大阪の女性行政書士、特定行政書士の三木ひとみです。

私は行政書士として開業当初から、任意団体であるPTAの実質的な強制加入問題や非加入を選んだ人や役員をしない人の村八分、どんぶり会計、大阪府行政書士会の理事逮捕など、「あれ、おかしいな」という世の中の矛盾や疑問を積極的にブログで発信してきました。

過去に私が書いたブログを見て、行政書士法人ひとみ綜合法務事務所に相談の連絡を下さる方も多いのですが(お電話は繋がりにくくなると官公庁とのやり取りに支障が出るため、複数回線用意していますが、極力HPお問い合わせフォームのご利用をお願いしています。お問い合わせへのご連絡ご返答は、基本的に当日中にさせていただいています)、中でも反響が大きく今もブログアクセス上位10以内に入っている記事がこちら。

生活保護申請中に病院受診を断られたIさんと役所の神対応

保険証がない、他県から来たばかりの人が大阪の病院に行ったところ、
「生活保護が正式決定してからでないと、10割負担でしか診察しない」
そう言われて、お金がないお客様は診療拒否されたのです。

申請から決定まで2週間程度平均でかかるのが、生活保護の審査ですから、その正式決定まで通院しないということはできない方も多いのです。医師法第19条において、医師は正当な理由のない限り診療を拒んではならないとされており、そして「お金がなくて診察代を払えない」ことは診療拒否する正当な理由にならないとされています。

このブログの実話では、見兼ねた役所のケースワーカーがポケットマネーで医療費を貸してくれたのですが、私はこれまで、患者がお金がないという理由だけで診療拒否する病院に対し、生活保護申請中のお客様が病院受診できるよう全力でサポートをしてきました。ただ、このブログを読んだ他県の士業の先生から次のような質問をされたので、今回このブログを新たに書くことで、回答とさせていただこうと思いました。

行政書士法人ひとみ綜合法務事務所に届いた、他県の先生からの質問がこちらです。

「ブロクで気になったことがあります。生活保護審査期間中の医療費の救済措置中,『…役所の担当のSさんが、病院に電話で怒ってくれましたよ。…』ですが,役所と病院の力関係で言うと,役所は病院に依頼する立場です。救急医療の補助金などでも,医師会は有難く頂いているとの思いは一切無く,それでも足りないので,医療を止む無くしてあげているとのボランティア感覚です。役所も補助金を差し出しお願いする感覚です。

一ケースワーカーが病院に怒ることは,まず有り得ないことかと思います。どの様な状況で言ったのか不明で,誇張して言っている可能性もあります。
病院は生保との関係を了知しており,生保が棄却された場合,その診療費を誰が支払うのかという問題に直面します。その為,診療を拒否することは多々あります。

病院はボランティア機関ではなく利益をあげなければ運営していけません。
 ドイツでは,応招義務の規定は存在せず,米国では,患者は医師を選ぶ権利があり、医師も患者を選ぶ権利があるというのがアメリカ流医療だといわれています。アメリカ医師会倫理綱領では,医師が個人を患者として受け入れることを断わることもできる,と明言しています。

要するに,医師法19条は医療の主体が個人開業医だった明治初期の医師像を前提に作られた法律ですが,過半数が病院勤務医になるに至った今日では,応招義務の要否は医療法・健康保険法中で規律すべき問題かと思います。本来,国・自治体の担うべき救急医療の問題を,医師身分,医師個人の問題として論ずるのは明らかに筋が違うかと思います。」

上記の他県の士業の先生からのご指摘の要旨は、「本来国・自治体が、生活に困った人が適切な医療を受けられるよう責任を負うべきで、病院や医師に責任転嫁すべきではない」という内容ですが、だからといって患者さんが診療拒否されて病状悪化や手遅れという最悪の事態となることは一番避けなければいけないことだと私は考えます。

目の前の患者がお金がないという理由だけで診療拒否することは、医師法第19条の診療を拒む正当な理由に当たらないというのが司法の見解でもありますから、私は街の法律家としてあくまでもお客様の立場で、お客様の権利を守るために行政書士法はじめ法律の枠組みの中で行動します。

また、私の過去のブログで医療費を生活保護申請者にポケットマネーから貸したケースワーカーが、お金がないという理由で診療拒否した病院について怒っていたのには、別の理由もあったのです。長くなるので省略したのですが、この機会に生活困窮者の医療と役所の知られざる関係背景を紹介したいと思います。


