マイナンバー普及促進と国民の不安、生活保護の水際作戦
「マイナポイントっていうのが始まったらしいけど、あれって得なん?先生はマイナンバー持ってる?」
持続化給付金をはじめコロナ関連の給付金の申請サポートを行政書士法人ひとみ綜合法務事務所で行っている、複数の宿泊施設、飲食店経営等の事業をされている、気さくな浪速の社長様と某温泉観光地の現場お打合せ中、思い出したように発せられたのが、このご質問。
マイナポイントとは何か、お得な側面の一方で、問題になっていることなど、それはブログの最後にまとめて書きます。まずは、このマイナポイント実施の背景にあるマイナンバーカードについて、最近話題の運転免許証との一体化案、預貯金口座情報との連結義務化など、最新情報を今回のブログでは詳しく解説します。
新型コロナウィルスに伴う10万円給付金支給は、行政書士法人ひとみ綜合法務事務所が本店を置く大阪では支給遅延が問題視されています。経済活動が急激な打撃を受け、多くの国民生活が危機に追い込まれた際、行政には迅速に多様な政策を行い、国民を救済することが求められます。このコロナ混乱を教訓に、政府はマイナンバーカートの普及活動を加速させる方針を打ち出し、来年の通常国会で一人一口座のひも付けを義務化する法案成立を目指しています(当初は全口座の義務付けを想定、その後時期尚早として先送り)。すでに先月、与党は希望者だけひも付けできる法案を議員立法で提出しました。
こちらは宿泊者専用の贅沢なかけ流し露天風呂。インバウンド観光客がほぼ皆無となり、大打撃を受けたものの、現在はコロナ感染を恐れる富裕高齢層をターゲットに「おこもり温泉プラン」なるものを果敢に打ち出している宿泊施設もあります。
マイナンバーの目的は、行政の効率化。結婚して姓が変わっても番号を通して認識できますし、複数所得がある人を税務署や社会保険庁が簡単に把握できるようになります。
「マイナンバー普及で国民生活は便利になる」
というよりも、より正確に適切に表現すると、
「行政効率化によって、めぐりめぐって国民生活は便利になる部分もある」
と、言えるかもしれません。
こちらは、大阪の行政書士法人ひとみ綜合法務事務所のお隣、兵庫県の神戸港です。
行政サービスを効率化するために重要なのは、インターネットを活用した電子化で、その基盤となるインフラがマイナンバー制度。まだ普及率が国民の20%足らずであるのは、保有するメリットよりもプライバシーやセキュリティ面における不安を多くの国民が抱えていることにあるでしょう。
現状では、国はマイナンバー番号がわかってもひも付いている個人の振込先口座まではわかりません。そのため、今回の特別定額給付金10万円も、マイナポータルに給付先口座は登録されていないことが問題視されました。
結果的に、早く10万円を手にしたい人たちがマイナンバーカードを申請し、取得率は上がったものの、住民基本台帳の情報を持つ市町村は申請者の入力データと台帳情報を突き合わせる確認のため業務過多となったり、本来不要不急であるはずのカードの発行事務に多くの行政職員の時間が取られ、結果的に支給が遅れるという皮肉な結果をもたらしたともいえるでしょう。口座とひも付けることで、これまでと比べ格段に迅速に一律給付金などは支給可能になるといわれます。
とはいえ、有事に備え給付金をスピーディーに支給するために事前に口座を登録しても、その非常事態が10年先、20年先となった場合は口座が解約されていたり、口座番号が変更している可能性もあります。口座情報が変わる度にきちんと役所に皆が届け出るとは限りませんし、そもそも迅速給付救済が目的であれば義務付けること自体に矛盾があるという指摘もあります。
結局のところ、国民の資産を把握することによる納税対策と一般に考えられますが、悪質な脱税者は海外口座を使うことが多く、そうなるとマイナンバーが解決してくれることにはなりません。
