神奈川県横浜市中区福祉事務所の冷たいお役所対応

行政書士法人ひとみ綜合法務事務所で生活保護相談を担当している、女性行政書士の三木です。特定行政書士としてこれまで、8千件を超える生活保護相談に対応、申請や受給をサポートしてきました。

高い倫理観を持って職務にあたるべき法律専門国家資格者として、また社会調和を図ることを職務使命とする行政書士として、日ごろの協力先でもあるお役所や官公庁で働く公務員の方々の批判をしたくはありません。

とはいえ、誠意をもって公正・誠実に職務を行うことを通じ、国民と行政との絆として、国民生活の向上と社会の繁栄進歩に貢献することもまた、日本行政書士会連合会が明言する行政書士の使命です。むやみやたらに批判することはありませんが、お役所の職権逸脱などによって国民の権利利益が法令に則って確保されていない、憲法が守られていないと認識した際は、このブログでこれまでも特定の役所の対応について「おかしいものは、おかしい」と、鋭く指摘してきました。

前置きが長くなりましたが、残念なことに今年最後(になることを願いますが)の驚くべき前代未聞のお役所対応は、神奈川県横浜市中区福祉事務所でした。


横浜生まれの私は、横浜市中区にも3年間居住し住民登録をしていたことがあります。写真は西区みなとみらいから、出張時に宿泊ホテルより撮影したもの。前方へ進むと中区です。

もう2年以上前になりますが、この横浜市中区福祉事務所には別の苦い経験がありました。

30代男性の生活保護申請書をまだ法人化する前の「行政書士ひとみ法務事務所」の行政書士だった私が代理作成、提出したところ、ご本人が病気で役所に出向けないにもかかわらず、「本人が役所に来ないと審査を進めない」の一点張り。

家庭訪問をすぐにして、状況確認と必要な生命維持のための最低限の救済を早急にしてほしいという行政書士の要求を、無視し続けたのです。結果、私が役所と交渉している間に、ご本人様は自殺してしまい、死後、生活保護決定がなされて火葬費の支給がされました。


横浜市中区で生活保護申請中に役所の不適切な対応により自殺に追い込まれたご本人様の依頼は、ご友人が行政書士費用を立て替えて下さってのことでした。この写真は4月出張時。桜の名所の多い横浜、死後の保護決定のための手続き。ただただ無念で、散り際の花びらが涙のようにも見えました。

このとき、私は二度と同じ悲しいケースに至ることのないよう、当時の担当者と上司に申し入れをし、そのときは粛々と福祉事務所も対応していたように思います。また、その後ときを経て別の申請を横浜市中区福祉事務所に何度も行っていますが(おそらく私の名前を福祉事務所も把握しているでしょう)、すべて一切問題なくスムーズに決定に行きつきました。

でも、今回は行政書士が申請書を作成して代理提出したのではなく、経済的にも精神的にも弱り切った「本人窓口申請」だったからこそ、生活困窮の本人に法的知識が備わっていないことを見越し、ここまで酷い対応だったのではないかと感じました。

今後このような不適切な対応により一般の方が不利益を被ることのないよう、本日お客様たってのご希望およびご了承のもと、役所名と事実をここに公表します。

【該当の役所名】神奈川県横浜市中区福祉事務所

【事実関係】
① 令和元年12月5日、兵庫県にお住まいの70代後半女性より、行政書士法人ひとみ綜合法務事務所に相談電話がありました。横浜市中区在住の50代病気の息子さんがもう10回以上、中区区役所に生活保護を受けたいと相談に行っているのに全く助けてもらえず、生命が危険な状態にあるという切羽詰まったご相談がありました。

② 息子さんは、慢性膵炎、糖尿病、肝臓疾患、大腸複数ポリープなど複数の病を患っており、膵臓の機能はほとんどなく、小腸穿孔、胆嚢摘出術、膵臓と胃の瘻孔設置術など複数回の多岐に渡る手術歴。胃と膵臓の瘻孔が塞がり膵臓機能が悪くなり瘻孔部分も炎症が起きやすく、発熱や強度の腹痛が起き、その都度対処療法が必要であると医師からも告げられているにもかかわらず、とうとう一切の通院費用も生活費もなくなり現在は痛みをこらえ家で寝ている状態。

③ 膵臓の状態が酷く寝たきりの日が多いため、仕事も20年以上できていないとのこと。役所に生活保護相談に行っても取り合ってもらえないため、やむなく関西在住・後期高齢者のお母様が横浜の息子さんの命を守るため、最低限の仕送りをしてきたものの、それは全て借金によるもの。お母様も無職、息子さんへの送金のために多重債務者となり借金はもはやできない状態。

④ 息子さんの心配だけでなく、相談された80近いお母様自身が自分の家賃も払えておらず、生活が危うい状態でした。

⑤ どこに行っても、その場だけ大変ですねと話を聞いて同情するだけで、もう役所に再三足を運んでも相手にしてもらっていないことから、生活保護は無理ではないかと、誰に相談しても助けてもらえず、とうとう別々に暮らす50代と70代の母子2人とも、明日食べるものすらない状態に追い込まれてしまったとのこと。

⑥ 横浜市中区福祉事務所で言われたこと-1
「その服は、生活保護を受ける人が着るような服ではない。」
→新品でもブランド品でもなく、ただ「洗濯してある」ことを理由に「生活保護を受けるにふさわしくない身なり」だと。

⑦ 横浜市中区福祉事務所で言われたこと-2
「体が辛い?じゃあ、こんな役所に来ている場合じゃないよ。早く病院に行って。」
→医療費がないこと、仕送りのために他県の年老いた母親も借金まみれであることを説明しても、聞く耳もたず。