忘れもしない2019年9月21日土曜日、行政書士法人ひとみ綜合法務事務所の代表である榎田啓行政書士が救急搬送されました。痛みのあまり起き上がることもできなかった手術翌日の写真です。入院時に前金を支払いましたが、もしも「お金がないなら診ない」と診療拒否されていたら・・・。
「自分には関係ないこと」と対岸の火事と思わず、声をあげることすら困難な弱者の立場を守るため、行政書士法人ひとみ綜合法務事務所は日々法令遵守で業務を遂行しています。

生活保護申請や受給中の引越や家族のことなど、生活保護に関連する相談を全国から毎日多数お受けする行政書士法人ひとみ綜合法務事務所と、医療機関とのつながりは切っても切れない関係にあります。病院でまだ治療が必要なときに、仕事を辞めたことから生活困窮して医療費を払えなくなってしまい、ご本人、ご家族あるいは病院から連絡をもらって行政書士がご自宅や入院中の病院へ出張することは日常茶飯事。

日本では国民皆保険制度というありがたい仕組みが用意されているものの、近年は貧困問題が深刻化していて、保険料の支払いができずに(病院で診てもらえないと思いこむ人が多く)医療を満足に受けられないという事態が生じています。

貧困層を救済する制度の一つに、無料低額診療制度があります。無料低額診療事業は、戦後の生活困窮者の救済措置として昭和26年に制定され現在まで一度も改正されていないことでも有名な、社会福祉法に基づいています。社会福祉法第2条第3項第9号による第二種社会福祉事業で、生活困窮者が経済的理由で医療を受ける権利が損なわれることのないように、無料あるいは低額での診療提供をするものです。

各医療機関が行政に届け出を行い、都道府県知事の許可がおりると、病院がこの無料低額診療事業に参画実施することができるようになります。無料低額診療事業実施施設は平成28年度時点で全国に664施設あり、社会的必要性から増加の一途をたどってきました。

低所得者、ホームレス、DV被害者、人身取引被害者などの生計困難者が無料低額診療の対象と、厚生労働省はしています。無料低額診療制度は、国民健康保険と生活保護のいずれの対象にもなれない貧困者を救済するためにあるともいえます。

この診療制度を実施している病院等の経営的実態は、一般にはほとんど知られていないようです。税金で賄われていると誤解している人も多いのですが、患者が本来払うべき窓口負担分は医療機関が負担し、国や自治体による補助はありません。ただし、実施医療機関には利用者の割合に応じた固定資産税の減免という税制上の優遇措置が設けられています。

小さな医療機関では優遇効果が少ないので、持ち出しによる負担の方が大きく、経営が難しくなって事業継続できなくなるケースもあるのです。一方で、無料低額診療での持ち出し負担よりも非課税による利益が大きく上回る大きな医療機関もあるので、非課税となる税の種類や免除率、負担に応じた利益の適正分配の見直しなどによって、医療機関の格差是正が必要とされています。

無料診療提供を行う医療機関の良心的経済負担に現状頼り切っているのが実状で、診療所の持ち出しでは問題解決に限界があり、行政が主体となって動いてほしいという要望が病院等からはあるのです。乳児用のミルクやベビー用品など、足りずに職員が寄付して賄っているような病院の苦境も、直接耳にしてきました。

たとえば、入院時に必要な衣類や日用品は病院が寄付で募り、病院敷地内の倉庫にストック、その衛生管理などもすべて病院任せなのです。

行政としては、強制ではなく届け出制なのだから、社会的役割分担の一つと捉えている側面があり、これは問題視されています。医療機関は、受け入れた患者が人間らしい生活(憲法第25条で保障される最低生活)を送れるように環境整備する責任もありますが、こうした支援を経済的負担も含め医療機関に丸投げでは、現場のストレスはたまる一方ですし、患者側の憲法上の権利確保も実に危うい状態なのです。

大規模災害が起きたとき、被災地には失業して所得が無い人や、家族と離れ離れになってしまって所得基準だけではかれない医療難民が、こうした病院の良心で支えられているような施設へ殺到してしまえば医療体制がパンクすることは容易に想定できます。

