民法改正~2020年施行の配偶者居住権について~
行政書士の三木です。令和元年10月12日、大阪府行政書士会の同じ天王寺支部所属の池田晃宏先生にご招待いただいて、一般社団法人日本相続支援士会の研修と設立3周年の懇親パーティーに参加してきました。
一般民事事件に精通した、弁護士の舘康祐先生による、相続法分野の民法改正に関する解説はとても勉強になりました。
配偶者居住権が新設
2020年4月1日から、配偶者居住権という新たな制度が始まります。夫に先立たれた妻が、引き続き住み慣れた自宅で生活できるように、民法が改正されたのです。
法改正前は、どうだったのでしょうか。
二度の婚姻歴、前妻の元に成人した一人の子、後妻との間に成人・独立した子が一人いて、夫婦二人で生活していたケース。亡くなった夫に3000万円の自宅と1000万円の預金資産があった場合、引き続き妻が夫名義の自宅に住み続けるためには様々な困難がありました。
たとえば、遺産分割で妻が引き続き自宅に居住するためには、妻は相続権のある前妻の子に代償金の支払が必要となるので、その分で生活費が少なくなってしまうという問題がありました。また、遺贈や生前贈与をしても、前妻の子に対して遺留分侵害分の支払が必要となりました。
使用貸借の設定については、登記がなく対抗力がないので、自宅を相続した前妻の子が売却してしまえば、やはり妻は住み慣れた家で暮らすことができなくなるというリスクが常に隣り合わせでした。
夫に先立たれた妻が自宅に住み続けられる権利
遺産分割で賃借権を設定しても、賃料の支払を妻が前妻の子にすることでやはり残された妻の生活は圧迫します。
また賃借権を設定することで妻が亡くなった後は妻の子など妻の相続人に賃借権が相続されてしまうので、相続で仮に前妻の子が自宅を取得してそれを後妻に貸すとなると、前妻の子が自分で住みたいと思っても利用することが長期間制限されてしまうという、双方にデメリットが生じてしまうという実態がありました。
配偶者居住権の新設によって、夫に先立たれた妻は生きている間、終身住み慣れた家に(その建物を相続しなくても)原則無償で住み続けることが比較的容易にできるようになりました。
そのため、残された妻は、夫が残した預貯金も相続しやすくなりますし、使用貸借とちがって登記をすることができるので、配偶者の保護が強化されたといえます。
妻が死亡すれば配偶者居住者権は消滅するので、賃借権のように相続人に相続されることもなく、これは前妻の子にとっても一定のメリットがあるといえます。
相続業務は各士業の連携が大事
相続においては、相続税を中心とする税金の問題、登記を含めた不動産の問題、生命保険や生前贈与など、様々なことをご家庭のケースごとに考え、最適な方法をお客様が選択できるよう提案する、士業者の力量が求められるところです。
税理士、弁護士、司法書士、不動産鑑定士、ファイナンシャルプランナーなど、それぞれの分野の専門家と連携することが重要になってきます。
行政書士単独では取り扱えない業務分野もありますが、提携している弁護士の先生などと土日祝日も携帯電話で連絡が取りあえることで、スムーズに必要なお客様に必要な専門の先生をご紹介することができるのです。逆に、生活保護を専門にしている士業者は大変少ないので、休みの日に弁護士や税理士の先生から急ぎのお客様のご相談を受けることもあります。
生活保護と相続の関係
超高齢化社会が進行する中、行政書士法人ひとみ綜合法務事務所でも、ご家族さんがいざ亡くなってから「さて、困った!」「お父さんの生前に色々考えて、やっておけばよかった!」というご相談は増えています。
また、相続人である他のご兄弟が先手先手で色々提案してきて、あれよあれよという間に相続放棄に同意してしまって、住んでいた家まで追い払われることになってしまった、と生活保護の相談に来られたお客様も実際少なくないのです。
他人事と思わず、元気なうちに遺言書を作成しておくことをお勧めします。ちなみに、行政書士法人ひとみ綜合法務事務所のスタッフは20代~40代ですが、なんと全員既に遺言書(自筆証書遺言)を作成しているのです。
来年2020年7月10日には、自筆証書遺言の保管制度も始まります。公正証書遺言とちがって費用、手間暇が少ない自筆証書遺言の利便性がより高まるので、こちらのご相談は意外なことに若い方からもよくお受けしています。
