扶養照会で千葉県の生活保護行政で不可解な対応
今回のブログは、日本全国の生活保護行政の改善に繋がるよう、この度の千葉県の福祉事務所の不適切な対応により「不安で眠れない」ほど心を痛めた当事者の方のご希望に沿って、公益性高い内容として、実際の福祉事務所名や役所から届いた書面をお客様の個人情報を除き公開します。
令和5年4月5日水曜朝、千葉県でご親族の生活保護が決定して安堵していたはずのご家族から、切羽詰まったメールが行政書士法人ひとみ綜合法務事務所に届きました。
三木先生
お世話になっております。
また役所から書類提出期限4/7(金)の催促が来ました。
ここまでされると不安になり、昨晩もほとんど眠れませんでした。
アドバイスいただけますでしょうか。
そして、お客様がメール添付されたPDFファイル4点の書面の内容には、これまで多数の扶養照会に関する行政文書を見てきた行政書士でも、驚きを隠せませんでした。これは、お客様が不安と恐怖で眠れなくなったというのも、納得のおそろしい内容だったのです。
上は実際に届いた書面です。内容を抜粋して解説します。
「その節はお忙しい中、長柄町役場まで御足労下さりありがとうございました。」
→これも本来強制ではないものの、別居のご親族の生活保護申請をされた方が、役所の任意の協力要請の求めに応じて役場に出向いたことへのお礼の内容です。これは何ら問題ないことです。
「メールを拝見したところ、「今後も経済援助のできない親族に関する個人情報の提供は駅兼ねます。」「生活保護受給者本人ではない親族に関する大切な個人情報の開示については、提出したもの以外はお答えしません。」とありました。」
→平日日中はお仕事をされているご親族さんは、行政書士とのやり取りもメールで進めてきました。そのため、役所とのやり取りも必要であればメールで対応したいと希望され、役所もそれに対応してくれました。これは、役所の配慮ある対応で評価しています。ただ、生活保護決定後も、一度提出したご親族の扶養照会の書面を【空白も埋めてください】と何度も送り返し、任意の協力要請の範疇を越えていると思われる対応がありました。そのため、お客様からこうした行政対応の相談を受けた行政書士が、メールではっきりと意思表示することを助言したのです。
「(お客様のお名前)が上記のように考えられるのは当センターの説明が不足していると思われますので、下記の通り説明させていただきます。」
→通常、扶養照会で書面が親族から役所に戻ってこなくても、あるいは記載できるところだけ記載された状態で返送されてきても、それを再度送り返して執拗にすべての欄の記入を求められることはありません。むしろ、扶養照会通知を送っても実際に返送してこない、ましてや経済援助をする親族が非常に少ないことから、国会においてもこの扶養照会の意義については議論されてきました。扶養照会、親族へ役所から書面を送り生活保護申請について知られてしまうということを心配する困窮者が生活保護申請を躊躇う大きな心理的要因、ハードルにもなってきたため、社会問題化して現在では明確に扶養照会をしないでほしいと意思表示した申請者については、その意思を尊重するよう通達を出している自治体もあります。
さて、こちらの千葉県長生保健福祉センターにおいても、扶養照会を強制するような誤解を与えてしまったと説明をしてくれるのかと思い読み進めると・・・。
「1.生活保護法第4条第2項は、民法に定める扶養義務者の扶養及び他の法律に定める扶助は、すべてこの法律による保護に優先して行われるものとすると定めている。」
→つまり、生活保護は最後のセーフティーネットであり、扶養義務者による扶養があればそちらが優先されるとか、そういったことを言いたいのでしょう。
「2.民法第877条第1項は、直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務があると定めている。
なお、「自分の親及び兄弟姉妹に対する扶養義務」は、「扶養義務のある者が自分(配偶者・子がいる場合はそれらも含む)の社会的地位、収入等に相応した生活をしたうえで、余力のある範囲で、生活に困窮する親族を扶養する義務」とされています。」
→扶養義務をことさらに強調していますね。
「3.ついては、(お客様のお名前)様が(生活保護受給者の方のお名前)様に扶養を行う必要があるか否かは(お客様のお名前)の世帯が社会的地位、収入等に相応した生活をしたうえで余力があるかを社会通念に照らして判断する必要があり、その判断に必要なため(お客様のお名前)様の世帯全体としての収支等に関する情報を御報告されるよう生活保護法第28条第2項に基づき報告を求めているものです。」
→この内容は、行政書士としても初めて目にする内容ですから、この長生保健福祉センター独自に担当者が作成した内容と思われます。この内容が厚生労働省のホームページに記載されていれば、「親族が一定以上の収入であれば、(たとえ別居していようと経済援助がなかろうとも)生活保護を受けられない」と誤解してしまう人もいることでしょうね。このような記載が公的機関のホームページ等に記載されているのは、さすがに見たことがありません。
「4.当センターとしては、生活保護法第29条に基づき、官公署や(お客様のお名前)様及び御家族の勤務先企業等に調査する方が確実ですが、職場に対し調査されることを嫌う方もおられることから、(お客様のお名前)に対する配慮として自主的な報告をお願いしてきたものです。」
→驚きの内容ですね。生活保護受給者の方への経済援助をしておらず、別居している親族の勤めている会社に役所から調査をすることができる、それをされたくない人が多いから、自分で申告した方がいいですよ、と警告(脅し?)ということのようです。」