また日ごろから、他の病院で断られる患者を受け入れてくれるような病院は評判を呼び、「ここなら親切に助けてくれるはず」と、困窮者が殺到してしまうのです。医療ソーシャルワーカーなどの人件費も大きく、赤字経営のため増員したくてもできない良心的な施設も沢山あります。

社会福祉協議会や民生委員からの紹介のほか、ネット社会の現代では患者本人が自ら無料低額診療を行っている医療機関を探して辿り着くケースも多くなっています。

医療機関の負担になることもあって、積極的な公的広報はされていないので、地域住民に情報が十分に行き渡っているとはいえず、これも行政が直接関与しないゆえの問題点といえます。無料低額診療事業実施施設の周知方法は、施設のホームページや施設の広報誌、看板といった施設側の情報発信が中心です。

医療機関同士の連携、ネットワークも乏しく、そのため患者の紹介などもスムーズにはいかないようです。行政は縦割り構造で、保健医療や社会福祉に携わる部署でも、担当者以外は無料低額診療制度のこと自体知らないことも珍しくありません。

また、無料低額診療の最大適用期間は6ヶ月とされていますが、この制度利用者の多くは慢性疾患を抱えているため、何らかの事情で生活保護制度に移行できなかった人が再び医療難民となってしまうという問題もあります。さらに、患者負担分の医療費を病院が肩代わりするため、今後貧困層がさらに拡大することで事業継続そのものが危ぶまれる可能性もあるわけです。

問題の根本には、昭和26年から一度も改定されていない社会福祉法がこの制度の基礎であることが挙げられます。慢性疾患の治療終了までカバーできるように対象期間を再設定したり、高額医療を希望する人への対応の検討も必要でしょう。小規模診療所と大規模病院の利益格差の緩和や、そのための税制の見直しも検討すべきです。

地方など、地域柄、近所や親族の目が気になって無料低額診療事業実施施設に足を運ぶことをためらう人も少なくありません。

同様の理由で生活保護を受けたいのに役所に行けず、行政書士法人ひとみ綜合法務事務所に電話やメールで相談も多いのです。実際には、無料低額診療事業実施施設だとわからないように支援をしてくれる病院(一般患者も受け入れているなど)や、役所に足をご本人が運ぶことなく行政書士法人ひとみ綜合法務事務所が代理作成した申請書を使者として役所に代理提出して、生活保護申請を受け付けてもらうという方法、選択肢もあるのです。

行政書士法人ひとみ綜合法務事務所もこうした無料低額診療事業実施施設と連携することは少なくなく、先月も40代で親御さんの介護のために離職し親御さん亡き後も社会復帰できないままの、いわゆるミッシングワーカーの方が生活保護申請中に無料低額診療を利用されました。生活保護決定後は、申請日にさかのぼって医療費も無料になり、通常の病院に転院となりました。

テレビやネットニュースなどメディアでの生活保護の取り上げられ方や、個人のSNS発信などの影響で、憲法第25条で最低限の文化的な生活が保障されているにもかかわらず、世論の生活保護に対する目線は厳しいものがあります。

もともと日本の生活保護利用率は、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、スウェーデンといった国々の同様の制度と比べて、とても低いのです。

アメリカに比べて、日本の生活保護利用率は近年平均で10分の1以下、もちろん制度の中身は異なるので(アメリカは生活保護を受けられる期間や回数に制限があります)一概に比べることはできませんが、日本の生活保護制度は役所の窓口での水際作戦と俗に言われるような実質上の門前払いがあるなど、有期制度よりもむしろ厳しいという国際的批判もあります。

生活保護制度は日本の財政を圧迫しているという批判は昔からありますが、生活保護費はあくまでも最低生活を満たす水準額しか支給されず、すなわち消費に回り、日本経済にめぐりめぐって返ってくる税金の使途でもあります。そのため、コンクリート事業よりも景気対策としては実は有効と考えられるのです。

生活保護受給者は安価なジェネリック医薬品を利用すべきという流れもありますが、命や健康に差別があってはならないことは、言うまでもないこと。ジェネリック医薬品を使うかどうかの選択権は、本人に帰属すべきというのが行政書士法人ひとみ綜合法務事務所の見解です。

あらゆる法令の最上位にある日本国憲法第25条において、最低限の文化的な生活を営む権利が保障されている以上、貧富の差を問わず日本国民誰しもが適切な医療行為を受けられるようにすることは国の責務です。