生活保護法は日本全国、公平平等に交付施行が当然になされているはずだが、役所によって生活保護申請者や受給者に対してこうも異なる対応をするのかと日々驚かされる。

生活保護の実施運用は地域によって全く異なる

たとえば、大阪府大阪市中央区。これまでの生活保護業務において、中央区では異性と同居の状態であれば同一世帯とみなしての審査のみで例外はなかったとのこと。

実例を挙げると、男女関係を解消して元交際相手名義の家から退去を迫られている無職無収入の人が、食事もできないために生活保護申請をした。無職無収入のその人が保護費を受給するためには、元交際相手も生活保護申請が必要となり、元交際相手に資産収入があると退去を迫られている無職無収入の同居人も保護を受けられない。

机
机 / oberheim

役所は元交際相手の家を出たらいいと言うが、その金があれば困らない。実際中央区において、早く家を出ていけと催促する元交際相手宅から民間賃貸へ引越をしたくても費用がないためにできず、病院にも行けず栄養失調状態なのに生活困窮から抜け出せないといった相談が当事務所にあった。

昨年、大阪市北区と城東区において当事務所で生活保護申請書を作成提出して保護決定した事例―いずれも元交際相手の家に居候している状態で保護決定し保護費支給を受け、公費で引越をしているーを中央区に伝えたところ、当初の頑なな拒否姿勢から一転、結果的に中央区も生活保護決定を出し、無事にお客様は元交際相手宅から自身の名義で借りた民間賃貸住宅への引越費用も中央区から支給してもらった。

そして、神奈川県横浜市中区。精神疾患を患う本人から依頼を受けて、委任契約のもとに生活保護申請書を当事務所にて作成、代理提出したところ、審査を進めるためには本人が役所に直接来所して本人の意思表示をすることが必須であるとして譲らなかった。他の福祉事務所においては、本人の健康上の理由等で行政庁への来所が困難な場合には家庭訪問などで役所の人間が動いて意思確認等をしてくれると行政書士が伝えても、聞く耳もたず。結果、数日後に本人は自殺という最も悲しい選択をし、本人不在の中、生活保護決定がなされた。役所の人間は、結局一度も直接生活保護申請者であるお客様と話をすることはなかった。

かたや、大阪府某市では、福祉事務所内では前例がないにもかかわらず当事務所から他の福祉事務所での対応を聞き、すぐに柔軟に申請者の救済をしてくれた。お子さん三人を持つシングルマザーのMさんは、不慮の事故により日常生活を送ることも困難な身体となり、お子さんの食事を用意することはおろか、お金が尽きてコンビニのパン1個を分け合って食べるような緊迫した生活を送っていた。どこに相談しても助けてくれず、当事務所に電話をかけたとのこと、当日中に行政書士二名で車でお客様のご自宅へ伺って申請書を作成し代理提出をした。

福祉事務所は当初こそ、家庭訪問はすぐにはできず、家庭訪問を終えてからでなければ貸付金の交付や食料援助はできないとかたくなだったが、ご本人ご家族の最低生活が全く確保されていないことを再度行政書士が電話で伝えたところ、翌日に急遽家庭訪問をしてくれた。その場で、病院へ行くためのタクシー代と食費として8千円も貸してくれたと、Mさんは役所の柔軟な対応に感謝。一つ、いえお子さんたちの命も救われた事例だ。

大阪市生野区での家庭訪問に関するとある事例

さて、今日の本題は、大阪府大阪市生野区の生活保護担当部署における横暴極まりない対応である。大阪府大阪市生野区には当事務所のお客様が多数在住しており、これまで幾度も保護申請書を作成、代理提出してきた。少なくとも、当事務所から生活保護申請書を提出した大阪府大阪市生野区での生活保護申請は、すべて保護開始決定がなされてきた。

先日の事。

生野区の福祉事務所が当事務所のお客様へ家庭訪問を実施しようとした。このお客様は生活保護受給中であり、当事務所と顧問契約を交わしている状態。90歳を超えていて目もあまり見えず、耳も遠く、体調も優れない日が多いため一人で役所相手の対応をするのが非常に困難だ。そのため当事務所では、これまでも家庭訪問の同席を行ってきた。

もちろん役所が管轄内の生活保護受給者に対し、一定期間毎に家庭訪問を行う事は調査権限として認められている。しかし過去、この家庭訪問において生野区役所はかなり非常識な対応をしてきた。

行政書士が家庭訪問同席のため、訪問時間を決めて待っていたにもかかわらずその時間に現れない。30分以上待ち、ご本人の昼寝の時間が来たため、訪問日を変更してほしい、チャイムを鳴らさないでほしいと電話を役所に入れたにもかかわらず、行政書士が数件先の介護サービス施設に手続きに行っている間に要介護の90代のお客様が一人昼寝をしていた部屋のチャイムを鳴らし、入り込む。そして家の外では近所の人が聞いているにもかかわらず、お客様が生活保護受給者であるとわかる内容を大声で話しだす。

