不正受給に関して、特定行政書士三木ひとみがMBS(株式会社毎日放送)のインタビュー取材を受けました

「大阪府堺市の職員が生活保護費を不正に支給していた疑いがある」
として、令和5年3月13日大阪府警察が堺市中区役所に家宅捜索に入るという、異例の事態となりました。

生活保護制度、特にこの不正受給に関して、特定行政書士三木ひとみがMBS(株式会社毎日放送)のインタビュー取材を受けました。3月20日月曜の夕方のニュース番組「よんちゃんTV」にて放送予定とのこと(当日の変更もあり得るので未確定ですが)。

捜索を受けた大阪・堺市中区役所の生活保護を担当する生活援護課は、行政書士の私もこれまで何度も訪れている場所。毎日、生活保護新規相談の方や、生活保護受給中の方が病院や引越しの件で相談に訪れます。平日日中一般の方がいないということは、まず、ないフロア。段ボールを持った捜査員が沢山入ってくる光景に、驚き、不安を感じた方もいたことでしょう。

令和4年11月、堺市中区の集合住宅で一人暮らしをしながら生活保護を受けていた60代の男性は、無残にも他者からの暴行で殺害されました。殺人の疑いで逮捕された隣人男性も、同じく生活保護を堺市中区で受給していたようです。

捜査関係者によると、この殺害されてしまった60代男性と、殺害容疑で逮捕された30代男性は、二人一緒にたびたび堺市中区の生活保護窓口を訪れていたとのこと。ただ、生活保護費は通常、新規申請直後の保護費支給初月を除いては、銀行振り込みで支給されます。コロナ前は生活保護費を現金で窓口受け取りする人も少なくなく、保護費支給日には長蛇の列となる役所も多くありました。

生活保護申請や保護を受給していることは究極のプライバシー、個人情報ですが、このように列になって保護費の支給を待つことで、「生活保護を受けている」ことがわかってしまうことは、常々問題だと思っていました。

生活保護受給者が少ない大阪市天王寺区などは、保護費の支給日もさほど混雑せず、封筒に個別の生活保護費が入っているものを渡されるなど、プライバシーに配慮された対応がなされていました。ただ、保護受給者の方が多く大変な混雑になる区役所では、同じ大阪市内であっても、流れ作業的で面食らう人もいるようです。新型コロナウィルス感染症の拡大により感染予防対策が求められていた頃、保護費の受け取りは可能な限り口座振り込みが推進され、現金受け取りでの役所の窓口混雑はだいぶ解消されたように思います。

身寄りのない生活保護受給者の方の後見人として、あるいはその他の個別の事情により行政書士の私も生活保護費を現金で受け取りに役所に出向いたことは多々あります。ただ、特別の事情がない限り、大事な生活保護費は本人が直接受け取るべきものです。過去には、生活保護費を他人に取り上げられてしまい、生存権が脅かされた悲しい事件もありましたから、役所も生活保護費が本来の目的である憲法で保障された生存権の確保のために使われているか、他人の利益となっていないか、常に気を配っているはずです。少なくとも、行政書士の私の知る限り、ケースワーカーは生活保護受給者の方の権利が守られ、また制度上の義務やルールに沿うよう適切な指導に努めています。

しかしながら、この堺市中区においては、生活援護課の担当者が生活保護費の不正受給に関わっていた疑いがもたれています。具体的には、生活保護制度上、本来厳格な手続き審査を要する運転免許の取得費用が、いとも簡単に支給されていたようです。

世帯全員の収入や資産などでは、生活していくことが難しくなったとき、健康で文化的な生活を送るため最低限必要な保護費が支給される国の制度が、生活保護制度です。

生活保護制度では、生活をする上で必要となる様々な費用に対応した扶助が支給されます。どのような生活を送る上で生じる費用かによって、対応する扶助の種類が決まります。扶助の種類は全部で8種類です。

①生活扶助
食費等の個人的費用が年齢別に算定されます。光熱水費等のどの世帯にも共通した費用は、世帯人数別に算定されます。母子家庭など、特定の世帯には加算もあります。
生活保護では、誰と誰が同じ世帯にいるのかをしっかりと確認され、支給額が決定するのです。生活保護制度でいう世帯というのは、同じ住居に住んで、生計を同一にしている人たちのことです。つまり、血縁関係や親族関係にかかわらず、同じ財布で一つ屋根の下で暮らしていれば、他人であっても基本的に同一世帯とみなされるということです。