また、生活保護を受けたいと思って役所に出向いた人を窓口で何だかんだと結果的に拒否して帰らせてしまう、「水際作戦」などもマイナンバー制度によって解決されるわけではなく、生活保護支援の範囲や審査はあくまでも人が判断し、決定します。マイナンバーが解決できることはあくまでも効率性であって、行政サービスの質そのものではないため、生活保護にしても今回のコロナ給付や福祉的給付も、本当に支援を必要としている人に公平に行き着くような社会保障、福祉政策の仕組みと運用が不可欠といえるでしょう。
行政書士法人ひとみ綜合法務事務所の女性スタッフ3人で、大阪梅田のスワロフスキーショップを訪れました。事務所でお客様にお使い頂くペンを選びに来たのですが、セール中のアクセサリーにしばし心奪われてしまいました。
そして、だいぶ前置きが長くなりましたが、冒頭のお客様のご質問であるマイナポイントについても、その目的、メリット、気になる問題点をわかりやすく説明します。
マイナポイントとは、ICOCAやWAON、Edyといった電子マネー、各種クレジッドカードやQRコード決済など、各種キャッシュレス決済サービスを利用すると付与される、お買い物等に利用できるポイント等の総称で、2020年9月1日からはじまるマイナポイント事業によりスタートします。
マイナンバーカードの取得申請を行い、交付窓口等でマイナンバーカードを取得することが必須です。その上で、マイナポイントの予約をするとき、キャッシュレス決済サービスを一つだけ選択でき、それがマイナポイントの申込みとなってチョイスしたキャッシュレス決済において利用できるポイント(=マイナポイント)を上限5,000円分もらえるというものです。
マイナポイントは、2020年9月1日から2021年3月31日までのチャージまたはショッピングの金額に応じて、その25%分が上限5,000円まで付与されます。
マイナポイント事業の目的はマイナンバーカードの普及促進、官民キャッシュレス決済基盤の構築、消費活性化とされています。
現在、マイナポイントの申込開始にあたっては専用のコールセンターに多数のアクセスが集中し繋がりにくくなっています。また、パソコンから専用サイトに繋げてマイナポイントの申込みをしようとしても、古いブラウザ(インターネットエクスプローラーIE11)でしか申し込みができないという仕様であることも指摘、批判されていて、現在Google ChromeやMicrosoft Edgeでも申し込めるよう取り組んでいるようです(総務省回答)。
主な注意点としては、申込後の取り消しや決済サービスの変更ができないこと、8月末までにチャージや買い物をしてもマイナポイントは付与されないということです。
上記をお客様に最新情報をその場で調べながらご説明したところ、
「面倒な手続きを踏んでも5,000円しかポイントでもらえないなら、やめておくわ」
ということでした。
現在のマイナンバー制度では、政府が管理するマイナポータルを通じて、住民票情報や住民税の課税情報など、自分に関係のある情報を、行政機関同士が情報連携基盤を通じてどのように照会・提供しているかを自分で確認ができます。
ただ、情報連携基盤を通じないやり取り、代表的なものが警察など捜査機関への情報提供については確認ができないのです。制度上は、犯罪捜査をする警察、検察など捜査機関がマイナンバーを含む個人情報の提供を受けることは可能とされています。それなのに本人が自分の個人情報の扱いを確認できないだけでなく、第三者機関である個人情報保護委員会の監査権限も及ばない(監査権限外)制度設計となっているために、警察によるマイナンバー情報の利用をコントロールする仕組みがないことについて、マイナンバーへの不安を抱く人は少なくありません。
政府が検討を開始すると発表した運転免許証とマイナンバーカードとの一体化については、口座番号とのひも付けではないようですが、将来的にカード機能の拡大と口座番号の利用範囲拡大が結びつかないという保障はありません。法律で定めることにより、マイナンバーカード利用の対象拡大は可能であるからです。
マイナンバーにひも付ける情報を増やすのであれば、やはり気になるのはプライバシーの保護の観点で、情報連携基盤を通じない情報提供や、行政の内部利用について第三者機関がチェックする仕組みを設けることが不可欠であると考えます。