「5.扶養履行の回答は前回返送した扶養届書により行うものとし、提出期限は令和5年4月7日(金)とさせていただきます。なお、当該期限を超過しても御提出が確認できない場合は、直ちに生活保護法第29条の調査を行いますので御了承ください。
→こちらも、驚愕の内容としかいえません。行政書士が見たこともない、恐ろしい内容です。ちなみに、この書面は3月31日付けですが、お客様が受領されたのは4月4日でした。令和3年10月以降郵便局の普通扱いとする郵便物の届け日数が繰り下げられたことから、到着日に締め切りがある郵便物を差し出す場合はあらかじめ日数に余裕を持って差し出すよう、郵便局も注意喚起しています。4月4日の夜は「ここまでされると不安になり、昨晩もほとんど眠れませんでした。」とお客様が翌朝行政書士にメールされるような、不快で不安な一夜だったのです。仕事で疲れて帰宅したお客様、家庭の事情もおありで親族に経済援助ができないというのに、あまりにも酷い話です。尚、もともとお客様は当初の扶養照会では返送すら拒否、電話番号など全ての個人情報の開示を拒否されたいとのことでしたが、行政書士の説明を聞いて、「緊急時の連絡先としてなら」と連絡先を記載して役所に返送したのです。
書面の最後に、この長生健康福祉センターがことさら協調している生活保護法第28条第2項と生活保護法第29条が貼付されていました。
通常、この生活保護法第29条に基づき雇い主や勤務先の会社に収入の状況等に関する報告が求められるのは、生活保護受給者本人の収入に関するものです。一部の雇い主はこの回答を拒否し、正確な収入の把握ができないがために不正受給に繋がることもあり、これは問題です。生活保護受給する本人の収入は、生活保護費の金額計算にも必須です。ただ、これも役所から勤務先に直接連絡をするのはやめてほしいと希望を伝え、所得証明など他の手段で収入を役所に認定してもらうことができます。
生活保護法令においても、この第29条の規定に基づく調査はあくまでも相手方の任意によるものであることに留意する必要があると定めています。
「報告を求めることができる」という言葉の意味として、保護の実施機関、福祉事務所長の能力規定であるにとどまり、要保護者の扶養義務者に対する義務規定ではないのです。そのため、親族に調査、報告を強制できないことは当然であって、ましてや明確に何度も「これ以上の親族の個人情報の開示はできない」と、拒否しているというのに、4月7日までに書面提出しなければ29条に基づき家族の職場・勤務先会社に直ちに役所から調査をかける、とする書面は、脅し以外のなにものでもなく、明らかに福祉事務所は親族に対し強要しているといえるでしょう。
厚生労働省はホームぺージにおいて、生活保護制度では扶養義務者からの扶養が受給する要件(前提)とはされていないことも明らかにしています。この考え方は、扶養義務者(親族)が扶養(経済援助)しないことを理由に、生活保護の支給を行わないとした場合には、生活困窮者である本人以外の他人の事情によって、本人の生活が立ちゆかなくなることも十分に考えられることによるからです。
親族による扶養は保護の要件ではなく、実際に経済援助があれば、それは生活保護に優先するということなのです。
生活保護受給者の親族が畏怖させられた当該行政文書については、行政書士から速やかに千葉県庁の健康福祉部健康福祉指導課生活保護班に連絡し長生健康福祉センターからの長い書面も読み上げ、「別居かつ申請日以降経済援助が一切ない親族が扶養照会を拒否しているのに、勝手に職場に連絡する旨をちらつかせている」旨を伝え、その期限が2日後であることも伝え、至急の対応をお願いしました。
お客様の個人情報も千葉県に開示していいと許可を得ているため、伝えましょうかと伺ったところ、なるべく個人情報は広範囲で扱わないほうが安心なので、千葉県は個人情報は預からず書面作成者と思しき長生健康福祉センターの小高さん、浅野さんにこの文書の内容について確認するとのことでした。
職場に勝手に連絡されるなどということはありませんから、大丈夫ですよ。心配なさらないでくださいね、と行政書士からお客様にはお伝えしました。
その後、千葉県から数時間後、行政書士法人ひとみ綜合法務事務所に電話がありました。本件については、福祉事務所の判断になり、県として介入できないという、これまた驚きの内容だったのです。
「福祉事務所の判断ひとつで、生活保護受給者の方への経済援助がない親族の勤務先に、明確に拒絶しているにもかかわらず、役所から書面による調査をしても良いということなのですか?」
尋ねると、
「生活保護申請・受給については個人情報なので、ご本人、ご家族が明確に拒否しているのに第三者である勤務先に役所が伝えることは、あってはならないことですね・・・。でも、書面が届けば、わかってしまいますよね。」
と、なんとも頼りない返答なのです。
「厚生労働省に至急確認してください。」
行政書士が千葉県庁の職員に伝えると、千葉県から厚労省に確認するとなると、書面で数ヶ月回答までかかってしまうから、行政書士から直接厚労省に確認されてはどうかと提案をいただきました。
そして、即、厚生労働省に連絡をしたところ、こちらは当然の対応をしてくださり、親族の会社に勝手に役所が書面を送ることなどないよう、長生保健福祉センターに早急に連絡をしてくださるという素早い対応となり、事なきを得ました。
現行の生活保護法令に基づく行政運営にあたり、本来あってはならないことでも、実際にこのように、生活保護行政の現場においては日々「ありえないはず」のことが起きているのです。こうした不可解な対応により苦しみ、民間事業者である行政書士に相談せざるを得ない方が生じないよう、行政改善を願い、当ブログをお客様と協議の上、作成、公開に至りました。
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