2020年2月21日行政書士申請取次実務研修会
女性特定行政書士の三木ひとみです。本日令和2年(2020年)2月22日、2が並ぶ本日は「行政書士記念日」です。
昭和26年2月22日に行政書士法が公布されたことから、街の法律家である行政書士の自覚と誇りを促すと共に、組織の結束と行政書士制度の普及を図ることを目的に、「行政書士記念日」とされています。
各都道府県行政書士会において、無料相談会などを開催し、広く国民の皆さんにPRしています。
こちらは、私が日本行政書士会連合会より交付された、行政書士証票です。
行政書士証票には、行政書士名簿に基づく氏名生年月日、登録番号のほか、法人の場合は法人事務所の名称と所在地も記載が必要とされているため、個人開業の事務所から法人化して「行政書士法人ひとみ綜合法務事務所」になった際に新たに交付されました。
行政書士は、この証票を常時携帯しなければならない、と規則で定められているのです。
行政不服申立代理が可能な、特定行政書士であることも明記されています。
法律に定めのある場合等を除き、行政書士以外の人が業として、官公署(お役所)に提出する書類(電磁的記録含め)その他権利義務または事実証明に関する書類を作成することはできません(行政書士法第19条第11項、および総務省HPトップ→政策→地方行財政←行政書士制度のページにも明記されています)。
「その人、ほんとうに行政書士ですか?」
「にせ行政書士にご注意!」
このような注意喚起のポスターなども、役所に貼ってあるところがあります。きっちりしたところでは、行政書士かどうかを確認するため、申請時に行政書士証票を提示を求めるところも増えてきました。(携帯していなければ、規則違反をしていることになり、法令遵守が求められる街の法律家として有るまじきことです。安心して依頼できる行政書士ではないでしょう。行政書士法人ひとみ綜合法務事務所の行政書士は証票は必携しています。)
これは、行政書士や弁護士の間では、通称「ピンクカード」と呼ばれている、出入国管理及び難民認定法における、在留資格認定証明書(ビザ)交付申請、更新、変更の取次ぎを外国人本人に代わって行える行政書士であることを証明する届出済証明書です。
平日日中に本来なら外国人本人が出入国在留管理局へ行かなければならないところ(通常とても混み合うのです)、申請取次行政書士に依頼すれば代わりに申請手続きを行ってくれるという、外国籍の方にとって大いなる利点があります。
行政書士なら誰でもこのカードをもらえるわけではなく、所定の研修(申請取次研修会)を受けて法的知識を問われる考査もパスしなければいけません。
研修会の修了者は、申請取次の届出のため、各自の所属単位会(私なら大阪府行政書士会)を通じて、地方出入国在留管理局長に届出を行う必要があります。
届出済証明書の有効期間は3年なので、引き続き申請取次業務を行うためには有効期間の満了前に更新手続きが必要なのです。再度研修と効果測定と呼ばれるテストをパスしなければいけません。
2020年2月21日行政書士申請取次実務研修会
前置きが長くなりましたが、昨日3年に1度のこの行政書士申請取次実務研修会というものに参加してきました。
場所は、ホテルアウィーナ大阪。なんと北海道から沖縄まで、行政書士が総勢400名ほど集まりました。
行政書士法人ひとみ綜合法務事務所天王寺支社から徒歩10分ほどの会場でしたので、ラッキーでした。大阪会場は例年、東京に次ぐ申込み数ということで、会場確保が大変だと日本行政書士会連合会の方が冒頭あいさつで仰っていました。
それにしても、すごい人です。
私の最初の席は、ここ。資料を広げるスペースさえありません。
スリムな日本人体型の方でなければ、そもそも座れないのでは?と思うような狭さです。
しつこいようですが、状況を理解していただけるように(笑)。途中でトイレに行きたくなったり、体調が悪くなっても、私の席では隣2人の先生に立って移動してもらわなくては、通路に出ることが不可能なのです。
新型コロナウイルスの感染拡大が止まらず、公的行事も中止や規模縮小が相次いでいるこの時期、リスク要因として「屋内で互いの距離が十分に取れずに一定時間いること」しか厚生労働省が挙げていないことがメディアで批判されている中・・・リスクのど真ん中なわけです。
厚生労働省は、主催者側に「感染の広がり」を踏まえた判断をするよう求めていますが、この状況では自分の身は自分で守るしかありません。私は健康体で、この冬もインフルエンザはおろか、風邪さえ引いていません。でも、2003年に流行した重症急性呼吸器症候群(SARS)に比べ、はるかに急速に新型肺炎が拡大している原因が、「大半の人は軽症あるいは無症状」であるため、感染者の把握や隔離がほぼ不可能で、自分が発症していなくても感染源になり得てしまうことなのです。
私が後見人をつとめる高齢者で入院中のお客様は、風邪をこじらせ肺炎で入院中です。月に2度は病院に行きますし、介護施設に入所中の顧問契約のお客様、免疫力が低下する病気をお持ちのお客様も、今月訪問予定です。