マイナンバー普及促進のため、政府はマイナポイントだけでなく健康保険証の機能をつけることも検討していますが、マイナンバーを使った給付事業が増えることによって、なりすまし犯罪などが増える懸念もあります。実際、同様の問題はマイナンバー先進国のアメリカや韓国で起きています。かつてのアメリカにおける社会保障番号悪用による税の不正還付や年金不正受給が起きないよう、日本ではマイナンバーだけで行政事務が行われないよう、必ずマイナンバーカードなど本人確認が義務付けられています。
マイナンバーカードの機能をスマートフォンに入れられないか、という議論もすでに政府において始まりました。国民生活の利便性の向上と、効率的で安心なネットワーク構築の両立ができれば一番ですが、そのためにもまずは制度全体の透明性を高めることが重要でしょう。普及に前のめりな国の姿勢は、街の法律家として日々お客様に身近な相談にのっている行政書士として、懸念していることの一つです。
行政書士法人ひとみ綜合法務事務所天王寺支社の徒歩圏内にあるのは、天王寺警察署と生野警察署。この日は、生野警察署の刑事課に提出受理済みの告訴に関する追加資料を行政書士が持参しました。
刑事課は3階ですが、建物にはエレベーターもエスカレーターもないため、階段を使います。
薄暗い階段は、慣れない一般の方だと不安に感じるかもしれません。行政書士は慣れているので、一人で直接刑事課まで向かいます。
平日夕方で珍しく人はいませんでした。普段は、わりとこの狭い3階通路のソファに人がいて、時に刑事さんと大きな声でやり取りしていることもあります。
かなり古い建物のため、通路は本当に狭く、人がすれ違うのも大変です。コロナ対策でしょうか、窓は解放されていました。
告訴によって捜査はほぼ終了し、あとは提出された追加書類をもって検察に管轄が変わります。
お疲れ様です❗
今、九州地方は大雨で大変な事になっています。
80代の方が胸まで水につかった状態で発見されたニュースを見て、本当に可哀想で、涙が止まらなかったです。長いこと生きてきて苦労した事もあっただろうに。なのにこんな悲しい最期だなんて…。
毎年毎年、犠牲者がでますね。
関西や関東も降るみたいなので運転はどうかお気をつけ下さい。
マイナンバーカードはよくわかりません。アナログ世代です(^_^;)
このごろはあまりにも複雑化しすぎてアナログ世代の私であったり高齢者の方とかはちんぷんかんぷんだと思います。
マイナンバーカードもそうですがキャッシュレスもなんか怖いです。便利なんでしょうけどちゃんと理解して使いこなさないと犯罪に巻き込まれそうな…。
警察署すごーい❗
一般市民が警察署行くとなると交通違反でお世話になるくらいですから。
刑事課、指名手配の写真がリアル❗
ドラマみたいだなと思いました。
わりと狭いんですね。
HS様、いつも行政書士法人ひとみ綜合法務事務所のブログにあたたかく正直なコメントの花を添えてくださって、ありがとうございます!
思われたことや、疑問に感じられたことを率直に書いていただけるので、行政書士としても気づかされることが多く、またブログを書くスタッフの励みにもなり、大変ありがたく思っております。
私は父親が神奈川県警察に長年勤務しておりましたので(強行犯刑事として)、家の本棚には刑法、刑事訴訟法といった書籍が並んでいました。たとえば自転車の交通事故や、近所の人の飼い犬に噛まれてしまったという、日常で誰にでも起こり得る被害も、警察に被害の届け出をすることで逆に余計なトラブルを回避して社会の平穏にも繋がることは往々にしてあります。
警察署だけでなく、各省庁、都道府県庁、市・区役所、町村役場などに提出する書類の作成・相談、手続き代理の許認可業務だけで1万種類を超えるとも言われ、実に様々な権利義務に関する書類作成、事実証明に関する書類作成、さらに特定行政書士として不服申し立て手続き代理業務が可能となり、行政書士の社会における必要性は極めて高いと認識しています。
高度情報通信社会において、ますます行政書士に期待される社会的役割は大きくなることをコロナ禍においても実感しました。HS様も書かれているように、やはりアナログ世代の方にとって、オンライン申請のみというハードルは高いようです。