交通事故への備えと事故後の適切な対処法

女性行政書士の三木ひとみです。東京都渋谷区のバス停に座っていた路上生活者の60代女性が、突然40代男性に頭を殴られ外傷性くも膜下出血で死亡した痛ましい事件には、心底憤りと悲しみを感じました。

ここ大阪でも、路上生活者は減ったとはいえ、男性だけでなく女性も、ほぼ毎日見かけます(私の出身地である横浜市金沢区の住宅街では、ホームレスを見たことなどなかったので、同じ日本でそのような人がいるのかと大人になってから知って驚いたものです)。

行政書士法人ひとみ綜合法務事務所にご相談に来られる方のお子さん用に、お菓子を常備していますが、ご兄弟が多いご家庭のときはあっという間になくなってしまうことも。

コロナ禍の緊急事態宣言下においては、籠る家のない方々が行き場なく、肩身狭そうに大阪市内のホテルのロビーやショッピングセンターに来られていました。わりと身ぎれいにされた(このあたりの感覚が男性路上生活者との違いのように思います)、女性の姿も目立ちました。

警備員さんに出ていくよう促されたスーツケースを2つ引いた、背骨の曲がったご年配風の女性には、見かねて女性行政書士の名刺をお渡ししたこともありました。そのようにこちらからお声がけすることは、通常決してしないのですが、行き場所も相談する所もなく路頭に迷っていらっしゃるのかもしれないという思いから、失礼を承知で
「お困りでしたら、ご連絡くださいね」
と、お伝えして女性行政書士の顔写真、事務所連絡先が明記された名刺をお渡ししたところ、一瞬笑顔になりましたが連絡はありませんでした。

本当に明日食べるものもない、それどころかもう何日もまともな食事をしていない、行き場所もない、それでも事情があってご自分で役所に相談に行けない方、行ったけれども救済してもらえなかったという方々も実際にいます。

何年か前に、東京の警察署から私宛に連絡があり、公園で倒れていた路上生活者の男性の所持品の中に私の名刺があったというお話を伺ったこともありました。(どのようにして私の名刺を持っていたかは結局不明のまま。)

行政書士、補助者、事務スタッフそれぞれの家族の生活があるので、行政書士法人ひとみ綜合法務事務所は、有料相談、有料対応で業務をしています。

ただ、本当に生活にお困りで、行き場がない方に、寝床(独立した住居)を提供してくださる良心的な物件オーナーさん(税理士など士業の先生が家主のものが中心)、信頼できる不動産会社さんと提携していますので(いずれも当然ながら生活保護費を巻き上げるような貧困ビジネスではありません)、無償でご紹介させて頂くことが可能な場合もあります。

そうした物件に単独で入居された上で生活保護申請を行い、その日からの食料の援助(生活保護決定するまでの緊急救済)を行政に求め、また家賃についてもオーナーさん、不動産会社さんのご厚意のみで初期費用を免除していただき、日割り家賃も保護決定後に生活保護制度で支給される住宅扶助費で後払いで対応してもらうなど、民間と行政の救いの手に繋げる術はあります。

本当にお困りの際は、行政書士法人ひとみ綜合法務事務所に限らず、SOSの声をあげてくださいね。

※当行政書士事務所から不動産会社さん等をご紹介させて頂くにあたっては、一定の要件がございます。他の入居者様や不動産会社さん、家主さんのご都合もあるため、必ずしもご紹介をお約束できるわけではありません。また本件に関するお問い合わせは、極力HPのお問い合わせフォーム経由でご連絡をお願いしております。

ここから、本題に入ります。
今日は、老若男女問わずご相談の多い、交通事故について街の法律家行政書士の目線で、いざというとき役立つ情報を書きたいと思います。

交通事故は、いつ、誰が当事者(被害者あるいは加害者)になってもおかしくありません。離婚や相続のように自分の意思や日頃の心がけで完全に予防することも困難で、他人事ではなく我が身に降りかかってくるかもしれないトラブルといえるでしょう。

また、実際に起きてからでは時間的、気持ち的に余裕がないため適切な対処ができなかったことを、後悔する人も少なくありません。これを読まれている方も、心当たりがあるかもしれませんね。

私自身、若い頃に自転車走行中に車にはねられ、健康体が幸いして痛みをこらえ、ひょいと立ち上がりました。そして、心配そうに窓から顔を出してこちらを見ているドライバーに対して、
「大丈夫です!すみませんでした!」
と、礼儀正しく頭を下げて自ら加害者側を立ち去らせてしまったことがありました。不注意だった自分が悪いと咄嗟に思い、恥ずかしさも相まっての行動でした。

