っているとき、身体の免疫力も低下すると聞きますから。

  3. アバター 福岡県 H.S様 より:

    度々失礼します。
    三木先生、あたたかいお返事ありがとうございました。
    涙が出ました。

    そうかそう考えたらいいんだ❗と思いました。母の施設入所でなにもできずふさぎこんでましたが、入所は母の命を守る事になるんだ、と気づかせてもらいました。ありがとうございます。
    寂しくて視野が狭くなってたんですよね。以前も三木先生のブログで心と体は連動してるから気を付けた方が良いということを書かれたのを覚えておりました。気分転換しつつ少しでも元気になろうと思います。
    ありがとうございました。

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