令和六年、行政書士法人ひとみ綜合法務事務所7年目節目の年もまもなく幕を閉じます
令和六年、行政書士法人ひとみ綜合法務事務所7年目節目の年もまもなく幕を閉じます。
Q.あなたにとっての今年一番の出来事を教えてください。
令和六年最後のブログのテーマは、遺贈寄付について。私、原優美が担当します。
毎年年末恒例の、行政書士法人ひとみ綜合法務事務所ふぐ鍋(てっちり)ふるまいの写真とと共に、お送りします。
難民のいるところ、必ずUNHCRあり。
UNHCRとは、国連難民高等弁務官事務所The Office of the United Nations High Commissioner for Refugeesの略称で、1950年に設立された国連の難民支援機関。スイス・ジュネーブに本部を置き、2万人以上の職員が世界136か国で支援に従事しています。難民支援への貢献が高く評価され、1954年と1981年の2度、ノーベル平和賞を受賞しています。
遺贈・相続財産からの紛争や迫害で故郷を追われた方々の未来を繋ぐ国連UNHCR協会へ寄付や寄付金控除、関心がある人も多いのではないでしょうか。国連UNGCR協会への遺贈には相続税が課税されず、預貯金など金銭で相続した財産から、相続税の申告期限内にUNHCRに寄附すると、その財産には相続税がかからず、さらに確定申告することで所得税等の寄付金控除も受けられるというメリットがあります。
「一緒に金儲けして、貧しい人を助けてやろう」
大阪府堺市の起業家のOさんの決め台詞。なんて、かっこいい言葉だと思いませんか?
事業拡大し、スリランカ出張の現地で最初にすることは、両替した現地通貨を路上生活者に渡すことだったそうです。
お子さん方は、そのお父様亡き後、まとまった額の寄附を国連UNHCR協会に行い、お父様の生きた証を難民の未来に役立つ形で残したいと思ったそうです。戦争体験や高度経済成長の苦労を乗り越えてきた日本人だからこそ、今世界でもっとも助けを必要としている難民の方々に心を寄せることができるのかもしれません。
紛争や迫害で故郷を追われた人の数は、12年連続増加、過去最多の1億2000万人を超えました。非難を強いられている子どもたちは、そのうちの約4割、18歳未満の子どもの難民は1億1730万人もいるのです。しかも、難民の66%はprotracted situations といわれる、低中所得国での避難生活が少なくとも5年にわたり継続する長期化した状態に置かれています。
難民の73%が、アフガニスタン(640万人)、シリア(640万人)、ベネズエラ(610万人)、ウクライナ(600万人)、南スーダン(230万人)の5か国に集中しています。
国内避難民の多い国は、スーダン(910万人)、シリア(720万人)、コロンビア(690万人)、コンゴ民主共和国(630万人)、イエメン(450万人)。
難民の受け入れ国は、イラン、トルコ、コロンビア、ドイツ、パキスタンの5か国に集中していて、難民の39%がこの5か国に滞在しています。低中所得国が難民の75%を受けいれているのです。
多くの難民、国内避難民は、紛争だけでなく、気候関連の災害にもさらされています。2023年4月、首都ハルツームで武力衝突が発生し、世界最大規模の人道危機を引き起こしているスーダンの国内避難民も、紛争と気候関連の災害の両方にさらされています。
ウクライナでは、2022年ほどの避難スピードではないものの、2023年も戦闘により多くの人々が国内外に継続して非難を強いられました。大規模な攻撃は国内各地で起きていて、空爆や爆撃の危険にさらされています。
故郷を追われた人たち、無国籍の人たちの救済策として、自主帰還、庇護国における社会統合、第三国定住という恒久的な解決策があります。自主帰還は必ずしも安全で尊厳のある帰還に資するものではなく、持続可能なものではない可能性があります。オランダ、カナダ、フランスは、難民受け入れ国として国籍取得にも貢献しています。
ロヒンギャ難民が身を寄せるバングラデシュで、殺人や集団暴行、家庭内暴力など難民キャンプで起きる問題に対応する現地日本人スタッフ。
「UNHCRはあらゆるルートを通じて高いレベルで政府に提言を行っていますが、なかなか進展はみられません。」
「ここは紛争下の国のように突然ミサイルが飛んでくるというような状況ではないものの、生活の質という面では、これまでに私が支援活動で関わったどの国よりも劣悪な環境であると感じています。」
「就業も正規の教育を受けることもできず、その状況に終わりが見えないことが彼らにとって一番苦しいことなのではないかと思います。最近は国外に出る決断をする人々もいて、UNHCRは海で命を落とすリスクや他国での強制労働の危険性について情報提供をしていますが、それでもたどり着くことを信じて海を渡る人たちが後を絶ちません。」
「自分と彼らは何も変わらない同じ人間のはずなのに、いかにおかれている状況が違うか、いかに彼らを守るものがないか、その不条理さを考えずにはいられません。」
「日本人と同じ、お米を食べて生きている人たちが、たまたまここに生まれたというだけで苦しい思いをしていることに、一人でも多くの方に関心を持ち続けていただけたらと、そう願っています。」