毎日自転車通学していた高校生の頃の話で、壊れた自転車を押して家まで帰ることもできずに、地元中学校の友達にPHSで連絡して駆け付けてもらったところ、やはり同級生も警察に連絡をするという考えには及ばず、二人でハンドルの曲がった自転車を懸命に押して横浜の急坂を上って帰宅したのです。

教員だった母からは、なぜ警察をすぐに呼ばなかったのと怒られ、警察官の父は自分の娘に交通事故に遭ったときの正しい対処法(すぐに110番通報)を教えていなかったことを悔やんでいました。

行政書士法人ひとみ綜合法務事務所の代表榎田啓先生もまた、高知県の国立大学在学中に、バイク走行していたところ、不注意運転の自動車に追突される被害に遭いました。私のように自力で立ち上がることができない、大怪我でした。

大阪の両親に迷惑をかけてはいけないと考えた榎田先生は、すでに成人していたことから、相手方の保険会社との対応もすべて自分でやったとのこと。

ただ、所詮は若い大学生です。百戦錬磨の保険会社に良いように丸め込まれた・・・と書くと言葉が悪いかもしれませんが、骨折し2ヶ月入院してリハビリも要した大事故(今も後遺症が残るそう)にしては、驚くほど低い金額(医療費実費とお見舞金30万円程度)で示談に応じてしまったと、これまた後悔が残る苦い経験をしています。

こちらは、先週末に弁護士の先生から届いたばかりの交通事故の調停調書。行政書士法人ひとみ綜合法務事務所がいつもお世話になっている大阪の法律事務所の弁護士の先生に代理人となって頂き、事故から1年を経て和解となりました。

個人情報をすべて伏せていますが、あまり一般の人が目にすることのないものなので、参考までに。裁判所が別紙として作成した、当事者目録という、正確性が強く要請される裁判所の重要な事件記録です。

個人情報を伏せた、公開差し支えない範囲での実際の調停条項です。

このケースは、車同士の衝突事故。骨折などに至らなかったものの、むちうちや脳外傷など、後から自覚症状が出る場合もあるので事故当日に病院に行って受診することが大切です。

相手方の保険会社は、事故後一ヶ月ほどで通院費実費(交通費含め)の支払いを(継続した通院はこれ以上不要と勝手に判断のうえ)拒んだため、すみやかに行政書士から弁護士の先生にバトンタッチし、納得のいく結果(解決金約200万円)に結びついてよかったです。

交通事故直後の車の写真。一時停止を怠った車に追突され、相手方は通院もしなかったようです。

調停や裁判よりも、交通事故紛争処理センターを利用する方がメリットが大きい場合もあります。中立公正な立場で、和解あっせんを交通事故の損害賠償に詳しい弁護士が無料で行ってくれるので、安心して利用できます。あっせんが不調になった場合は、審査会に審査申し立てができます。

そして、後遺障害認定や裁判になった際に納得いく結果を得るためには、実況見分調書を取り付けていた方が良いのです。実況見分調書とは、交通事故の状況について警察が現場検証し、事故当時の状況について明らかにするための書類です。刑事手続きに使用されるだけでなく、民事手続きにおいても、損害賠償の過失割合の決定などの際に参照元となるため、きわめて重要なものです。

この実況見分調書は検察庁で取ります。またこの際には、加害者の起訴不起訴の有無も確認しておくといいでしょう。

実況見分調書がなぜ必要かというと、たとえば、衝突の際に被害者の身体にどれほどの衝撃があったのかを推し量ることで、傷害と自覚症状の間に因果関係があり、後遺障害が認められるべきだという展開も考えられます。相手の保険会社から、怪我と事故には因果関係がないと主張されることは、よくあります。

実況見分調書を取り付ける時点で加害者側が不起訴になっている事がわかり、被害者側がその実況見分調書を分析し、衝突から停止までの距離、そこからスピードを計算し、相手方の過失が問われることになったケースもあります。検察審査会に対して厳罰を求め、審査請求書を提出するに至りました。被害者側の過失をゼロにし、検察審査請求を取り下げるという話し合いが成立し、満額賠償金の受け取りにつながったケースです。

PTSD(交通事故後のフラッシュバックといった症状が代表的)など、被害者自らが適切な診療科に足を運んだり、立証資料を集めないと後遺障害認定などで認められにくいものも少なくありません。また、事故による心理的影響は個々人により違います。精神科受診では薬物療法の治療が中心なので、症状が軽く精神薬に抵抗がある人は、まずは心理カウンセラーに相談するというのも選択肢の一つです。

