令和元年10月1日から、消費税が8%から10%になりました。元をたどれば、2012年の旧民主党政権時代、消費税率5%から10%へ段階的に引き上げることに合意。最初の合意から7年、5%→8%の増税から5年半ぶりの、消費税率引き上げだったわけです。

外食とアルコール類を除く飲食料品と定期購読の新聞は8%に据え置く軽減税率が導入されたとはいえ、消費税は生活必需品を含む幅広い物品やサービスに対して一律に課税されるので、逃れることはできません。

消費税の逆進性

生活保護受給世帯など、税金を払う余裕のない人や、本来税の負担者となるべきではない子どもにも容赦なく課せられることから、逆進性(個々の経済能力に応じて負担するという本来の税制度に反して、お金のない人ほど税負担が重くなるということ)が問題視されている消費税がさらに上がったというわけです。

たとえば、100円でモノを買った場合、平均収入を得られている健康な人は10円の消費税など取るに足らないものと感じるかもしれません。でも、一日わずかなお金で生活している人にとっては、この2円の重みが大きいのです。

水道代も増税されましたが、人間が摂取すべき水分量が所得に応じて変わるわけではないので、やはり増税分の重みが大きいのは経済的弱者なのです。

これこそが逆進性というもので、消費増税は低所得者層への過酷な負担増である一方で、富裕層にとっては本来もっと税負担すべきところが(低所得者層や子どもが税負担してくれることで)軽減されている、つまり高所得者層にとっては減税ともいえるわけです。

どうして、負担能力に応じて納税するという原理に反する、庶民を苦しめる消費税が上がってしまったのでしょうか。

本来、消費税は社会保障費に充てられるべきもの

安倍晋三首相は、消費税が10%になった当日、官邸でこう言って、集まった記者団に対して増税への理解を求めたそうです。
「全世代型社会保障制度改革を進めていく大きな第一歩となる。」

2019年、令和元年は、「全世代型社会保障元年」だそうです。高齢者でも負担できる人には、少子高齢化と人口減少などによる国の財政再建と社会保障の支え手となってもらう、ということ。

生活保護制度を維持するために、増税が必要なんですよ、と言われればなるほど説得力がありそうですが、本来国に多額の税金を払うべき大企業が税金逃れをしている現実があります。

大企業が優遇されている税制度

日本の法人は、規模が大きいほど税の負担率が実質軽くなっていますが、これは課税されるベースとなる所得が課税の範囲から抜け落ちる、タックス・イロージョンに大きく起因します。

タックスイロージョンが起きてしまうのは、多額の研究開発費を投入できる大企業にとって有利な、優遇税制が存在するためです。ほかにも、法人が法人へ払う配当金が無税になったり、国境を越えた課税逃れ、はたまた大企業は課税ベースを縮小させるテクニックに富んだエキスパートも雇用して、財務報告書や税務統計上でも明らかにならないようにしています。

今年6月に4200億円の申告漏れが発覚したソフトバンクグループもこの手法を用いているとされています。

課税制度の差異を利用した、タックス・シェルターと呼ばれる課税逃れのための金融商品も富裕層は多く利用しています。個人向け商品だけでなく、グループ企業内の国境を越えた取引により低い課税国へ資産を移したり、過小資本といった課税を逃れるスキームも、タックス・シェルターの一つです。

広がる富裕層と貧困層の格差

本当のところ消費税は、社会保障費に充てられるよりも顕著に、大企業の法人税減税、富裕層の所得税減税の穴埋めに実質なっていると私は考えます。

なぜなら、平成30年間は消費税の時代とも称されますが、その30年間で法人税と所得税の税収は年間14兆円以上減り、一方で2018年の消費税収は17.6兆円。消費税が導入され、税率もどんどん上げられ、いっぽうで富裕層の税負担が減ったので、実際には消費税導入、増税により社会保障制度が支えられているとは言い難いでしょう。

日本では、富裕層と貧困層の格差が広がっていると言われて久しいですが、こうした現象は税制の問題点から生じている必然ともいえるでしょう。

そういえば、格差社会という言葉が使われるようになったのも、平成の時代でした。最近、大阪市内のシティホテルの駐車場にずらり並ぶ高級車を見ると、バブル到来かと錯覚を起こしそうになります。

生活保護費の減額によって聞こえてくる悲鳴

行政書士法人ひとみ綜合法務事務所には10月に入ってから、生活保護を受けている方からの悲痛な声が沢山届いています。

昨年、今年、来年と3年間、毎年10月に段階的に生活保護費の引き下げがあります。

行政書士法人ひとみ綜合法務事務所の拠点である、大阪のような都市部在住の「40代夫婦、小中学生の子2人」の世帯については、年間10万円以上も保護費が減額され、ただでさえギリギリの生活を送る人が多いのに、これではお子さんの部活動代の支払など到底できないでしょう。

とかく人の痛みには鈍感になるものですが、私共行政書士法人ひとみ綜合法務事務所には毎日、実際に生活に困った方がお越しになります。40代夫婦、小中学生のお子さん2人がいる生活保護受給中のご家族さんの顔がありありと浮かびます。

お父さんが突如病気を発症して仕事を失い、その後の就職活動も上手くいかず生活に行き詰って役所に行くも門前払い。あらゆる友人知人からお金を借りてしまい、「首を吊る前に最後の賭けと思って相談に来ました」と泣きながら、行政書士法人ひとみ綜合法務事務所に駆け込んでこられたお客様からのお手紙はこちらです↓。

申請から決定する期間も早く、主人もすぐに病院へ通院することができ、現在パニック障害の治療中です | お客さまの声

面談相談を終え、「完成した申請書を明日行政書士が代理提出します、明日役所で当面の生活費も貸してもらいましょう」、と私が言うなり堰を切ったように泣き崩れたお父様の姿が今も脳裏に焼き付いています。

生活保護費の引き下げに対して

今回の生活保護費の引き下げには、国連機関からも弱者の人権侵害だとする懸念が寄せられています。司法に訴え、戦っている人達もいます。

行政書士法人ひとみ綜合法務事務所としては今後を注意深く見守ると共に、私たち特定行政書士にできることを誠実に確実に行っていくつもりです。