まさしく、今、遺言とか成年後見制度とか相続の事が急に気になり出し考えなければと思っていました。今までは仕事と介護に追われて考えもしませんでしたがもうそうも言ってられない年齢になったのでしょうね。そういう現実からすぐ目をそむけてしまうのが私の悪い癖です。図書館で調べようと思いつつ膨大な書籍の多さに疲れてしまいます。三木先生、厚かましくて申し訳ありませんがいつか遺言とか相続関連のことをざっくりと簡単に特集していただけないでしょうか。どうしても今、社会から孤立してるので情報がないです。母はともかく私も考えるべき時期が来たような気がします。
S様、いつもブログを読んでコメントを下さって、ありがとうございます!行政書士の三木です。昨年2018年7月に民法(相続法)が40年ぶりに改正されて、今年~来年にかけて相続に関するルールが大きく変わりつつあるんです。法律ができても(公布)、施行といって実際に法が適用されるまでには一定期間が設けられていることが多いのです(公布と同時に施行の法律もあります)。
たとえば、これまではずっと、自筆証書遺言(自由にいつでも書ける遺言)は本文だけでなく所有不動産の内容など財産目録という部分もすべて手書きでなければ、無効とされてきました。間違えてしまった部分も、法律で定められた訂正方法で直さないといけないので、自筆証書遺言の作成は簡単そうで実は大変な作業でした。改正によって、財産目録はパソコンで作成できるようになり、不動産は登記事項証明書のコピーや、預貯金は通帳のコピーを手書きの代わりに添付できるようになりました。
自筆証書遺言のリスクとして、自宅保管では死後発見されなかったり、あるいは誰かに悪意を持って隠されてしまうといったことがありましたが、これも改正によって法務局で遺言書を保管してもらえるようになりました。自宅で遺言書を保管している場合は、家庭裁判所で検認という手続きをしなければいけないのですが、法務局に預けている場合は検認不要になるので自筆証書遺言を作成して法務局に預けるという人が今後急増するのではないかと私は思っています。
ブログでも、これから遺言や相続関連のこと、できるだけ最新の役立つ情報をご紹介していくようにしますね!
ブログ見ましたー!榎田さんかなりお辛そうで心配です。
僕も原因不明の身体の不調は多々あったので、苦しさが痛いほど分かります。
この機に、お体の回復を第一に無理なさらずご静養なさってくださいね。
三木さんは清楚な感じでお洒落ですね♪
僕の家庭訪問に初めて同席してくださった時に、水色のスカートを履いてらしてお洒落やなって思ったのを思い出しました。
昔からファッションが大好きで服装は気になって見てしまうんです!
前に三木さんから頂いたアロマオイルのボスウェリアを使いきっていたのでネットで探していたところ、サプリメントでも売っていました。
少し気になりましたが飲むより香りの方が良いですよね?
三木さんの意見が聞きたいです!
徐々に寒さが増してくる季節です。
くれぐれもご自愛くださいね。
行政書士の三木です。T様、いつもコメントをありがとうございます。
行政書士法人ひとみ綜合法務事務所の榎田啓先生は、今年6月に交通事故に遭って以来、直接的な外傷以外にも原因特定も難しいような症状に悩まされてきました。
加害者側の誠意・配慮のない対応(一時停止無視の車による衝突だったため、過失は圧倒的に相手側にあります)によりやむなく、刑事告訴に切り替えたところ起訴されましたので(内容的に不起訴になることを想定していましたが)初犯ではなかったのかもしれません。
交通事故によるものに限らず、様々な不調でお悩みの方は多いので、榎田先生の闘病しつつ仕事に励まれる様子がお客様にとって何らかの希望に繋がればという代表自らの思いもあり、お写真を先日のブログに掲載しました。
私は行政書士ですが、同時にアロマセラピー1級を保持するアロマセラピストでもあるので、西洋では医学にも取り入れられているアロマエッセンシャルオイルの効能を家族や友人に伝えたり、プレゼントすることがあります。アロマセラピーは基本的に香りによる癒し効果がありますが、ハーブティーなどのように食用に取り入れられる場合もあります。ネットですと試すことができないので、体調がよろしいときにアロマの専門店などで香りを試してみて、T様が心地よいと思われる香りを選ぶと、そのときの体調に適したアロマを選びやすいと思います。ショップの方もアロマの知識があるので、アドバイスしてくれるはずですよ。