事故後に新たな自覚症状が現われた場合は、面倒がらずに受診をしましょう。頚髄捻挫・腰椎捻挫に伴ってバレーリュー症候群(倦怠感、めまい、耳鳴り、腹痛、不眠、頭痛、難聴、食欲不振、下痢、脱力感、眼精疲労、動悸など自覚症状は様々ですが、症状が多いほど疑いが濃厚といわれます)が発症した場合は、ペインクリニックを併設する整形外科へ早急に転院した方が良いでしょう。また、医師とコミュニケーションをなるべくしっかり取って症状と事故との因果関係を理解してもらえる信頼関係の構築も大切ですが、毎日沢山の患者さんを診るため時間も限られていることから、毎回の診察ごとに症状をメモに書いて渡しカルテに細かな変化を記録してもらえるようにする(自分でもコピーを控えとして取っておく)と、より安心です。


大阪西成の介護施設に入所されていた被後見人様と月に1度程度お散歩に同行していましたが、自転車の無法地帯のような路地では危険を感じたものです。

新型コロナウイルス対策で人との接触を避けられる通勤・通学手段として自転車の利用が巷で増えていますが、自転車事故で加害者になると高額の損害賠償を求められる可能性があります。保険加入を義務化する自治体もありますが、やはり自己責任ですから、交通事故リスクへの備えなくして自転車は乗らない方が良いというのが、私たち行政書士法人ひとみ綜合法務事務所の意見です。

自転車対歩行者の事故では、自転車に乗っていた加害者に高額の損害賠償を命じる判決が相次いでいるのです。最高額の9,521万円の判決は、事故当時11歳だった小学生。夜間に自転車で帰宅していた男児が、歩行していた60代女性と正面衝突して女性の意識が戻らなかったケース(2013年神戸地裁判決)。

男子高校生が日中車道を自転車で斜めに横断したところ、対向車線を直進していた自転車と衝突し、安全運転していた20代男性が言語機能を失う障害を負ったケースでは、9,266万円の損害賠償額が確定しました(2008年東京地裁判決)。

加害者が未成年者で家族が賠償金を支払えなければ、自己破産を余儀なくされるだけでなく、被害者にも慰謝料が渡らず二重の悲しみ、苦しみを生じさせてしまいます。

行政書士の私の実例、これは自分のことなので包み隠さず具体的に挙げることができますので、ご紹介します。

私は高校生の頃だけでなく、国際基督教大学に入ってからも自転車通学中に右折してきた自動車にはねられた経験があります。その日は試験の日だったので、時間に間に合わないと成績に関わると思い、雨の車道にほうりだされても咄嗟に立ち上がり、高校生の頃の自転車事故と違って自転車も動いて乗れる状態だったので、自分の判断で110番通報をやめてしまい、大丈夫ですと車の運転手に告げ、再び自転車に乗って大学へ向かいました。

無事に試験が終わり、履いていたジーンズがなかなか乾かず、不思議に思い手を当てると鮮血が止まらない状態でした。オーストラリア人の教授も驚いてしまい、時間に遅れたら試験を受けさせないというのは交通事故の被害の場合はまた別なんだから、なぜ病院に行かなかったんだと嘆いていました。今も右足脛に傷跡が残りますが、これも事故直後に110番通報して警察に現場検証してもらい、通院費、交通費、慰謝料等請求できたケースでした。

社会に出てからは、自転車の自損事故で転倒し、骨折には至らなかったものの顔面からコンクリートに突撃してしまい(カーブを曲がるところで突然パンクしたようで、自転車のメンテナンスを怠っていたことが原因)10針縫合しました。

県民共済に加入して安価な掛け捨てとはいえ特約を色々つけて毎月9千円ほど保険料を払っていたため、3ヶ月の通院費(1日3千円)と、残った顔面の傷跡が半年時点で3.5cm以上だったため、100万円以上の保険金が別に入りました。こうした民間の保険金は請求しないとおりないので、実際に掛け金を払っているのに内容を理解していないと損をしてしまいます。また、請求するにしても、真面目に通院して診断を得る必要があります。

※私の顔面の傷も今ではよく見ないとわかりませんが、主治医は半年間真面目に通院していたので診断書作成にも協力的でしたし。保険会社の担当者も人間ですから、シビアな判断を回避してくれた面が見受けられました。

生活保護を受給すると保険を解約しなければいけないとか、保険加入している状態で生活保護申請をしても通らないなど事実ではない情報もインターネット上に見かけますが、掛け捨ての医療保険に加入しながら生活保護を受けることは可能です(詳しいことはここでは割愛します)。