日本人初の国連難民高等弁務官として1991年から2000年までの約10年間、徹底した現場主義で自らも足を運び難民救助活動の最前線に立ち、2003年から2012年まで国際協力機構(JICA)理事長として日本の国際協力分野をけん引、紛争の犠牲者たちに向き合い続けた緒方貞子さんは、数々の名言を残されています。
「良質な情報を発信し続けることは大切です。例えば、民間から寄付を募る過程で情報を発信する側も、受け取る側も勉強します。情報を広めるということが、結局人を動かし、政府を動かす。」
「お金をいただく代わりに、良質な情報をきちんと広めることは、ぜひ積極的にしていただきたいと思います。」
「かつて絶対解決しないだろうと思われた東西ドイツの分裂。しかし1989年にベルリンの壁が壊され、1990年にドイツは統一されました。ですから今解決しないと思われていることでも、永遠に解決しないわけではありません。時間ははかるけれど、努力を続けることで解決することもあるのです。成功例をきちんと伝えて、解決に向かうような流れにつなげることが大切です。」
「日本にとってアジア諸国と良好な関係を保ち続けることは非常に重要です。例えば日本と中国は、長いこと歴史が重なり合ってお互い発展してきました。」
「やはり日本は島国で、今までなんとなく自分たちだけを守っていれば生きていけると思っていたのだけれど、実態はそうではありません。明治維新以降、活動範囲を広げてきたのですから。日本は歴史的にいろいろなものを受け入れてきました。国際交流によって発展してきた国なのです。」
「誰もかれも日本に入ってきたらいいとは思いませんが、必要に迫られて日本に来る難民の受入には寛容でなければなりません。そういう人たちに対してもう少し真摯に対応する必要があると思います。これから先、日本の進歩のためには、もっとオープンな気持ちを持ち、人間同士の温かみを大切にしてもらいたいと思います。」
「文化、宗教、信念が異なろうと、大切なのは苦しむ人々の命を救うこと。自分の国だけの平和はありえない。世界はつながっているのだから。」
遺産による寄付には、遺贈による寄付と、相続財産からの寄附の2つの方法があります。遺言により自分の財産の一部またはすべてを特定の個人や団体に譲渡するのが遺贈。亡くなった後、遺言執行者により寄付が実行され、国連UNHCR協会への遺贈に相続税はかかりません。
遺族が相続された財産から寄付する方法が、相続財産寄附です。金銭で相続した遺産から、相続税の申告期限内に現金で国連UNHCR協会に寄付すると、その財産には相続税がかかりません。さらに、確定申告することで、所得税等の税控除も受けることができます。
遺贈を希望する場合、意志を確実に実現できるよう、遺言書を必ず書く必要があります。相続は相続人のみですが、遺贈は相続人以外の特定の人や団体にも財産を譲ることができます。この遺贈は、遺言書を残すことにより可能となるのです。
遺言書を作成することで、自分の財産をどう遺すかを自分の意思で決めることができます。遺言書は、民法が定める法定相続の規定よりも優先されます。エンディングノートや遺書とは異なり、法的に有効な遺言書の作成により、確実に意思を実現できるのです。また、遺言書は何度でも書き換え可能で、撤回もできます。
法定相続人とは、配偶者、子(直系卑属、孫、ひ孫などに代襲相続されます)、親(直系尊属、親が亡くなり祖父母が健在の場合は祖父母が相続人)、兄弟姉妹(甥・姪の代まで代襲相続が一代に限りされます)です。法定相続人がいない場合、遺産は国庫に入ってしまいます。遺言書は、自分の人生の最後の意思を実現するためのものです。特別な人だけが書くものではなく、自分の大切な財差を遺す方法は自分で決めたい、遠方に住む家族に負担にならないよう専門家に執行を依頼しておくなど、身近なものになりつつあります。
相続人全員で遺産分割協議をすることを避けたい、法定相続分によらず、自分の意志で財産を配分したい、兄弟ではなく配偶者に全財産を遺したい、相続人がいないので財産を国庫に帰属させるより社会のために役立てたいと考える方は、遺言書を作成しておくことをお勧めします。
遺贈寄付をする場合、法的に有効な遺言書を作成のうえ、遺言書に従って遺言を実行してくれる遺言執行者の指定が必要です。遺言執行者とは、遺言書の内容を実現する人のことで、遺言書の中で指定ができます。遺言執行者が指定されると、相続人・受遺者全員の署名捺印がなくとも、遺言執行者のみで相続登記や預金口座の解約等が円滑に行えます。身近な人を指名することもできますし、遺言の執行には専門的な手続が含まれることが多く、士業や金融機関への依頼も多いです。
公正証書遺言の場合は、公証役場で保管されます。自筆証書遺言の場合は、法務局保管制度を利用することで、法務局で保管されるため自宅保管より安心です。
遺言執行者への逝去の知らせがいくと、遺言執行が開始されます。家族や信頼できる人に、遺言執行者への逝去の連絡をあらかじめ依頼することも大切です。法務局の自筆証書遺言保管制度の死亡時通知を希望すると、法務局から通知が行く仕組みもあります。
全国対応、年中無休の行政書士法人ひとみ綜合法務事務所は、遺言相続のご相談にも対応しています。
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