自分の席についたのは、5分もなかったと思います。全ての荷物を持って会場を出て、主催者側に直談判し、出口近くで最後列の広い席に移動をさせてもらいました。
前の席は、やはりギュウギュウで申し訳なく思いつつも・・・大切なのは、感染拡大を防ぐ一人一人の行動とも言われます。重症化リスクの高い高齢者や持病のある方と会う予定が連続してあることがわかっているので、自分が感染源になるわけにはいかないのです。
1限目は、出入国管理行政の現状と在留資格審査業務(就労)について。講師は、大阪出入国在留管理局就労審査部門統括審査官の方で、最新情報を直接入手できる貴重な機会です。
休憩をはさみ、第2限は、入国在留審査関係申請取次の実務、講師は申請取次行政書士管理委員会。
第3限は、職務倫理、講師はこちらも申請取次行政書士管理委員会の方。
申請取次の行政書士業務の歴史は、30年以上。とにかく、一人一人の申請取次行政書士が高い職務意識を持ってほしいという内容が繰り返し伝えられました。
入管から、プロであるはずの行政書士がこんな初歩的な質問をしてきた、どういうことなのか、という話が入ってくる・・・有資格者として何をしなければいけないのか?倫理も大切だけれども、基礎知識を頭に叩き込んでおいてほしい・・・。でも、急増する在日外国人(※在留外国人数の推移として、昭和60年では85万人だったところ右肩上がりで、平成21~27年は停滞したものの、その後急上昇し、平成29年に初の250万人越え、令和元年は6月時点で既に前年越えの282万9416人という伸びようです。)、どんどん変わっていく法律、この分野は実に複雑で難解なのも事実なのです。
不正な手続きに関与したことで行政書士逮捕という大変不名誉な事件も京都で起きたばかり、この制度を守るために、研鑽に務めていただきたい。手順、ルーチン、基本を怠らないことが倫理につながっていく、これがすべての倫理研修の目的という印象深い言葉もありました。
入管の職員と行政書士が怒鳴り合う光景も見る、行政書士は市民と行政の架け橋になる仕事、外国人の権利と共に行政側のことも考えてもらいたい。無作為も罪になるというのが、入管業務の考え方。誠実な業務をするためには、事実に勝るものなし、判断をするのは入管局であり、行政書士が顧客の利便をはかるために虚偽の事実をいれたがために救いようのない実態に陥った事例もあること。不適切な書類を作ったことで、京都の行政書士がかなりの人数処分されているという実態・・・。
最後の1時間弱は、効果測定、実務連絡、効果測定解説が、申請取次行政書士管理委員会より行われました。
更新については、新たな届出済証明書が発行されるまでの日数を踏まえ、届出済証明書の有効期間満了の4ヶ月前から2ヶ月前までに更新手続きの準備を進める必要があります(私は今回ギリギリでした!)。現在交付されている届出済証明書については、新しい届出済証明書の交付の際に所属単位会を通じて地方出入国在留管理局長に返還とのこと。
廃業勧告処分等を単位会より受けている場合は更新の届出手続きができない場合があるそうですが、もちろん法令順守の私は何らの処分も受けていませんので、心配ありません。
実務研修会における効果測定の結果、基準に達しなかった場合の措置についても説明がありました。効果測定の結果、「知識の補完が必要」と判定された場合は、入管業務を適正・円滑に行うため、また申請取次行政書士の能力向上を通じて申請取次制度の維持発展を図るために、再受講又は課題レポートの提出を求められるそうです。
効果測定基準未到達の通知は、日行連より本研修会後、一ヶ月程度で所属単位会とともに当該受講者宛に通知(該当外の人には通知なし)されます。
長丁場でしたが、17時に無事、修了証書が交付されました。
この日の配布資料は、以下の通り。私は歩いて10分で行政書士事務所へ戻れますが、他県から来られた先生は「こんなに沢山どうやって持って帰ろう」と困っていたほど。
・2020.2.21行政書士申請取次実務研修会(大阪)/プログラムと配布資料
・講師レジュメ
1限・・・レジュメ・資料、大阪出入国在留管理局公式twitterチラシ(計2点)
2限・・・レジュメ・資料1、資料2、資料3、別添資料(計4点)
3限・・・レジュメ・資料(計1点)
・出入国在留管理2019 出入国在留管理庁パンフレット
・諸案内綴り
・申請取次制度の概要(公益財団法人 入管協会)
・出入国管理法令集(公益財団法人 入管協会)
※以下は研修において配布された資料に基づく、最新情報です。
在留資格一覧
就労が認められる在留資格(活動制限あり)
在留資格―該当例
外交―外国政府の大使、行使等及びその家族
公用―外国政府等の公務に従事する者及びその家族
教授―大学教授等
芸術―作曲家、画家、作家等
宗教―外国の宗教団体から派遣される宣教師等
報道―外国の報道機関の記者、カメラマン等
高度専門職―ポイント制による高度人材
経営・管理―企業等の経営者、管理者等
法律・会計業務―弁護士、公認会計士等
医療―医師、歯科医師、看護師等
研究―政府関係機関や企業等の研究者等
教育―高等学校、中学校等の語学教師等