2020年9月の時点で、宮城、山形、埼玉、東京、神奈川、山梨、長野、静岡、滋賀、京都、大阪、奈良、兵庫、愛媛、福岡、鹿児島の16都府県と仙台、さいたま、相模原、静岡、名古屋、京都、堺、岡山、福岡の9政令市が自転車利用者に民間保険への加入を義務化する条例を制定しています。
上記以外の自治体でも、努力義務を定めているところも増えています。

損保各社は自転車利用者向けに、「自転車保険」を販売しています。ただ、必ずしも新たに自転車保険に加入しなくても、現在加入している自動車保険や火災保険の特約として付帯されている個人賠償責任補償でカバーできる場合が多いので、自転車に乗る人はまず、自分や家族が加入している自動車保険、火災保険に個人賠償責任補償が付いているかを確認するのが良いでしょう。

個人賠償責任補償は、買い物中の商品破損や、飼い犬が人様に怪我をさせてしまった場合など、日常生活のリスクに幅広く対応するのに特約保険料は月額150円程度と安いのです。しかも、同居家族が起こした事故も補償してくれます。

実は私が行政書士登録した2016年、春先に突然、他人宅から出てきてしまった子犬に後ろから足をかみつかれてしまった出来事がありました。子犬ですし、飼い主さんも大したことないと思ったのでしょう、「ごめんなさい」と走ってきて子犬を抱きかかえ立ち去ろうとしました。

私はすでに街の法律家、過去の手痛い経験は繰り返しませんでした。飼い主さんには、すぐに警察に来てもらうので待ってくださいとお願いして連絡先も交換しました。病院にはタクシーで当日すぐ向かって、飼い主さんにも同行してもらいました。

飼い主さんの自動車保険に個人賠償責任補償が特約付帯されていることを確認してもらい、保険会社との交渉も私自身で行いました。

たかだか子犬に噛まれたぐらいで、という反応が飼い主さんと保険会社の担当者から感じられるようになったため、私は管轄の警察署に「被害届」ではなく「告訴」の相談をするようになりました。被害届と告訴の差は大きく、警察はなかなか告訴を受理したがらないものですが、このような飼い主の不注意による事故は被害者の年齢や持病によっては大怪我になりかねないことなので、告訴受理の方向で進んでいました。

ただ、警察署にて当事者同士の話し合いの場を一度設けてもらったところ、こちらの納得のいく解決金支払いの提示があり、同時に告訴をしないという和解内容で一件落着となりました。

このように日常的なトラブルの備えに便利な個人賠償責任補償ですから、今加入している保険に付帯されていない場合は、自転車保険の加入を検討することをおすすめします。インターネットやコンビニで簡単に契約できるものが多く、LINEで加入できる自転車保険の保険料は月額千円です(損保ジャパン)。今年の契約数は昨年の3倍以上だそうで、コロナ禍における変化の一つといえるでしょう。

自転車通勤の方はもう一つ大事なこととして、労災の通勤災害として治療費や休業時の賃金などの保障を受けるためには、次の3つの条件を満たす必要があります。

①仕事のための移動
②自宅と仕事先の間の移動
③合理的なルート、方法の移動

問題になりやすいのは③で、公共交通機関による通勤とちがい、自転車の場合は自由にルート変更ができるので、私的行為における事故とみなされると、通勤災害として認められなくなるのです。よくあるのが、仕事後に自宅とは別の方向の店で食事をしてから帰った場合などです。そうした場合の事故は労災に認められないリスクがあることを念頭に置いて行動すると、おのずと慎重になってトラブルを未然に防ぐことにも繋がります。寄り道はしないでまっすぐ帰宅することで、コロナの感染対策にもなりますね。

令和2年12月12日土曜日、行政書士法人ひとみ綜合法務事務所の一部スタッフ(他メンバーはお客様対応のため事務所に常駐でした)で2時間ほど短いクリスマスランチ会で日頃の労を労いました。

安全なソーシャルディスタンスを確保するため、4人ずつのテーブルに分かれました。ドリンクは全員ノンアルコールで、ごく短時間の会食でした。この後も、行政書士と補助者は仕事に戻りました。

 

リッツカールトン大阪のロビーは至る所で、この季節ならではのデコレーションが見られました。

健康に留意して、年末年始も休まず行政書士法人ひとみ綜合法務事務所は交代でお客様対応を行い、通常通り業務を行います。

コロナ禍における日本社会で、一人でも多くの方が安心して令和3年の幕開けを迎えられるよう、多種多様な行政・法務サポートに、行政書士として全力で取り組んでまいります。