杓子定規な尺度ではなく、個々の困窮度に応じ柔軟な対応を必要に応じて福祉事務所の権限で行う裁量権は当然ありますが、生活保護制度上の通常の審査基準に照らし合わせても、病気で無収入、既に横浜市中区において安い賃貸アパートで一人暮らし、資産もない息子さんが生活保護申請できない道理は全くありません。

兵庫県は行政書士法人ひとみ綜合法務事務所のある大阪のお隣の都道府県ですが、あまりに切羽詰まった状況でしたので来所ではなくお電話でお話をお聞きして、ご相談のお電話のあった当日に生活保護申請書を私が作成し、すぐに生活保護申請書を神奈川県横浜市中区福祉事務所に使者として代理提出しました。

申請書提出の同日、横浜市中区の担当者と私は、「受理日」の確認をしました。この生活保護申請の受理日というのはとても重要で、審査終了後に生活保護が決定すれば、この受理日にさかのぼって生活保護が開始されます。生活保護費としてもらえるお金もこの受理日にさかのぼって支給されますし、受理日以降に病院にかかった分については、基本的に自己負担がなくなり払った診察代や薬代が返ってくるのです。

もはや一刻の猶予もない健康状態でしたので、すぐに病院へ行ってもらい、お金もないので病院には事情を伝え、支払いは生活保護決定後に役所に処理してもらうことになり、間一髪ご本人様の生存権は守られました。


美しい横浜の夜景。横浜の行政運営は全国的に評価が高いのですが、だからこそ、この生活保護行政の実態から目を背けず、改善してもらえることを強く願います。

本来、この生活保護申請の受理は、役所に本人の「生活保護を申請する」という意思表示が到達した時点でしなければいけないと法令上されています。

行政書士にお金を払って相談をしたり、申請書作成を依頼する以前に、自ら役所に生活保護を受けたくて行ったのに、それも何度ひどいことを言われても本当に困っているからこそ、何度も何度も足を運んだのに、なぜついには明日の食べるものもなくなり、遠方の80に手が届くお母様さえ家賃滞納借金過多の状況に追い込まれて尚、有償の行政書士に委任しなければご本人の最低限度の生活が守られなかったのでしょうか。

以下、生活保護法より抜粋

(この法律の目的)
第一条 この法律は、日本国憲法第二十五条に規定する理念に基き、国が生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じ、必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長することを目的とする。

(無差別平等)
第二条 すべて国民は、この法律の定める要件を満たす限り、この法律による保護(以下「保護」という。)を、無差別平等に受けることができる。

(最低生活)
第三条 この法律により保障される最低限度の生活は、健康で文化的な生活水準を維持することができるものでなければならない。

(職権による保護の開始及び変更)
第二十五条 保護の実施機関は、要保護者が急迫した状況にあるときは、すみやかに、職権をもつて保護の種類、程度及び方法を決定し、保護を開始しなければならない。

神奈川県横浜市中区福祉事務所の冷たいお役所対応”へ2件のコメント

  1. アバター 福岡県 S様 より:

    もうほんとにただただ悲しく切ないです。他人の痛みに鈍感で生活に困窮したことのない職員に生活保護の窓口になってほしくない。そんな人たちに人の人生を左右されてしまうなんてそんな権利なんかない。私の母親も80代なのでとても辛く切ない、このお母様の気持ち考えると。役所の人は他人が死のうが切羽つまろうがなんて事ないんでしょうね。とりあえずクビになることもないし保身しかかんがえてないのでしょうから。三木先生、担当されてた方が亡くなるなんてお気持ち察するにあまりあります。悲しむ間もなく依頼はどんどん来るし気持ちの切り替えは容易ではなかっただろうなと。

    役所の人もいつかは老いるし、突然病気したり失業したりするかもしれない。人生何が起きるかわからない。
    私は投稿しても匿名にしていただいてますが三木先生のように実名だして顔も職業も晒してまでこういうネットで勇気ある発言をしなければいけないという意味を考えてほしい。誰がこんなリスキーなことを好んでするでしょうか。
    とても切ないです。

    1. アバター 行政書士三木ひとみ より:

      S様、行政書士の三木です。お心をお寄せいただいて、ありがとうございます。私もこの横浜の高齢のお母様と息子さん親子のケースは、思い出す度にこみあげてくる感情があります。

      S様の書かれている「他人の痛みに鈍感」にはなりたくないものですよね。横浜市中区は寿町という独特の日雇労働者が多い町(大阪なら西成)があるので、毎週このエリアにお住まいの方から何らかの相談依頼がありますが、最近は少なくとも行政書士から申請書を提出したときの対応は改善されたので安心していたのです。実際、以前申請中に役所の対応に悲観して自殺された方が出てしまったケースでは役所はかたくなにご本人が来所しないと審査を進めないという態度だったものが、今回の50代の息子さんのケースではすぐに食料も持って役所から訪問してくれることになったのです。

      生活保護法令の知識がある行政書士への態度と、一般の方への対応が異なるということは、残念ながらあるものですが、今回はそれがあまりに顕著で残念に思いました。

      生活保護制度については偏見も多く、最近は「日本人で困っているときは生活保護を受けてもいいけれど、何年日本に住んで納税した人であろうと外国籍なら生活保護は受けさせないで」といった強い主張もネットでは多く見られるので、外国人の方からの相談も当然のことながら差別偏見なく受けている私共に対して、批判もやはり受けますね。

      ただ、大切なことは日本は法治国家であり、すべての法律の最上位にある憲法によって「最低限の文化的な生活を営む権利」が保障されていることです。そのため、杓子定規な審査基準に縛られるということに留まらず、今回のブログでご紹介した条文のように福祉事務所長の判断で柔軟な対応が可能となっているのです。

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