②住宅扶助
アパート等の家賃です。これは定められた上限額の範囲内で実費を支給します。

こちらは、許可を頂いて掲載している実際の生活保護受給者の方(一人暮らし)のお部屋です。

学生時代のいじめにより不登校となって心の病を患ってしまったのです。夜眠れず、あまり薬に頼りたくないと行政書士に相談があったので、アロマテラピー1級の知識をここぞとばかり活かしたご助言したところ・・・生活保護費をやりくりされて少しずつ増やされたそうです。生活保護費を節約して、自分の趣味や嗜好に充てることは当然の自由であり、権利です。

③教育扶助
義務教育を受けるために必要な学用品を買うお金です。定められた基準額があるので、その金額が支給されます。


注※テーブルに乗ってはいけませんよと、このあと注意しました。

④医療扶助
医療サービスの費用で、直接医療機関へ支払われるため本人負担なく病院にかかったり、薬をもらうことができます。

⑤介護扶助
これもまた、直接介護事業者へ支払われます。介護サービスにかかる費用は、本人負担なしということです。

⑥出産扶助
医療扶助とは別に出産にかかる費用として定められた範囲内で実費が支給されます。

⑦生業扶助
就労に必要な技能の修得等にかかる費用。これも定められた金額の上限があり、その範囲内での実費の支給となります。

⑧葬祭扶助
生活保護を受けている人が亡くなったときの葬祭にかかる費用で、これも定められた範囲内で実費が支給されます。

自動車運転免許取得に要する費用の支給は、⑦生業扶助の技能習得費としてなされます。ただ、申請をすれば必ず支給されるものではありません。

生活保護制度による自動車運転免許取得費用は、通常の生業扶助費や技能習得費の上限を上回る高額のため、「特別基準」という慎重な審査を経て支給の有無が決定されます。

技能習得費の特別基準は38万円と高額です。どういうケースで支給されるかというと、免許の取得が雇用の条件となっているなど、就労が確実で自立が見込める場合などに限り認められます。免許を取れば就職しやすくなるとか、交通事情から車の免許がないと通勤や仕事に就くこと自体が困難といった理由では現状認められないので、この支給要件を緩和すべきという自治体からの意見も見られます。

今回の堺市中区の生活保護費(免許取得費)不正受給と思しき事案については、そもそも慎重に審査されるべきものが、いとも簡単に特別基準の38万円の高額で支給されてしまったようです。大阪市も堺市も、この免許取得費については各区の福祉事務所の裁量ではなく、福祉事務所の決定のあとに更に市においても審査を経て決定します。仮に堺市中区の一職員が不正と知りながら目をつむったとして、その後上級行政庁である堺市の会議、審査でも支給決定となったのは、なぜだったのか、疑問は募るばかりです。

先日も、生活保護受給者の方から、技能習得費の特別基準で申請をしたものの残念ながら支給要件を満たさないとして通らなかったので生活保護費を節約して自力でお金を貯めますという前向きなご報告を頂きました。このように、自立を目指し、就労意欲のある方でも、申請をして簡単に支給されるわけではないのが、高額な技能習得費の特別基準の審査の現状です。

生活保護受給世帯の高校生で、学校が終わると毎日のようにアルバイトに精を出し、自分で稼いだお金で免許を取る学生もいます。自動車運転免許など就労に繋がる技能を習得する経費については、アルバイト収入が生活保護費の計算上の収入から除かれるのです。

生活保護を受けながら学校へ通っている若い方たちが、自分の進路を自分で決めて、将来の自立に向けてがんばっているというのに、行政機関の職員が生活保護の不正受給に関わるなど、生活保護制度への国民の信用が失墜することは、断じて看過されてはなりません。

大阪府警察は、堺市に損害を与えたとして背任の疑いで区役所の家宅捜索に入ったので、押収した資料の分析により詳しい経緯が明らかになり、生活保護制度の公正な運営が、日本全国で常に確保されることを願います。

行政書士法人ひとみ綜合法務事務所の特定行政書士である榎田啓、三木ひとみがデジタル推進委員に任命されました。
こちらは、デジタル庁から付与された任命状。オープンバッジも付与されました。