なお生野区の福祉事務所の職員が、生活保護受給者あるいはそのご家族の家の前で、生活保護受給者であるとわかるような内容を大声でしゃべったという相談は、今回の一件だけでなく過去に別のお客様の家庭訪問時にもあった。

あまりにも個人の情報をないがしろにしているため、こういった事があるたびに当事務所は生野区福祉事務所へ抗議し是正を求めてきた。

抗議を行うと

そして今回。

このお客様への家庭訪問時にはいつも行政書士が立会うので、これまでは、あらかじめ日時を知らせて訪問してくれていた。90代のお客様は電話での意思疎通が困難なため、役所から家庭訪問の連絡があると、行政書士がお客様のご自宅へ都度伺い、お昼寝中のときは家の一階の方が教えてくれるので伝言をしてもらっていた。

このような経緯があり、生活困窮する高齢のお客様がきちんと生活保護を継続できるように、お客様の要望に基づいて行政書士がサポートしてきたというのに、大阪市生野区は何に業を煮やしたのか、このお客様のもとへ通う介護サービス事業所に連絡をしてきたのである。

大阪市生野区で家庭訪問を担当する嘱託職員より介護事業所に電話があり、介護ヘルパーがいる時間帯に家庭訪問をすると、90代のご本人の体調も都合も確認することなく、また日にちも時間も指定することなく一方的に「ヘルパーがいるときに行く」と通達してきたのである。

ヘルパーの立場としては、役所の人間がサービス対象者の自宅へ入ってくるのを止める権限がなく、かといって防犯上の問題や本人の意思もあり、役所に対して訪問を許可する回答もできず、困り果て、代わりに当事務所から役所へ連絡をして欲しいと電話があった。

当事務所より生野区福祉事務所へ電話。
タイミングが悪かったのか担当者へなかなか電話がつながらない。生野区の場合、ケースワーカーが直接家庭訪問をするのではなく、家庭訪問担当者とケースワーカーは別の人間である。この家庭訪問担当者(嘱託職員)と連絡がとれず、結局その上司と思しき生野区生活保護適正化部門のY氏と話すことになった。

しかしここでY氏よりとんでもない発言が飛び出す事となる。
当事務所の行政書士がご本人からの依頼に基づき家庭訪問の同席を行っている旨、また立会いのために訪問する日時をご本人の健康上の理由から事前に知らせて欲しい旨を伝えるも、なかなか譲らないY氏。

家庭訪問立会いの理由の一つとして、過去に家庭訪問担当の嘱託職員による個人情報漏洩と思しき不適切な言動があったため、お客様が不安を抱えていることなどを伝えると、Y氏より飛び出してきたのが「業務妨害で刑法に触れる恐れがある」という言葉であった。

さらにはこの件について「弁護士会に照会中である」という、脅しともとれる発言。話の中で「業務執行妨害」という言葉を何度も使っていたが、これは「業務妨害罪」と「公務執行妨害」とが混ざった中途半端な知識による発言であろう。

行政と市民の架け橋として

当事務所においては、全国の都道府県市町村の福祉事務所による家庭訪問の同席を過去何度も行っており、相手方の福祉事務所は全て立ち会う事を認めている。

当事務所に家庭訪問同席を依頼するお客様は、耳が聞こえず役所の人の話す言葉が全くわからず女性行政書士とだけ意思疎通ができる方、難病を患っているにもかかわらず役所の過剰な就労指導により自殺未遂に追い込まれた方、長年引きこもりで他者とのコミュニケーションが怖くて取れず信頼する行政書士がそばにいないと役所の人と話すことができない方など、自分一人での家庭訪問対応ができず家族もサポートができない人たちである。

医師がお金のない目の前の患者を診察しないという行為ができないこと同様に、行政書士は依頼を不当に断ることが行政書士法上できないとされている。
行政書士法 第11条

行政書士の本分は「行政と市民の架け橋」となることである。当事務所は、生活に真に困窮する方が不当に生活保護を受けられず憲法で保障された最低生活が脅かされることのないよう、どのスタッフも日々朝から晩までサポートに徹している。

大阪市生野区生活保護適正化部門のY氏の言動は生活保護受給者の正当な権利を脅かす行為でもあり、決して看過することはできない。

生活保護受給者が健康上の理由から事前に家庭訪問日時の教示を求め、家族や行政書士に同席を頼むことが果たして、Y氏の主張した業務妨害いわば不法行為に該当するのか、もしそうならその根拠法令の教示について、大阪市生野区に正式に質問状を提出し、書面回答を求めることになった。

弱者の人権を無視するような行政行為に対して、私たち行政書士法人ひとみ綜合法務事務所は決して屈しない。また、憲法第25条で保障された国民の最低生活および憲法第3章において保障された国民の権利義務について、地方分権を逆手に取るような行政の暴走により地域格差が起きてはならないのである。

続き-後日談です
大阪弁護士会からの当行政書士法人の業務に対する調査と結果について

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