技術・人文知識・国際業務―機械工学等の技術者等、通訳、デザイナー、語学講師等
企業内転勤―外国の事務所からの転勤者
介護―介護福祉士
興行―俳優、歌手、プロスポーツ指導者等
特定技能(注:平成31年4月1日から)―特定産業分野(介護、ビルクリーニング、素形材産業、産業機械製造業、電気・電子情報関係産業、建設、造船、船用工業、自動車整備、航空、宿泊、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業※平成30年12月25日閣議決定)
身分・地位に基づく在留資格(活動制限なし)
永住者―永住許可を受けた者
日本人の配偶者等―日本人の配偶者・実子・特別養子
永住者の配偶者等―永住者・特別永住者の配偶者、我が国で出生し引き続き在留している実子
定住者―日系3世、外国人配偶者の連れ子等
就労の可否は指定される活動によるもの
特定活動―外交官等の家事使用人、ワーキングホリデー等
就労が認められない在留資格
(※資格外活動許可を受けた場合は、一定の範囲内で就労が認められる)
文化活動―日本文化の研究者等
短期滞在―観光客、会議参加者等
留学―大学、専門学校、日本語学校等の学生
研修―研修生
家族滞在―就労資格等で在留する外国人の配偶者、子
令和元年6月末時点の在留外国人総数は282万9416人で、国籍・地域別では中国が27.8%786,241人、次いで韓国16%451,543人、ベトナム13.1%371,755人、フィリピン9.8%277,409人、ブラジル、ネパール、台湾、インドネシア、米国、タイ、その他。
在留資格別では、永住者が27.7%、技能実習は13%、留学は11.9%、特別永住者、技術・人文知識・国際業務、定住者、家族滞在、日本人の配偶者等、特定活動、技能、その他。
外国人労働者の受入れについて
現在の基本的な考え方
専門的・技術的分野の外国人→積極的に受け入れ:我が国の経済社会の活性化や一層の国際化を図る観点から、専門的・技術的分野の外国人労働者の受入れをより積極的に推進(第9次雇用対策基本計画※閣議決定)。我が国の経済社会の活性化に資する専門的・技術的分野の外国人については、積極的に受け入れていく必要があり、引き続き、在留資格の決定に係る運用の明確化や手続き負担の軽減により、円滑な受入れを図っていく(出入国在留管理基本計画※法務省)
上記以外の分野の外国人→様々な検討を要する:我が国の経済社会と国民生活に多大な影響を及ぼすこと等から、国民のコンセンサスを踏まえつつ、十分慎重に対応(第9次雇用対策基本計画※閣議決定)。いずれにしても、今後の外国人の受入れについては、諸外国の制度や状況について把握し、国民の声を積極的に聴取することとあわせ、人手不足への対処を目的として創設された在留資格「特定技能」の運用状況等も踏まえつつ、政府全体で幅広い検討を行っていく必要がある(出入国在留管理基本計画※法務省)。
在留資格について
・特定技能1号:特定産業分野に属する相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格
・特定技能2号:特定産業分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格
特定産業分野:介護、ビルクリーニング、素形材産業、産業機械製造業、電気・電子情報関連産業、建設、造船・船用工業、自動車整備、航空、宿泊、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業
※特定技能2号は建設と造船・船用工業の2分野のみ受入れ可
特定技能1号のポイント:在留期間は1年、6ヶ月又は4ヶ月ごとの更新、通算で上限5年まで
技能水準・試験等で確認(技能実習2号を修了した外国人は試験等免除)
日本語能力水準:生活や業務に必要な日本語能力を試験等で確認(技能実習2号を修了した外国人は試験等免除)
家族の帯同・基本的に認めない
受入れ機関又は登録支援機関による支援の対象
特定技能2号のポイント:在留期間は3年、1年または6ヶ月ごとの更新
技能水準は試験等で確認
日本語能力水準は試験等での確認は不要
家族の帯同は、要件を満たせば可(配偶者、子)
受入れ機関または登録支援機関による支援の対象外
特定技能制度運用状況
特定技能外国人の許可状況等について(令和元年12月末現在:速報値)
①在留資格認定証明書交付 交付1139件
②在留資格変更許可 許可1062件
③登録支援機関登録 登録3451件
④特例措置としての特定活動 許可 857件
登録支援機関の内訳は会社が53%、中小企業事業協同組合が27%、行政書士(個人)が276件の8%、一般社団法人は96件3%、社会保険労務士(個人)59件2%
特定技能在留外国人数(令和元年11月末現在速報値)
特定技能1号在留外国人数 1019人
産業機械製造業151人、素形材産業143人、農業169人、飲食料品製造業303人、航空は0、自動車整備8人、漁業は8人、あとは2桁。
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